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| 学校探し(59)〜春日部共栄が進化する<わけ> |
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2005年6月14日 by 本間勇人(honma@netty.ne.jp) |
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◆ 今年の春から春日部共栄は募集人員を増やした。100名を越える規模の学年が誕生したわけである。2000人以上の応募者の中からその5%が選抜されるわけであるから、ある意味優秀な生徒が集まっているのである。 ◆ この優秀な生徒集団をどのようなチームにしていくかによって、春日部共栄の未来は大きく変わってくる。中高一貫生をまだ卒業させていない時点で、大学実績の成果は相当なものがある。3年後、これに中高一貫生が加わるのであるから、確かに今のままで行っても驚くべき成果が期待されるわけであるが、同校は、埼玉エリアの他の私立学校のように、そのような教育ビジョンで満足してはいない。プロセスあっての結果であり、その結果もドメスティックなエリートではなく、グローバルなリーダーを輩出することが目標である。 ◆ これからのグローバルリーダーは、たんに英語が話せるというのではなく、いかにクリエイティブな発想力、企画力、実行力、コーディネート力、発信力を持っているかが求められるし、言うまでもなく人格的な強さがポイントになってくる。 ◆ 中学受験を通過してきたばかりの中1の生徒は、学力的抜け目なさはあるが、チームを形成したり、他者の痛みを受け入れたり、自ら社会や世界の問題を解決する行動にでたりというトレーニングは受けていない。東大や早慶上智の合格者を出すだけならば、その学力的抜け目なさを6年間ひたすら鍛えていけばよいだろうが、春日部共栄は、グローバルリーダーを育てるのであるから、ある意味優秀な生徒のアイデンティティを、立体的に構成する必要がある。個人のアイデンティティと学校のアイデンティティ、社会のアイデンティティ、つまり3Sアイデンティティ(Self Identity/ School Identity/ Social Identity)を生徒1人ひとりが内在化させる必要があるのである。 ◆ この3Sアイデンティティは、他者との協働/共同生活の中からしか生まれない。まずはSelfを、次にSchoolを、最後にSocialをといった時系列で構築されていくわけではなく、3つはいっぺんに衝突するのである。もちろん、ただ衝突するだけなら、砕け散って修復不能になるおそれもある。したがって、プログラムという仕掛けが重要なのだ。3Sアイデンティティは反発するのが常だが、そこを≪結びつける目に見えない力≫にどのように生徒たち1人ひとりが気づくのか。そういう学習活動の仕掛けとしてのプログラム開発が重要であり、こういうプログラムを創造できる教師力が、春日部共栄の魅力であり、進化の秘密である。 ◆ 毎年6月前後に、春日部共栄がグローバル企業Hondaと連携してこのような仕掛けを実施しているのには、そういう理由があるのだろう。Hondaという企業は世界で活躍しているのだが、その舞台裏には、スタッフの涙ぐましい異文化との絶えまない葛藤を乗り越えるための分厚いコミュニケーションが存在している。価値観の全く違う国で、互いの信頼関係を結ぶことができるという前提があるからこそ、最先端技術をさらに進化させることができるはずである。 ◆ なぜなら価値観が異なれば、技術もそれに呼応するように変化しなければならないが、その前に信頼関係が構築されているからこそ、新たな技術に挑戦できるのである。信頼関係ができなければ、技術力を求められないわけであるから、新しい技術に挑戦するチャンスが生まれないのである。チャンスは信頼関係を構築する過程の中に必ずあるのである。 ◆ つまり、新しい技術のヒントは、異文化のギャップをどのように埋めるか互いに話し合う過程の中にあるのだ。このHondaの企業文化と春日部共栄の学校文化が結合したのである。生徒たちのモチベーションアップのきっかけや発想の種は、実はチームメンバーが議論したり、専門家にインタビューしたりといったコミュニケーションの過程の中にこそある。このきっかけや発想の種を見出せたとき、Self Identityは生徒1人ひとりの中に音を立てるように確固としたものとなるし、同時にチームが1つになり始める。これはSchool identityの芽生えである。しかも社会や世界の他人事ではない実存的な問題に気づき、それを解決するためのモチベーションや発想が生まれたならば、そのときはSocial Identityとはいかなるものか考え始めるのである。それは実にグローバルリーダーという意識創出である。 ◆ このような環境を仕掛ける創造的コミュニケーション能力を有した教師陣の存在が、春日部共栄が進化し続ける秘密なのではあるまいか。 |
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