THE 授業リンク


 



〔The授業リンク〕の発足に寄せて 〜もっと授業を〜

 いまこそ授業の充実を
 《The授業リンク》という研究会が発足します。それは、学校で子どもたちを生き生きさせ、学習の効果をあげるのは「授業力」であるという視点からの発信です。その前身の「21世紀型学習研究会CAL(Center for the Advanced Learning)」は2001年から活動を続けてきました。「子どもたち1人ひとりの才能、創造力を引き出し伸ばしていく仕掛けや仕組みは、学習プログラムにある」という発想で、首都圏の私立の中学校、高等学校の教師仲間たちとそれぞれの「授業」を軸に研究を続けてきました。

国際社会の中での日本の子どもたちの学力
 しかし、21世紀の日本の教育はその後、決して良い方向に推移してきたとは言えません。2007年12月4日、日本記者クラブでのOECD事務総長アンヘル・グリア氏のスピーチは、我々が危惧していた教育への不安を明確に指摘していて衝撃的でした。日本の教育で子どもたちは、

※ 初めて出会う状況で、知識を応用する必要がある場合、困難に直面する。
※ 彼らは将来の労働市場に出たときに必要とされるスキルを身につけていない。
※ 文章情報を取得し、処理し、統合し、評価することが、最大の課題。
※ 科学が自分の人生に機会を与えてくれると考えておらず、自分の将来という観点から科学を学ぼうとする動機づけが弱い。
※ 多くの日本の若者が環境問題について平均よりも高い楽観意識を報告している。
※ 科学関連の活動への女子の参加率は特に低い。この点は教育政策上の重大な懸念事項。

であると言うのです。わざわざこんな辛辣なことを言いに日本まで来たのかと驚いてしまいましたが、これはEU社会から日本への温かいメッセージであると受けとめたいと思います。

教育関係者の使命
我々教育に携わる者は、日本の未来を担う子どもたちのために躊躇しているわけにはいかなくなりました。子どもたちを活かす教育を真剣に考え、模索していかなければなりません。その思いに賛同した仲間たちと、この会を発足することになりました。その理念は、
  授業で人間関係・社会関係をつなぐ感性と知性を養い、授業から世界の痛みを感じ、解決するアイディアが生まれる。この、授業に挑戦する理念共同体(「利益共同体」  と対義。思い・願いに賛同する者が集う意)が“The授業リンク”。教科授業にはとらわれない。
と今現在では考えています。勿論、研修がつづく中でさらに参加者と共により高い理念へと発展させていけることを願っています。

授業が変われば、子どもたちが変わる
具体的には、1人ひとりの生徒が人間や社会と関係を結べる感性と知性を自己陶冶できる居場所づくりをするために、丁寧なコミュニケーションに基づくThe授業に挑戦していく。体験・探求・議論・発表・編集を創意工夫して組み立てることによって、1人ひとりのモチベーション・好奇心が生まれる授業および考える時間・表現する時間を大切にする授業の仕掛けについて、それぞれ違う学校に属しながら情報交換し、必要な時にはコラボレーションして新しい授業のプログラムを作っていきたいと思っています。

 教育に携わる多くの人が、この理念に賛同され参加されることを願っています。

2008年3月
The授業リンク会長 川合 正






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