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学校探し(76)〜ユートピアとしての玉川学園
2005年11月24日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 昨年、≪未来を創る学校≫という本をNTS教育研究所の所員たちとまとめた際、学校選択のためのクオリアスコアを設定した。また2005年版のクオリアスコア(参考→ホンマノオト2005年9月15日)も更新した。

◆ クオリアスコアは4つのカテゴリーを構成している。これが学校選択カテゴリーであり、それぞれのカテゴリーの名称は、「エクセレント・スクール」、「クオリティー・スクール」、「エリート・スクール」、「トラディショナル・スクール」。

◆ このような新しい視点で学校を選ぶ考え方を「学校選択リテラシー」と呼び、偏差値や大学進学実績以外の指標をかけ合わせることによって、未来の人材を育てる本当の教育空間を見つける一助になれば幸いである。そう思いながら所員一同ディスカッションして1つの仮説を立てたわけである。

◆ この活動は、本を上梓したあと、3回連続のセミナー活動にシフトしていった。日本とEUの国際交流一環イベントとして、≪未来を創る学校≫セミナーを企画実施したのである。そして来春のどこかで≪未来を創る学校≫のVol.2を出版することも決めたし、≪未来を創る学校≫セミナーから派生するさまざまなセミナーが飛び火していくことになっている。

◆ このような動きが起こるということは、言い換えれば、私立学校を取り巻くステイクホルダーたちが、未来を見据えて学校選択するリテラシーを学びたいと思っていると同時に、そのリテラシーをさらに超えるすばらしい学校に進化させたいという私立学校の物語がこれから生まれようとしているとも考えられるわけである。

◆ そういう文脈作りの中で、いつも気になっていたのが玉川学園である。同学園のクオリアスコアと実態が合わないのである。それ故ホンマノオトで論じる勇気がなかなか湧いて来なかったが、この間、同学園の知恵者である先生方およびその関係者の方々と対話を続けているうちに、私の中で解決できないでいた問いが少しずつ紐解かれていった。

◆ 玉川学園は、その教育空間や教育実践から言って、トラディショナル・スクールにもエリート・スクールにも入らないことは、学校選択者である保護者が見た場合、明らかである。しかし、クオリアスコアを算出すると、クオリティ・スクールにもエクセレント・スクールにも当てはまらない結果となる。どのようにこれを解決しようかと思っていたが、そもそも2次元のカテゴリー表で、300近くある首都圏の私立中高一貫校を語るところに無理があったのだ。

◆ だいたい玉川学園は私立中高一貫校という概念では捉えられない。幼稚園から大学までの総合一貫校なのである。多くの場合、法人上あるいは端的に経営上は総合学園であるが、教育理念が幼稚園から大学まで貫いていて、実際にそれがALL教職員どうしの対話という形になっている総合学園はあまりない。首都圏では慶応(小学校からだが)と聖学院ぐらいではないだろうか。

◆ だから中高一貫のところだけ切り取って考察してもうまくいかないのかもしれない。学園全体としては、ITも国際教育も驚くほど充実しているし、教育空間そのものも訪れたものは誰でも感動するだろう。総合的学習も、全人教育をベースにしているため、かなり本格的だ。教科ごとに教室が特注であるくらいだから基礎基本の学習環境も万全である。アートも専用の美術館があるし、秘蔵の美術品も数多くある。

◆ なんといっても、創立者小原國芳先生の「生まれながらにして、唯一無二の個性を持ちつつも、万人共通の世界をも有する存在である」という人間観を今も継承しているのはすばらしい。これこそ不易流行の精神だからだ。

◆ どうやら第三者である私どもには計り知れない教育の場が玉川学園なのだろう。小原國芳先生自身、自ら玉川学園を「ゆめの学校」と呼んだそうだ。そして先生が「夢」という字を書くとき、「タ」の部分に1画プラスしたそうである。1画多い「夢」の文字は、すでに次元が違うのだという意志が込められていたのではないだろうか。ユートピアとしての学校、それが玉川学園なのである。



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