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学校探し(56)〜共立女子から目標探求型の人材が輩出するわけ
2005年6月2日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

≪未来を創る学校≫という本の中に、私が執筆を担当した「将来役立つ論文編集能力が身につく学校」という章がある。そこでこんなことを書いた。「論文編集能力は、目先の大学入試を突破するために必要というより、自分の力で生きていくときに役立つためにトレーニングしておきたいわけです。そういう意味では、論文編集は、論理力を養うというよりは、アイディアを生むための考える機会として捉えるほうがよいのです」と。

◆ しかしながら、共立女子高等学校の「学びの共同体」プログラムにおけるアウトプットであるテーマ研究は、もっと強烈なものだった。論理力も発想力も養う優れた論文編集指導だったのである。テーマ自体生徒1人ひとりが自分で選択決定し、それについてリサーチやインタビュー、調査をして、収集した情報を、自分のビジョンとコンセプトによって編集していく。生徒1人ひとりに1人の教師が指導教官としてアドバイスやサポートをする体制ができている。まさに「学びの共同体」なのであるが、見つけたテーマはレポートを書いたらそれですべてが解決するというものではない。おそらく人生を通して、自分の問題として探究していくことになるだろう。それぐらい進路に大きな影響を与えるプログラムであり、そういう意味ではこの共同体は共時的であると同時に通時的なものでもある。

◆ それだけにまた、中学から突然このプログラムをやるわけにもいかないが、来年から完全中高一貫校にシフトする共立女子は、いよいよこのインパクトあるプログラムに見事に接続するビジョンを描くことができるようになる。というのも第1回≪未来を創る学校≫セミナーのパネリストとして参加された渡辺先生によると、中学時代の授業は、問答ベースだし、美術にしても音楽にしても国語にしても、とにかく表現のチャンスをあらゆる場面で設定しているという。

◆ この準備段階があればこそ、「学びの共同体」プログラムなのである。それにしてもこのプログラムを通して編集された生徒たちのレポートは圧巻である。たとえば、夜のネオンサインの化学的歴史、文化的歴史を調べていくうちに、「商業広告デザインという分野の実用工藝品」として価値創造の提案に結びついていくという視点のおもしろさ視野の広さには感服するが、様々な分野でおもしろいレポートが続出している。しかもいずれも実社会で新しい企画提案書としてプレゼンしても価値のあるものばかりである。

◆ 先の書で、論文編集指導を4タイプに分類した。

A 教師中心伝統型: 大学入試のように課題がはじめから設定されていて、教師が添削して指導していくタイプ。
B 生徒中心伝統型: 課題は教師が設定するが、コンテストなどに生徒が自由に提出し、外部の目に評価をさらすタイプ。
C 教師中心4X型: 課題は教師が設定するが、生徒はインタビューしたり、議論したり、調べたりして探究を深め、最終的には修士論文のように、教師と対話型の指導をコマ目に受けて論文を編集していくタイプ。
D 生徒中心4X型: 課題も生徒自ら発見して設定し、インタビュー、リサーチ、議論、編集も生徒自ら進めていくタイプ。評価は論文集に選考されるかどうかなどの競争の原理で決定されていく。教師の指導が計画的にあるわけではない。

※ 4X=experience, explore, exchange, express

◆ そして、共立女子のこの論文編集指導をCタイプとして紹介していたが、CとDの融合タイプであることがはっきりとした。むしろDタイプの「教師の指導が計画的にあるわけではない」を「教師はアドバイスやサポートに徹して、生徒が自ら課題を発見し、その解決を探究していけるように見守る」とすれば、Dタイプということになる。

◆ ≪未来を創る学校≫の「将来役立つ論文編集能力が身につく学校」という章は次版で書き換えねばなるまい。



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