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入試問題にみる学び(7)
女子学院中学校:国語の問題から見えるコト
2007年2月1日
by 古阪 馨

■ 女子学院中学校の国語の入試問題は、心配りがレイアウトからも見て取れる。それぞれのページが二段組みになっていて、上段に本文、下段に問題が記される。問題文の最後に問題が記される形式に比べて取り組みやすいのではなかろうか。

■ 今年度の入試問題では第一問に高田宏氏のエッセーが出題された。「よいおしめりで」という挨拶言葉が聞かれなくなってきたことを生活の変化とのつながりで記したエッセーである。問題としては選択肢の問題・穴埋め式の問題をとおして内容の正確な理解、漢字や文法の知識を問うており、学院の求める基礎的な力への視角が見て取れる。

■ しかしそれ以上にこの問題に特徴的なのは、国語力を超え、人間のあり方・人間性そのものを捉えようとしている点ではなかろうか。例えば「よいおしめりで」という挨拶の意味を問う問題が出題されている。ここで問われているのは雨が降るのがどうしてよいことなのか、という生活のあり方である。また「ヒトという生物として生きていける」ことを問う問題は、まさに「人間」を、感性(季節感)や知性、文明、それぞれが大切にすべきことを、問うているといえるだろう。

■ 問題ではさらに、「挨拶語というのはみんなが共有するものとして繰り返されていなかったら、生活のリズムにならないものである」という一文を本文のどこに挿入すべきか考えさせる。その後、そのような挨拶言葉を自分たちの日常生活の中から一つ挙げさせることで、挨拶言葉の変化から生活の変化、その先にある社会や自然とのかかわりの変化を考えさせている。自然や社会との関わりにおいて存在する生活の変化は一人一人の心のあり方の変化を呼ぶのだ。それ故に心の変化を見つめることは、自然や社会との関わりの変化をみつめることになる。このような文脈の中で、「変化しつつある=生きられている(生活)」社会における自己のあり方や自然とのあり方を、さらに問うているのではなかろうか。

■ 人間という一つの存在を見つめなおした時、個々人によって異なるのが、感性や関心の持ち方であろう。女子学院の入試問題は、「よいおしめりで」のような情感に充ちた生活の一片をしっかりと見つめ感じることから、心情的な繊細さや生活の美しさを通して、自己を社会を生きられる近代を問い返させているのではないだろうか。考えてみればこのような部分もまた、近代においては軽視されてきたものであった。

■ 豊かな人間性を育むことを校是とする女子学院は、社会にはばたく数多の女性の母校でもある。自由な個性を輝かせる、愛と思いやりの心の基である感性と知性、はばたくべき社会への確かな視座のきざしは、入試問題にもすでにあらわれているといえるだろう。


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