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学校探し(54)〜進化し続ける
2005年5月31日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 東大を受験したある県立高校の男子生徒は、まわりの生徒たちの目より自分の方が輝いているじゃないかと驚いた。しかしその中で自分と同じ目の輝きを持っている女子生徒を見つけたそうだ。その輝きにひかれて、ついつい出身校はどこなのか尋ねてみた。するとですよと回答したそうだ。男子生徒は受験後母校に立ち寄り、校長先生にという学校を知っていますかと聞いてみた。校長先生はよく知っている、すばらしい東京の女子校だと答えたという。

◆ これは、ある県立高校の校長先生がの校長清水先生宛てに送られたメールの内容である。今年の3月の出来事である。1986年校長に就任した伊藤進先生は、教育の理想を掲げるのが難しい時代にあって、決して理念を捨てずに、教育改革を断行した方だと聞く。そして就任当時、このようなことを語っておられたようだ。「学習の効率化ということから言えば、創造的立場に立たせるとか、表出・表現を重視するとかいう方針は、大学受験と矛盾するではないかという実際的心配が当然出てくるはずです。しかし、その点については、生き生きとした創造的なものが学校に流れていれば、全体としては学習へプラスにはね返ってくるはずだという楽観論に立とうと思います。少なくとも中学校ではかなりの程度にこの方針が実現可能ではないか。ではその選択も可能であるのです。」

◆ そして86年以降その選択判断をして今日まで進んできた。その結果見事に理念にこだわり生き生きとした創造にこだわり、結果として大学実績も向上し、学校の評判も高まった。この選択を考えていた86年当初から現在の清水校長先生と吉野教頭先生は、当時の伊藤校長先生と教育改革の実行に携わっていたと思われるが、の生徒が、東京大学を受験するならば、後期試験でも合格できるような知性と感性の両方を備えた人材を育成したいと考えてきた。だから同学園から目の輝きを忘れない東大受験生が誕生しているのであろう。

の現状は、もはや様々な点で御三家に追いつく勢いであるのは周知の事実であるが、この勢いというか進化は今もとどまるところを知らない。まるで86年の教育改革はの教育理念のビッグバンであるかのごとくである。この理念は教職員1人ひとりに染み渡り、学園生活、授業の1つひとつに息吹を与えている。

◆ ホームルームノートという自分を見つめる空間と時間。創造的な立場の基本は自己実現への意志がなければ成り立たないが、そのベースがこのホームルームノートに書くという日々の行為にある。これは高2から高3の間で、慶応大学SFCのAO入試の書類を全員が書くという進路の選択決定行為につながっている。別に全員がSFCのAOを受験するわけではないのであるが、この書類は自分というものを多角的な面からとらえ表現する膨大なプロフィール作成作業なのである。AO入試においてSFCは先駆者であり、またそのシステムは生徒の人間像全体を把握するうえで最も信頼性があるといわれている。このシステムを進路選択決定行為として導入している。

◆ ただ、何の準備もなくこの書類を作成しようとすると、実は何も書けないのである。社会の問題、自分の問題、社会と個人のつながり、時事問題、科学的な視野、自分の目的などについて常に考え巡らし、問題解決策の企画をし、他者との交流というような生活を日ごろから送っていないと書くこと、表現することができないのである。

◆ しかし、では全員が表現できる。ホームルームノートに象徴されるように日ごろから考えを巡らす経験をしているからだが、この経験こそ創造的立場に立つことであろう。

◆ そしてこの創造的立場に立つのは、ホームルームノートでだけではない。部活やイベント、授業すべてにおいて生徒たちは創造的立場に立つのである。もちろん、生徒ばかりではない。教師も同様だ。その現れが、授業の進化である。創造的立場に教師が立てば、授業の仕掛けも常に新たに生まれ変わる。たとえば、社会科は生徒1人ひとりが自己理解と社会認識というジレンマを統合できる仕掛けを常に考案している。なんと言っても現代社会を正解のない科目というまさに創造的立場にセットしているのだから。日々新たなりという授業の仕掛けになっているはずだ。

◆ 数学科も論理的構成力を身につけたり、文化としての数学や生活の中で有用な数学というものを考えたりする仕掛けづくりにチャレンジしている。しかも東京私学教育研究所と協働しながら視野の広い研究を通してである。英語科も来年発表できる秘策を用意しているようである。画期的な英語教育の改革になるだろう。今から楽しみである。



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