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中村学園を通して女子私立中高一貫校を考える(4)
2005年4月1日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 中村学園は、「みやこどり」というイヤー・ブックを発行している。今年で58年目。各学年の生徒、教師の知的活動や研究活動の論文から同窓会や後援会の投稿まで、中村学園の教育力の全貌が明らかになっている冊子である。このような冊子はどこの学校でも発行しているが、同学園のように説明会で、学校選択者に配布する学校は少ないかもしれない。

◆ この何気ない行為にも実は大きな意味がある。イヤー・ブックは、企業で言えば投資家情報なのだ。ステイクホルダーといえば、企業の用語だと勝手に思っている人もいるだろうが、OECD/PISA(国際学習到達度調査)でも報告されているように、学校現場でも使うのである。学校経営者、教師、保護者、生徒、同窓、サプライヤー、学校選択者などのような(利害)関係者のことを指す。

◆ 中村学園は、この意味のステイクホルダーに、教育力の実態を毎年報告するという情報公開行為を実行しているのだ。これが本当の広報活動なのである。よい意味で説明会は株主総会のような機能を実現しているのだ。こういう活動を行っている私学は信頼できる。

◆ さて、問題は中身であるが、表紙を開けると、毎号詩が掲載されている。この詩は青春の詩で、前向きな生徒たちの背景にある人間存在の重さとその不安が付随しているまじめな作品だ。その不安をどのように乗り越えていくか、そういう生徒像あるいは教師像が描かれている。

◆ いったい誰が創作したのだろうと思っていると、Y先生の名前が目に入ってきた。Y先生は、回文など創作してはことば遊びをしている先生で、ユーモアと機知に富んでいる賢い先生である。谷川俊太郎的な知的視点を持っている。その先生が、こんな人生をかけた詩を創るとは、奥行きの深さを感じざるを得ない。たしかに谷川俊太郎もことば遊びの詩と並行して哲学的な難解な詩を生み出している。

◆ また、アメリカから一年間中村学園に留学していた生徒の作文も載っている。中村学園の友人、先生方がいかにコミュニケーションをとって親切にしてくれたかが書かれているし、剣道、茶道、書道という「道」についても興味深く学んだということが書かれている。いずれも素直に中村学園の特徴を表現しているなあと読み進んでいくと、意外な指摘に驚いてしまった。それは「英語の授業がすばらしかったです」という一言だ。アメリカ人が日本の学校の英語の授業を受けて、すばらしいと感動しているのである。一体どんな英語の授業なのだろう。一度見学してみなくてはならないなと考えている。そして中村学園の「みやこどり」をもう少し読み込んでみたくなった。



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