私学Bracketing 私立中高一貫校研究 学校選択を考える 入試について 学力を考える 学びを考える
フランク・ロイド・ライトとの対話 これからの教材 企業と経済研究 入試に役立つ読書 未来を創る学校 ホンマのエッセイ





学校探し(21)
〜新校舎で勉強・部活に励み、夢に向かって努力できる大妻

2004年12月7日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)


■ 「恥を知れ」。インパクトのある創立者の言葉だ。これは生徒1人ひとりが自分に向けて語りかける言葉であり、自分を律したり、自分をチェックしたりするメタ・アイデンティティを設定する言葉である。

■ このように「恥を知れ」と自らに語りかけ、自分を律し、知性と品性を併せ持ったプリンセス(校長が淑女=プリンセスと考えている)を育てる教育環境は、本当に充実している。校舎も新しくなり、進学実績もよい。恵まれた環境と出口を保証する教育体系。

■ たしかに多くの保護者が安心するだろう。とにかく物質的にも精神的にも安心・安全が第一というのが21世紀の時代の一要素である。そのうえで自己実現であるが、残念ながらマズローの五段階欲求説が示唆するような「自己実現」とは違う。大妻ではあくまでも生徒1人ひとりが選択した大学に進学することが自己実現なのであろう。

■ もしマズローが示唆するような「自己実現」であったとするならば、「茶道を通して感謝の心と礼儀を学ぶ」という説明はなかっただろう。「茶道」は岡倉天心の著書「茶の本」に象徴されるように、芸術的知性、論理的知性、時空的知性・感性をインスパイアーし、宇宙的自己を覚醒する道としてとらえた方が、マズローが示唆する「自己実現」になるだろう。つまり茶道は生徒たちに無限の可能性を示唆するのだ。

■ もちろんこれは価値観や美意識の違いだから、筆者の主観的な感想に過ぎない。大妻の学校説明会資料を見れば、なるほど必要十分な要素が丁寧に組み立てられた教育体系が構築されているということがよくわかる。ただし、それは要素還元主義的な構築方法であり、関係主義的なデザインではない。要するに、1+1は2という論理実証主義的考え方でもある。もっとも、関係主義的なデザインは、1+1が3にも5にもなる考え方であるが、一方で1+1が0にもマイナスにもなる可能性も残されている。どちらを選択するかは難しい。堅実派か冒険派か。世の潮流は堅実派が多いかもしれない。本当に21世紀を創ろうなどという人は多くないからだ。

■ そうそう、大妻の教科の中で、唯一関係主義的な教科がある。あるいはその名残があるといった方がよいかもしれないが、それは「技術・家庭」。創立者大妻コタカの時代に重要な女子教育の柱であった、総合的な知性を養う「家政学」の伝統が、実は21世紀では新しいのかもしれない。



私学Bracketing 目次へ