NTS教育研究所NTS教育研究所
ホーム学校リサーチ:入試特集2006年入試特集:入試問題にみる学び:「入試問題にみる学び[11]−雙葉中学:理科の問題から見えるコト」



入試問題に見る学び(11)
雙葉中学:理科の問題から見えるコト
2006年2月20日
by 中島 千尋

■ 先日行われた雙葉中学校の理科の入試問題に、次のような問題を発見した。それは、酸とアルカリを混ぜた時の変化に関する実験を取り上げた問題で、問題文では必要となる実験器具の内の一つを「熱が逃げにくい保湿性容器」と表記した上で実験の手順が述べてあり、その下には実験の様子を図で表したものが掲載されている。この問題文に対する、問一の設定が非常に興味深い。

■ 問一では、「この実験に用いる保湿性容器としてもっとも適するものを選択せよ」という問いかけがなされ、選択肢には、ガラス、せともの、金属製、カップ麺が入っていた容器、ペットボトルでつくった容器など、さまざまな素材の「容器」が用意されている。

■ 子どもたちは、この問いを前に、どのように考えたのだろうか。あくまで選択肢の中から選ぶという形式を用いている以上、子どもたちが解答を書くためには創造性はそこまで重視されない。しかし、実験器具を考えることで、モノの特性や素材に注目してみよう、とする雙葉の着眼点や試みは非常に面白いといえるだろう。

■ もしこの問いが、「熱が逃げにくい容器とはどのようなものであるか」というものだったら、子どもたちの「考える」過程はどうなったであろうか。モノの「特性」や「素材」に注目するだけではなく、「かたち」や「色」について気づきが生まれていくかもしれない。このように、問いの設定によっては、子どもたちの自由な発想を広げることができたかもしれない。

■ 子どもたちの学びの中で、想像性や創造力を重要な段階だと考えたとき、子どもたちが更なる気づきや発想を育てることができるような環境をサポートする役割は、非常に意味を持つであろう。それには、問題の問いかけ方や人間によるサポートなどさまざまな方法が考えられる。重要なのは、子どもたちの学びが、それによって更なる広がりを持っていくことが期待できるという点である。

■ 「モノ」から出発して、そこから自分なりの視点や着地点を見つけることができた時、子どもたちの学びはいっそう深みを増し、鮮やかに自分に帰ってくるのであろう。もっとも、入試において問一のこの段階で想像力を発揮していては、合格はままならない。<選抜>と<学び>のスイッチの切り替えができることもまた<学び>である。


このページのトップへ▲
ホーム学校リサーチ:入試特集2006年入試特集:入試に見る学び:「入試問題に見る学び[11]−雙葉中学:理科の問題から見えるコト」