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開成学園「未来への論考」はおもしろい
2005年10月20日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 開成学園は高2で修学旅行に行くが、事前の準備学習と事後の学習レポートがセットされていて、いわゆる集団観光旅行というイメージからはほど遠い遊学的プログラムが編まれている。

◆ このプログラムの全貌を知る由もないが、事後学習のレポート「未来への論考」を拝見する機会があった。修学旅行参加者全員が1200字ぐらいで書いたレポートがすべて掲載されている。490ページという膨大な論文集である。開成学園では学年ごとにこういう論文集が制作される。また読書量も破格。この読んで、調べて、書いてという膨大な作業は、一般的には応用力とか思考力とかいう領域に分類されるのだろうが、開成学園ではこれが学たるものの基礎であり、思考のベースに過ぎないのだという考え方があるに違いない。というのも、開成学園の学力形成の場は授業そのものであり、そこに費やされる時間と集中力は想像を絶する特別な世界だ。それを支えるかのように遊学的なプログラムがあるのであろう。

◆ さて、「未来への論考」だが、これは次のようなコンセプトで行われている。「私たちは、中1あるいは高1から、君達が生きている社会の様々な問題を、自分のものとして実感し、調べ、考え、行動する市民としての生きる力を身につけて欲しいと願ってきた。今回の修学旅行は、その最終段階の活動だと考えている。それぞれのコースに応じて、各自が旅行のテーマをしっかりと意識し、計画を練って参加して欲しい。そして、できるだけ、地元の人々からいろいろな話を聞いたり、現地で資料を集めたりして、それぞれのテーマを深く見つめた研究旅行にしてほしいと願っている」。そして、この旅の中で実感し、調べ、考えた成果をもとに「現実の社会の様相の中から、未来への宿題を見つける論考を試みることにある」

◆ このコンセプトはたいへん重要な点を突いている。最終段階は結論ではなかったのだ。未来へ投じる問題を発見することだったのである。中高の膨大な授業やこのような研究活動は、ある結論を導き出すことが目的ではなく、問題を発見し、旅立ちの出発の足場を作ることだったのである。

◆ なるほど、この論考に掲載されたレポートは、未来の眼差しで満ちているはずだ。それにしても研究力の端緒設定が矛盾発見――たとえば、古都と都市、関西と関東、大阪万博と愛知万博、伝統と流行、企業活動と市民活動など――のため、第三の道・未知へ生徒たちは思いを馳せる。そのため、少し斜めから読むと、すでに未来の経団連のメンバー、政治家、官僚、科学者、NGOのメンバー、コンサルタントという立場から論じられた経済政策と立法政策、そして伝統や哲学の再構築のアイディア特集と化している。生徒1人ひとりの論考であると同時に日本の行方を舵取る論考でもある。日本のリーダーたちはこの論考を読むとおもしろいのではないか。自分たちがやらねばならないヒント集になっているはずだから。



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