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第8回研究会レポート 新設校開校及びその運営について―白梅学園清修中学校の場合―


活動紹介&ふりかえり
〜白梅学園清修中学校の取り組み〜

白梅学園清修中学校 副校長 柴田 哲彦 先生


 

校舎

校舎自体は狭いのですが、ガラス張りなので開放感があり、広く感じます。


校務センター(職員室)

前日と同じ席には座らないという約束事のもと、フリーアドレスになっています。教材などのデータは全てサーバー上に保管されています。各先生方は前任校で作った教材などもあるとは思いますが、みなさん新たに頑張ろうということで教材作りをされています。


アトリウム

校務センターとの間はいつも空いているので、生徒たちは気軽に職員室へ入ってきます。アトリウム自体は学年集会などに使います。中学生全員なら入れますが、高校生1年生までは入りきらず、別の日に集会を行っています。施設が無いと文句を言っても何も変わりません。工夫してやれる範囲でやっていくという姿勢で動いています。


教室

黒板はなく全て電子ボードです。教室は設計の段階でどのような形式にするか非常に迷いました。思い切って正面に電子ボード、サイドにホワイトボードという形式をとっています。スライドを使ったり、数学の図形が簡単に書けたりと今ではあたりまえになっています。


防犯体制

生徒の登校口や玄関口は全て職員室から見えるような校舎設計にしています。生徒たちも帰り際、窓越しに気軽に話しかけてきます。


清掃

学園には庶務をされるスタッフさんなどもおられますが、できる限り生徒・教員一同で清掃するようにしています。説明会当日に笑顔を見せるだけでなく、事前の準備からがおもてなしの心だと考えています。


朝の教員

生徒観ということにつながりますが、朝どのような状態で登校してくるのか見ておく必要があるということで、朝の7時半から教員が外で立っています。


家庭との連絡

各家庭に生徒と保護者それぞれ、IDとパスワードを発行して連絡の配信をしています。家庭への配布プリントはなく、すべてwebで配信しています。ただ便利になりすぎて親御さんにとってあたりまえになってしまうのは一長一短があると思います。学習にも使えるようになっており、生徒たちも質問などを送ってきますし、宿題の配信などにも使っています。インフルエンザによる休校のときには、自宅学習用課題の一斉配信などで威力を発揮しています。それ以外にも学級新聞のような機能もついています。


アナログ情報

デジタル情報は便利ですが、子どもたちには自ら情報を入手する力も身につけて欲しいと思っています。そこで生徒には至れり尽くせりの情報を流すのではなく、校内の各所に設置したホワイトボードから連絡事項をメモするようにしています。自分が情報を得なかったデメリットを実感して欲しいとの思いからです。


体育、芸術活動

音楽では国立音大、美術では武蔵野美術大学、体育は東京学芸大学の保健体育科とタイアップして取り組んでいます。


運動会

第一回の運動会は人数が少なかったこともあり、すり鉢状の会場を使うことを意識し、代々木第二体育館を借りて行ないました。競技を上から見ながらみんなで盛り上がることがどれだけ楽しいかを味わってもらいたかったからです。昨年は駒沢体育館で開催しました。来年は近隣で、すり鉢状の会場を見つけたので、現在その方向で検討中です。人数の少なさをどうハード面でカバーしていくかを考えながら取り組んでいます。



 

ふりかえり

講演のあと学校作りの問題点を共有しようということで、先生方が数人ずつのチームに分かれてディスカッションを行ないました。教科指導や清修の施設や仕掛け、教員同士の関わり方など、先生方の関心は多岐にわたっています。時間の都合でいくつかの意見をまとめ、柴田先生とのQ&Aという形式で発表しました。

 

Q.学園を立ち上げた当初から在籍する教員と、最近に入った教員で意識のズレはあると思います。教員の意思統一やモチベーション維持として具体的にどのような取り組みをされていますか。そして現状でそれはうまくいっているのでしょうか。また正しいか否かよりも好き嫌いで人は動くというお話がありました。嫌いでも通さなければならないことはあると思います。そういったことにはどう対処されていますか。

