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中村学園を通して女子私立中高一貫校を考える(6)
2005年6月13日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 2005年4月19日、第265代教皇に選出され、ベネディクト16世を名乗ったのは、ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿。枢機卿時代、ベネディクト16世は、カトリックの信仰と教理とを誠実に体系的にまとめられた。著書も多数あるようだが、その中でも「キリスト教入門」は、カトリシズムの本質を伝える奇跡の書とされているようだ。

◆ キリスト教の奇跡もまたいろいろあるのだろうが、その中で最重要な奇跡は、人が、聖書の中の黄金律(「マタイ福音書」7章12節「何事でも、人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ」)に従って生きることである。果たしてこのような自己の利益を捨てて他者の利益を願う生き方はできるのだろうか。実はこのように生きている人々は歴史的にも、身の回りにもたくさんいる。

◆ ニューヨークにある国連本部にもノーマン・ロックウェルのモザイク画が掲げられているが、すべての宗教に通じるルールであることを祈って、この絵にはゴールデン・ルールが刻まれているという。

◆ また、このような自己実現プログラムを創り、実践しているところもたくさんある。やはり世界のアイデンティティはゴールデン・ルールか。

◆ ところで、なぜこれが中村学園と関係があるのだろう。中村学園のホームページにこのような記載がある。「五代校長小林珍雄は、師弟間の親愛の大切さを掲げ、校訓に加え『3つのS』  1.わがままをおさえる=Self-control  2.ひとに迷惑をかけない=Self-government  3.ひとに親切をつくす=Social Serviceという目標を設定し、単に進学のための教育ではない、社会に奉仕する心の教育に力を注ぎました。そして、これらは中村スピリッツとして、現在も大切に受け継がれています」と。

◆ 現在も大切に継承されている中村スピリッツは読みようによっては、黄金律そのものだ。しかし、中村学園は別にカトリック学校でない。いったいどうなっているんだろう。実は五代校長小林珍雄氏は、カトリック神学者で、上智大学の教授だった。そしてベネディクト16世が、ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿時代に書かれた「キリスト教入門」を翻訳されているのである。

◆ さらに校歌は与謝野晶子に依頼されている。詞の中に「燃ゆる情けと堅き意志/明るき智慧」という件がある。日本の近代化路線の中で、女性は社会の中で痛みを背負っているが、それを燃ゆる情けと堅き意志と明るき智慧をもって、救済するという意志は、これも中村スピリッツだし、どこか黄金律とつながる。

◆ ミッション校ではない中村学園の教育理念は、今やもっともカトリックに近いところに位置しているかもしれない。もしベネディクト16世が日本を訪れるようなことがあれば、「キリスト教入門」の翻訳者小林珍雄ゆかりの中村学園を訪問することになるだろう。



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