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| 芝中学の品位(1) |
| 2006年12月11日 by 本間勇人 |
| ◆ 芝学園の大学進学実績は言うまでもなく良い。その上、常に向上している。医学部・歯学部は卒業生の20%を占め、医歯薬となると30%を占める。理系進学と文系進学の比率は3:2で、理数系に強いというイメージも定着している。
◆ しかしながら、これまた言うまでもなく、大学受験一辺倒のカリキュラムが組まれているわけではない。幅広い知性や豊かな感性が育つ学びの環境が充実している。 ◆ たとえば、教育空間。地下1階は、すべて技術や家庭科の学習場。まずは手を使う。五感をフルに使う。教科学習のときとは全く違う体勢で学ぶ。脳は頭蓋骨の中に閉じられているのではない。手や目、口、耳、鼻。すべてのセンサーと結びつき外界に開かれている。そのことについて、生徒たちが気付いているかどうかはわからないが、モチベーションの形、集中力の形は、外部との身体感覚を通じての対話によってサポートされる。 ◆ 1階の外はグランド。地下1階の繊細な身体の動きとは違い、ダイナミックな身体感覚の活動の場。地下1階と地上の外のグランドの差異は、空間認識と速度によるその認識の関係の変容を身体で体得する。知性と感性の統合の土台は、日々の静と動のぶつかり合いが調和するに到るとき完成するだろう。この統合のための時間として6年間は十分な時間だと思う。 ◆ 1階のフロア−は、学園との対話の場である。学校と自分を結ぶのは事務室を通しての契約関係と先生方との心の絆。オープンマインドの事務のスタッフと相談室で対話を受け入れる先生方が常にいる。それから先輩たち。 ◆ 芝学園のOBは、常に無償で後輩たちのために何か役立つことはないかと積極的に活動する。芝法曹界、芝赤門会など、さまざまなOB会が後輩を励まし、見守っている。 ◆ その中で、毎日後輩たちに向かって意志の強さと優しさを呼びかけている先輩たちがいる。青山画伯もその1人だ。大きな屏風絵は、鶴の大空に飛翔する姿。「洋洋」と名づけられている。これは1階にディスプレイされている。 ◆ もう1つは、着物を着て凛とした姿でバイオリンを弾いている美しい女性の絵。男子校ゆえ、理想の女性としてプロットタイプにして欲しいということだろうか。もっとも題は「練習曲」。地下のフロアーにある。一般の訪問者の目に触れることはない。彼らだけのマドンナである。 ◆ このように感性と対話と身体は、6年間の中で統合されていく。エコカーもチンジャオロースも自分たちで作る。在校生たちは、実は教科の授業よりも幅広く覚えることも多いと語る。地下一階はまさに工房であり、厨房である。知識の配列を超えた智恵の広がりがそこにはある。そしてこの智恵の広がりはまた芝の生徒の品位を形作るのである。 |
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