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芝中学の品位(2)
2006年12月12日
by 本間勇人

◆ 芝学園の教育空間によって、在校生の感性と対話と身体が、6年間の中で統合されていくのではないか。それはある意味見えない品位とかクオリティというものを身につけさせる影響を与えているのかもしれない。

◆ 春の桜並木を歩くとき、秋の京都の寺社を散策するとき、ヨーロッパの教会の中にいるとき、ニューヨークのマンハッタンの街を歩くとき、美術館で観賞するとき、東京ドームで興奮しているとき、里山や庭園を散歩するとき・・・、人は心の持ち方が変わるのではないだろうか。教育空間が生徒の内面や精神や思考に影響を与えることは無視できない。

◆ 前回指摘したように、芝学園の地下1階は工房であり、厨房である。そして地上1階の外はグランド、内側はギャラリーであり、相談室という対話空間であり、事務所という生徒のアイデンティティを保証するところである。肝心なことは、この地下と1階のフロアーは吹き抜けになっていて、雄大な多次元空間としてつながっているということ。

◆ 地下にいると、身体は自然と上昇気流を感じる体勢になる空間。それはやはり宗教性なのだ。モダニズム建築なのだが、8階建てという教育空間は、1つの校舎の中に、論理と想像/創造と慈愛の多様な空間が生まれ、さらに垂直に上昇するというもはや一対一対応の機能に空間が従うモダニズムを超えているのである。

◆ 生徒たちが自ら作ったヨットが、1階にディスプレイされているが、背景が吹き抜けで地下につながっているため、急にその背景は大海原にもなる。その背景には鶴が洋々と飛翔している大きな屏風がある。

◆ モダニズムでありながら、空間はロマンチックなのである。知性と感性の統合された空間が地下1階と地上1階に広がっているという意味は実にフロイト的でもある。もちろん、暗闇のエスという雰囲気ではなく、ここではむしろユング的な創造的なエスの豊かさの醸成なのであるが。マズロー的と言ったほうがよいかもしれないが、それについては最後の回でもう一度言及したい。次回は2階以上を考察することにする。(つづく)



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