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学校探し(47)〜School and Classroom Climateを高める
共立女子第二中学校・高等学校
2005年2月18日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 2005年の共立女子第二中学校・高等学校(以降「共立女子第二」と表記)の生徒獲得戦略は成功だったと思う。実質倍率は同校のホームページを見ればわかることだが、とにかく応募者数が増えていることがまずは重要なのだ(応募者総数は、前年比121%。下記の表を参照のこと)。同校は、2007年以降に公立中高一貫校に囲まれることになるが、この勢いでいけば心配はないだろう。

実施年度 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年
応募者数(名) 365 389 594 538 758 919

※複数回入試実施の場合は、合算した数値を掲載しています。

◆ 詳しく言えば「『この勢い』を支えている教育活動があれば」ということである。それでは、このような教育活動とは共立女子第二においては何だろう。もしかしたら説明会では、保護者はこの本質的な部分は明確には見てとることができないかもしれない。もちろん肌で感じとってはいる。しかし、それは目には見えないのだ。

◆ この目に見えないが本質的なものとは、OECD/PISAの分析によると"School and Classroom Climate(以降SCCと表記)"である。国立教育政策研究所が「学級雰囲気」と訳しているように、このSCCは、何せ雰囲気であるがために、目で見ることができないのである。身に染みてわかる以外に術はない。

◆ さて、このSCCは、OECD/PISAの報告では、生徒たちの様々な学習リテラシーに影響を与えるようだ。結論的に言えば、SCCが良好であれば、生徒たちの多様なリテラシー、ことにフィンランドの教育が重視しているクロス・カリキュラム・コンピテンス(CCC)に好影響を与えるというのである。日本はこのSCCの指標が低い。

◆ 当研究所の岡部によると、このSCCの指標を低くしているのは生徒ばかりではなく教師に起因する可能性があり、おそらくそういう教師は抑圧的な指導や人間関係を構築しているだろうと言うことである。(参照→「OECD/PISAから見る『未来を創る学校』(1)」http://eri.netty.ne.jp/eduinfo-rep/eduinfo/20050214.htm

◆ 日本の教師の組織というのは、このSCCの指標を低くしがちな集団であるというのは、よく言われていることでもある。しかし、そんな中で、それとは全く違う、つまりSCCの指標を高める教育活動をしている教師、またその論理と技術を身に付けている教師がたくさん存在しているというのが共立女子第二の特徴である。それがあるからこそ保護者が訪れたとき、豊かなSCCを感じることができるのである。

◆ 「月刊学校教育相談(ほんの森出版)」という学校教育相談研究所(所長小泉英二)が編集している冊子がある。子どものこころを育てる実践や研究をしている先生方の論文が掲載されているのであるが、その2月号に共立女子第二の伊藤久仁子先生の論文が載っている。

◆ 担任として、教科を指導する立場として、「受け入れにくい子との出会い」がある。そのときの教師と生徒との人間関係の作り方は、SCCという学級雰囲気をどのように形成するかにものすごく影響する。伊藤先生は、そういう出会いを豊かなSCC作りのトリガーとして生かしていくことの意義を語る。そしてそのトリガーとして捉え返すことが、実は生徒1人ひとりの発達の状況が見える瞬間であり、生徒と今学んでいることが未来につながる実感を共有できる瞬間であることも論じている。このトリガーとして捉え返すツールとして「得意・不得意チャート」を提案している。

◆ そしてもっとも重要なことは「持ち味を殺して無理をするより、チームプレイや生徒集団のエネルギーに力を借りる」ことであるという点だ。「持ち味を殺して無理をする」と教師と生徒との人間関係は抑圧的になる。SCCの指標は下がる。「チームプレイや生徒集団のエネルギーに力を借りる」と教師と生徒との人間関係には双方向的で創造的なコミュニケーションが生まれる。よってSCCは豊かになる。この伊藤先生の論文は、「受け入れにくい子」との接し方について、教師間で大いに役立つと同時に、反抗期の子どもと親が接するときにも大いに参考になるだろう。

◆ このように、共立女子第二の人気の秘密は、SCCが豊かであるからである。いや、豊かなSCCを形成する経験と技術と知恵を持った教師のチームプレイがあるからであろう。今年の入試では、八王子駅前の京王プラザホテル八王子でも受験できるように会場を設けたそうだ。合否判定に関しては「スペシャリティ・セレクション」を導入し、1科目でもたいへん良い成績を収めた受験生は、他の教科の得点にかかわらず、その1科目の成績をもって合格としたそうだ。教師中心主義では全くでてこない発想である。入試という制度の中でも、豊かなSCCを生み出す姿勢が一貫しているということだろう。



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