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学校探し(50)
富士見丘中学校の「中学1年オリエンテーション合宿」が始まった
2005年4月14日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 横浜市にある富士見丘中学校・高等学校(以降「富士見丘」)の「中学1年オリエンテーション合宿」が始まった。その様子はホームページ(→http://eri.netty.ne.jp/hesp_repo/2005/fujimigaoka/index.htm)で公開されている。昨日から2泊3日の合宿のようである。

◆ Hondaというグローバル企業と協働しながら、新入生が6年間自分をどのように形成していくのか、生きることのすばらしさの種作りが行われているようだ。その種を持ち帰って、大きく育て花開かせる。途方もないプランニングである。

◆ 富士見丘の教育ビジョンは、21世紀の社会を、新しい価値を創造し、やさしさや思いやりのある共生する社会にしていくための真の21世紀型リーダシップを育成することだ。このリーダシップは、特定のエリートのリーダシップという意味ではなく、多くのものを学び、経験することによって誰にでも身に付けることができる能力であるとするのもすごい。

◆ そしてこのようなリーダシップを富士見丘の生徒たちが全員身に付ける環境を着々と整えている。シラバスの完成、土曜講座の実施、アメリカホームステイ、65分授業のスタートなど教育の質を支える環境を整えている。環境、福祉、国際、情報、女性と文化という5つのテーマを「心を育てるプログラム(富士見丘学園の人間教育)」にまとめ、多彩な講演会や体験学習・体験活動等を総合して実施している「心のビタミンプログラム」も成果をあげているようだ。

◆ そして来年2006年夏には新校舎移転。現在校地の3倍の広さを有するようになるという。こうして富士見丘の教育ビジョンの不易流行が形になってきている。形になると同時に、それは世間の目に触れ、評価も上がっている。その証拠が生徒の応募者数である。2003年の募集総数(複数回数の入試応募者数の総和)は322人、2004年は345人、2005年は705人と右肩上がりなのである。

◆ そして今年からHonda(Honda「発見・体験学習」という独自のプログラムを開発実践している)とコラボレーション。グローバル企業としてのHondaの創造的な最先端技術、人材育成の奥義と富士見丘の教育力の融合を新入生のオリエンテーションというスタート地点から実行したのである。

◆ Hondaはいうまでもなく創設者本田宗一郎氏の精神をベースに仕事を大きく展開している。この本田流儀を共有するには、宗一郎氏の書いた本や語録を読んだだけではだめだろう。それが可能なら誰でも本田宗一郎氏になれる。そうはいかないのは明らかだ。どうやってこの流儀を不易流行としていくのだろうか。

◆ その1つがワイガヤである。チームで議論しながら、発想を創出し、あらゆる角度から検討する。それもまた徹底して議論する。そして企画提案。根拠とデータを簡にして要を得たプレゼンテーションに仕上げていく。もちろんいつまでも長々と研究をしている時間はない。限られた時間限られた資源で最適化することが要求される。そのためにはチームワークのよさは当たり前である。

◆ このような流れを、本田宗一郎氏は次のように表現する。「時間と理論とアイディアを尊重しよう。本当に困り抜いた最後の時にその問題を解決できるか否かが大事なんだ」と。だからHonda「発見・体験学習」プログラムは、議論とアイディアを時間で追い詰めていく本田流儀仕立てになっている。初めてこのプログラムに参加するたいていの先生方は、少しせわしないのでは、きついのではないかと感じるようだ。しかし2日めの夕方ごろからそんなことはどうでもよくなってくる。物理的な時間が心理的な時間に変わる。物理的なものや空間は、虚時空に変容する。発想が生まれるとき、日常的な時間は中枢神経回路の時間にシフトする。マルチ・インテリジェンス理論を提唱しているハワード・ガードナー教授(ハーバード大学)は、その状態をフロー状態という。

◆ こういう日常生活とは違う学習時空と富士見丘の教育力の連携は、将来いったいどんな教育的成果をあげるのだろうか。富士見丘の挑戦を今後も注目していきたい。



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