入試問題に見る学び(3)
女子学院中学:理科の問題から見えるコト |
2006年2月5日
by 葛原 怜
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■今回は、女子学院中学の理科のある問題から考えてみよう。大問が5題あるが、多くの問題は選択問題や空欄補充といったよく見る定番的な問題だ。だが、最後の大問には女子学院中学の工夫が大いに感じられる。ほとんどの問題の解答欄は、記号や言葉を書くために必要最低限の大きさの空欄が羅列されているが、最後の大問だけは図を自分で書くような大きな絵が書かれている。
■問題の大まかな内容は、ボールの落下速度や跳ね方の規則性などを問うようなもの。よくある物理の自由落下の問題と似ているが、注目すべき点は大問の最後の問題文における変化である。それまでの小問では単なる「ボール」と記述していたものが、なぜか最後の問題だけが「野球ボール」となり、実際に壁に当てたときの跳ね返り方を図に記させる問題になっている。
■もちろん、この問題はそれまでの小問の結果を用いて考えれば解けるようにはなっている。しかし「野球ボール」という表現をあえて使うことで、自分でボールを壁に当てた経験を想像でき、それによっていきなり正解へと容易に繋がる可能性もある。つまり、小学校の体育や遊んでいる時に見た光景が、そのまま「中学入試」の理科の問題として反映されている。それに気づいた受験生はおそらく、理科への興味を一層強くするだろうし、容易に問題が解ける。
■理科という教科は、国語や数学や社会と大きく異なり、『実験』を重ねることが多い。理科は日頃目にしている何気ない現象が、どんな理屈や理論で起こっているのか理解し、その新たな発見に一種の愉しみを覚えるところに面白さがある。よく高校生が、大学受験のために物理や化学の参考書のみを暗記して、面白さを感じずうんざりしてしまうのは、そこに原因があると言えるかもしれない。
■知識偏重型教育ではグローバルな人間は育たないと、世間ではよく言われている。この理科の問題で言えば、実験の結果や名称のみを暗記しただけでは解けないようになっている。日頃何気なく体験していることで、それがどんな理屈や理論で起こっているのか常に関心を持ち、さらにそれを問題の条件下で創造できるかが問われている。つまり、『体験』し、それについて『探究』し、そしてさらに『創造』というプロセスを経て、アウトプットすることが求められていると言えるのではないだろうか。
■実際にこの問題を考えているある生徒が、筆箱にある消しゴムをボールに見立てて、手を上下に振り回すことで答えを導き出せたならば、ある意味で女子学院中学の欲しい「創造力」のある生徒像に、達していると言えるのかもしれない。
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