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入試問題に見る学び(8)
桜蔭・雙葉・武蔵:社会の問題から見えるコト
2006年2月14日
by 井口 唯史

■ 私立中高一貫校の社会の入試問題には、眼を見張るものがたくさんある。ほとんどの学校が国語の問題用紙かと驚くほどの文章量を読ませてから、問いに答えさせる形式になっている。言うまでもないが、読解する力がなければ非常に難しく、また、知識がなくても文章から答えることができるものも少なくない。

■ そんな中、他とは異なっている視点の問いがあった。桜蔭、雙葉、武蔵の問題である。一つは、年齢・性別・障害・民族など差別とその権利保障についての問い。一つは、自衛隊を派遣した国や地域を考えさせる問題。一つは、日本以外の国や地域で起こった災害に対して自分からどのような支援ができるかを問う問題。

■ 生徒たちは身近な状況で考えうる差別に対して、日本の憲法や法律、さらに国連など国家を超えてどのような保障が成されているのかを考えさせられるのである。また、自衛隊の派遣先を考えるうえで、地図をみて場所がわかるかどうかだけではなく、なぜ派遣するに至ったのか、どのような地域なのかといった状況を考えるようにもなっていくだろう

■ そして、自分の住んでいる場所ではない、他の国や地域への生徒自身の支援で何ができるのかを問われた生徒は、考えていくうちに「やりたいこと」と「できること」の間の葛藤が生まただろう。その葛藤を乗り越えて、今の自分に「できないこと」を認識できた生徒は、それがそのままセルフキャリアカウンセリングになったのではないだろうか。

■ これらの入試問題から要求されているのは、もはや自分個人や日本という視点を脱却し、それらを踏まえた上での地球規模の想像力ではないだろうか。考える視点は、自分から他者へ、他者から自分へ、日本から世界へ、世界から日本へを繰り返し、どのような立場からどんなアプローチをしていくのか、そんな問いかけがされているような気がしてならない。

■ 当研究所にも、グラフや資料から何を感じたか、何に気づくか、どのように考えることができるか、といった探究を促す仕掛けが多数ある。そして、「1本のえんぴつから世界へ」、そんな想像力を育成し、課題の発見とその解決の模索、生徒自身の手で未来を創りだそうとする、そこに違いはあるのだが。

■ こうした入試問題を受け止めていった生徒たちは、アインシュタインが述べた「想像力は、世界を包み込む」、そんな力をもった人材として育っていくのではなだいろうか。


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