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| 学校探し(70)〜優しさの風薫る横浜女学院中学校(2) |
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2005年10月6日 by 本間勇人(honma@netty.ne.jp) |
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◆ 前回「優しい風が流れる学校」だと在校生が語ったと述べた。これは言い換えれば、横浜女学院の学級雰囲気(School and Class Climate。以降SCC)が良好ということだ。同じ学力をサポートするのでもSCCが高いほうが良質の学力形成ができるのではないかというレポートがOECD/PISAで報告されているが、同女学院にもそのことが同じように言えるだろう。 ◆ このSCCの形成に教師のコミュニケーションのスタイルが関係していることもOECD/PISAレポートでは報告されている。垂直的な組織構造を形成するコミュニケーションスタイルよりも、組織内の水平の活力を活用できるスタイルのコミュニケーションが日常の学校内で多くなっていないとSCCは高くならないということである。 ◆ 横浜女学院の教師と教師との「間」、教師と生徒との「間」、教師と保護者との「間」、教師と生徒と教育空間との「間」、授業とイベントと休み時間などの時間の「間」・・・。この「間」を生み出すのはコミュニケーションだが、この「間」に「優しい風」が流れ込み豊かなSCCを醸成するというのが同女学院のあり方なのだろう。 ◆ さてこの「間」は、しかし放っといて生まれるものではない。創り出すものだ。誰が。もちろん学園で生活しているすべての人間がなのだが、リーダーシップはやはり教師である。そうなってくると、その教師のリーダーシップの采配の手法が重要になってくる。 ◆ 自らが創造的であるからこそ、生徒たちの才能を引き出すトリガーになる手法でなければ、「間」に「優しい風」は吹かないのである。横浜女学院の教師陣は、深川校長先生が率先してクリエイティブ・コミュニケーションをとられている。調整役リーダーとか部下の扱いが上手いリーダーというのが日本の組織の一般的リーダー像だが、深川校長先生は高い見識を持った改革派リーダーである。もちろんその改革の手法はプラグマティックで、夢と現実の一致を重視している。大学進学実績も生徒の豊かな人間性も両立できる教育の構造を創り上げている。 ◆ 教頭陣もまたすごい。グローバルコミュニケーションとアートの専門家。生徒たちの日常の豊かなコミュニケーションと芸術活動が、ある瞬間世界に通じる。そういう体験を横浜女学院の生徒は6年間の中で幾度か体験し大きく成長していく。優秀な生徒が、同学院の多様な体験を通して、あるとき日本の大学ではなくニューヨークの大学に行きたいと言い出し、自分で調べて、先生や保護者を説得して、進学してしまった。「世界に役立つのは、日本の大学に行ってでもできるし、海外の大学はその後でもよいのではないか」と横浜女学院の先生が語りかけると、「一瞬が重要なのです。世界が私を待っている時間は長くないのです」と。そのとき先生は知と宗教性の一致を見て、応援する側に回ってしまったのだろう。もしかしたら、マザーテレサと同じ心の構造を見てしまったのかもしれない。その生徒は今はペルーで、貧困から子ども達を守るボランティア活動をしている。 ◆ このような創造的なコミュニケーション能力の高い先生方は、授業で最も創意工夫を発揮される。たとえば、英語の教材は興味深い。プログレスをベースにしているのだが、このテキストは、イエズス会の学校の生徒用に、ロバート・フリン神父が作ったものがベースで、どこの学校でも使えるというものではない。たしかに大学受験には破壊力のあるテキスト(どうやらミシガンメソッドが背景にあるらしい)で、栄光学園などの基礎教材なのだ。 ◆ そのため、聖心や早稲田中など多くの学校ではプログレスのオリジナル調整をしていると聞き及ぶ。しかし横浜女学院は調整ではなく、プログレスを活用するためのスターティング・ブックとCDをオリジナルに制作して、生徒たちがプログレスを使えるようにするパワーを形成してしまうという発想なのである。 ◆ また体育の時間もユニークである。実は中学受験を体験した多くの生徒は、従来型の日々忍耐という身体を酷使する体育になじめないのである。この心理的反応は、実はグローバルな感覚である。世界の体育はどこまでも楽しい。同じ汗が流れるのでも忍耐から生まれるのか、楽しさから生まれてくるのかでは全く質的に違うのである。そういう意味では横浜女学院の体育のベースは楽しいということである。 ◆ そのために、「Newスポーツ」という種目を数多く取り入れている。チュックボール、室内ホッケ、タッチラグビー、ネットボールなど海外研修先のニュージーランドなどで経験するスポーツだそうである。要するにスポーツというゲームを通して、学びと遊び、双方向的なコミュニケーションのやりとりを学んでいるのである。だから生徒は楽しいと言うのだろう。 ◆ ボールという媒体を通して水平のコミュニケーション造りを果たしているのが横浜女学院の体育。これが可能なのは、体育の教師の目がコーチング手法を活用しているからである。限られた時空を自由な空間に変える時間が体育である。限られた時空を活用するには、厳しいルールとそれを自ら保守する態度が必要、同時にそのルールを十全に活用するには遊び心が必要なのだ。学びと遊びとは、知識と創造に対応する。ここにもまた、横浜女学院の「変わらないものを愛したい。変わりゆくものを育てたい」という教育信念が見え隠れしているのである。 |
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