A.意思統一に関しては、面接の段階でかなり詳細な話を厳しくしています。私が面接する場合、最終候補の先生方には、方針などを細かく説明し、最後に「私が伝えたいことは以上です。私どもは厳しい姿勢で教職を担います。採用されるかどうかはあなたが決めてください。明日電話を待っています」というようなスタンスで臨んでいます。この段階で他へ行かれる方もいます。基本的に学力検査よりも、考え方が合うかどうかを重視して採用しています。
私たちの考えが絶対正しいと思っているわけではありませんが、方針が合わない場合は、「申し訳ないですが」という思いで、他の学校を紹介したり、転職に際してのできる限りの配慮をしています。そのぶん、残ってくださる方は非常にモチベーション高く取り組んでいただいています。

おっしゃるように好き嫌いよりも通すべきことがあるのは当然です。そういった面で私が嫌われている部分もあると思います。ただ、先生方には、「生徒たちが卒業したあとに、あの学校で良かったと思ってもらえることが教職の一番のやりがいですよ。だからこそ、子どもたちから嫌われようが大事なことは押し通していってください。ただし、そこには毅然とした態度が求められますよ」というような話をしています。

やはり最初の想いとはズレている部分はあります。そういったものは、ほとんどが好意・善意の中から生まれた閉塞感であり、その部分は時間をかけて対話を重ね、理解を求めています。俺の言うことを聞け、では誰もついてきてくれません。お願いだから理解してくれという思いで話をしていきます。

Q.さっきのお話でも出ましたが、学校では、プリントは配布せずにweb上に掲載するといった合理的な面と、生徒にあえて面倒なことをさせるという非合理的な面を併用する必要があると思います。その矛盾する行為をどう使い分けるのか、基準はどのように判断していますか。

A.裏側の仕組みは合理的に、生徒たちの活動面は非合理的にと考えています。わざと苦労させるために、裏で合理的に動きます。生徒たちに障害物競走をさせるようなもので、まっすぐ行ける道にあえて穴を掘ったりしていくのが学校で鍛える部分だと思います。
最近少年スポーツなどで、保護者が1時間早くグラウンドに出て石を拾うといった話を耳にします。私は真逆の考え方です。スポーツをするなら、なぜ石を拾うことからさせないのかと考えます。しかし子どもたちが拾えるぎりぎりのラインを見極める必要はあります。見極めた上で合理的にぎりぎりまで拾っておくことは教育の仕掛けだと考えて取り組んでいます。

Q.御校ではなぜ日本史と世界史が必修なのでしょうか。戦後の社会科の教科観や子どもの学習発達の議論とも異なる観点のように見受けられます。学校の善し悪しを判断するのは地理を学ばせるかどうかで、地理を学ばせない学校はダメな学校だと思っています。

A.私たちも同じように考えています。まず教材に関しては、市販の教科書になっていない、オリジナルなものを使っています。電子ボードを使って授業ができるため、歴史の授業のなかでも地図を出して地形的な特徴を考えさせるなど、総合的にリンクさせながら授業を展開しています。ただ先を見据えたときに、受験における比重という視点がないわけでもありません。
EU研修でドイツ、フランス、スイス、オーストリアなどを回りますが、そこでもヨーロッパの複雑な国割りを自らが歩き、実体験の中から学んでもらいたいと考えています。

Q.学校のサービスとは何か、柴田先生の意見をお聞かせください。

A.答えになっていないかもしれませんが、世界の中で生きていける子どもたちを育てたいと考えています。そのために必要な体作りも、学力の保証も、身のこなしをスマートにすることも、家庭と連動して取り組んでいくことだと思っています。
目指しているのは現代風の寺子屋とでもいうのか、学びたい人と伝えたいという人が知的なやり取りをする姿を作り出していくことです。


 


   1.新設校開校及びその運営について
   2.活動紹介&振り返り


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