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学校探し(74)〜グローバルスタンダードな那須海城
2005年11月9日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 今年も那須海城はHondaと連携してSAP―Nasu-Kaijo Study Awakening Projectというグローバルベースの挑戦的な学習を2泊3日で実施している。詳しくはNTS教育研究所の所員たちが報告している「Honda『発見・体験』学習レポート」を参照していただきたい。プログラムの流れや生徒の反応がわかるはずである。

◆ ここではこのSAPの活動がいかにグローバルスタンダードをベースにしているか、つまり世界に通じる人材の精神と頭脳を育成する挑戦になっているかについて考えてみたい。世界に通じる精神とは、man for othersである。SAPのベースはチーム学習であるが、チームプレイやall for one, one for allというものは自然とできあがるものではなく、プログラムという仕掛けが必要であるのは言うまでもない。それは問題発生ABC(Attitude, Behavior, Contradiction)を解決するCreative Communication行為を体験していくプログラムになっている。この問題発生ABCは実はチームや学校、家庭、地域というローカルな場で生じるだけではなく、戦争状態を生み出す国家同士の紛争の場でも生じ、コンフリクトの構造は同質なのである。

◆ したがって、問題発生ABCを解決する体験をチームで行うということは、世界の紛争を解決する体験につながるのである。つまりグローバルとローカルをつなぐループの仕掛けがプログラムされているというわけだ。もともと、このプログラムはヨハン・ガルトゥング博士の平和プログラムに着想を得ている。たしか博士のプログラムは国連でも採用されていたはずだ。

◆ さて、世界に通じる頭脳とは、ある意味ノーベル賞受賞者のものの見方・考え方を体験していくということである。基本的には"Imagination is more important than Knowledge. "というアインシュタイン的発想体験をいかに仕掛けるかである。

◆ 2泊3日の随所にアインシュタイン発想体験のためのトリガー・クエスチョン(TQ)がセットされている。このTQは相当タフな知の体力が必要である。一般には正解が1つではないという情緒的な表現が好まれているようだが、それでは神秘的過ぎるかもしれない。シンプルに言うと、問題解決とは、条件設定の問題なのである。どのような条件を自ら選択し組み合わせていくかという判断力、つまりイマジネーションである。判断は美学の領域である。アインシュタインが芸術を愛し、現代物理学がストリングスから生まれてくるように、知はスキルではなくアートなのである。ここにいたってやっと知もグローバルスタンダードに到達する。

◆ このことを理解しているのが那須海城の教師集団なのである。それにしてもキノコをテーマにキノコと人間のコミュニケーションを発見し、生態系のパラダイムにそれをシフトしていきながら、自然と人間の共生のあり方を語っていく那須海城の中2の生徒たちの知の美学はおもしろい。キノコの生成というフラクタルな世界は人間の我という概念をいったん反故にする理屈だったのだ。キノコの権利。たしかに自然権とは人間の権利であるが、人間に生まれながらにして存在するのではない。自然のリソースを、自然に与えられた効用を保障する力というのが自然権だったのである。それを人間が適切に行使できる権利だったのである。だから汝殺すなかれというのは自然権なのだ。殺すことは生態系という自然のリソースの行使を阻害する行為だからだ。

◆ 生徒たちが自然権のルーツまで思いを馳せたかどうかは重要ではない。思いを馳せられる条件を選択できるアインシュタイン発想体験ができたかが最重要。那須海城のSAPプログラムが育成する精神と知はグローバルスタンダードにつながるダイナミックなチャレンジだと言うべきだろう。



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