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入試問題に見る学び(10)
桜蔭中学:社会の問題から見えるコト
2006年2月17日
by 葛原 怜

■ 今回は、桜蔭中学の社会のある問題を考えてみよう。社会は他の算数や国語に比べると、暗記するものが多い。年号や地名や人名などは、確かに中学入試の社会においては必須である。そういう意味で、中学入試の社会の解答欄が、記号や言葉を書くだけの大きさしかほとんど無いことは、あまり驚くべきことではなく、この桜蔭中学の社会の問題も例外ではない。

■ しかしながら、桜蔭中学の社会の問題は単に暗記したものを選択するという問題ではない。確かに同じ選択問題だが、その問題文の記述が大きく異なる。通常の選択問題は「正しいものを一つ選びなさい」というものだが、桜蔭中学の問題は「誤っているものを一つ選びなさい」という問題が選択問題の半分以上を占める。一個の選択肢あたりが60字の文になっている点からも、その文章理解だけでも結構なスキルが問われていることがわかる。

■ 受験生が暗記したものを「情報」とするならば、その「情報」をいかに加工して問題文を分析するかということが求められているのである。さらに言えば、その選択肢自体が膨大な「情報」でもあり、その情報も自分なりに加工しなければならないというわけだ。ある意味で、知っている答えを自分なりに記述する問題よりも、難易度が高く、「情報処理能力」が問われていると言えるのかもしれない。

■ また、この社会の最後の選択問題は、すこし注目する価値がある。問題の大まかな内容は、世界情勢に関して述べた文とマッチする国を、問題に印刷されている世界地図上から選択するというもの。例えば「2004年に京都議定書を受け入れることを決定した国」というような文であれば、ロシアを選択する。これはある程度知識がないと正直難しいかもしれないが、選択できる国が中国・メキシコ・フランス・ロシア・イラクと五カ国しかないことから考えると、他の問題から消去法で答えられるようになっている。

■ この問題の注目すべき点は、世界地図上に選択肢を置いた事。それは国名を丸暗記しても、その位置を知らなければ正解は得られない構成になっているからだ。世界情勢に関する知識があり、その国がどんなところに位置しているのか日頃から世界地図で確認していないと解けないというわけだ。

■ しかし、当研究所が編集しているプログラムで設定するとすれば、別の視点から問題を作ったかもしれない。どういうことかというと、この桜蔭中学の問題では地図から得られる情報がそこまで問題に反映されていないことがもったいない気がしないでもない。

■ 先述した「2004年に京都議定書を受け入れることを決定した国」というような文も「CO2排出量が世界で4番目に多く(EU加盟国は一つとして)、2004年に京都議定書を受け入れることを決定した国」とすれば、たまたま京都議定書に関する知識がない受験生も、大陸の広さや人口の多さや産業といった情報や地図から得る情報から、回答できたかもしれないということだ。もっともそこが選抜テストと「学び」の大きな違いなのかもしれない。


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