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| 開成中学の教育の質 |
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2002年11月11日 |
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■ 開成を創り上げた人物、育った人物に、傑出した人物―たとえば、高橋是清、田辺元、田中美知太郎―が多いのにもかかわらず、ここ十数年東大合格実績ナンバー・ワンを驀進している受験校であるという間違ったイメージが定着している。 ■ たしかに、東大をたくさんいれている学校で、結果的にそれだけを目標にしている学校もあるらしいが、開成中学は決してそうではない。それを払拭するような資料を学校自身が編集制作し、今年の説明会で配布した。 ■ この「学園説明会資料」は、開成中学・高等学校の教育の質を、同校としては簡易に≪言語化≫したものであろうが、保護者にとっては、50ページにもなる膨大な資料で、熟読玩味に値する小冊子である。同校の姿勢が、完全にオープン・マインドで、高橋是清先生の理想に燃えた現実主義者的な精神があふれていることがよくわかる内容になっている。 ■ たとえば、校長先生のメッセージだ。「最近の生徒自らが行ったアンケートによると、圧倒的に多数の生徒が『開成が好き』と答えております。本校ならでは学べないものを得、体験できてほんとうに良かったと感じているようです。卒業生が、21世紀を担う人材として開拓精神、想像力と実行力をもつ人、また、専門的能力だけではなく幅広い教養をもち、各分野のリーダーとして国際的に信頼される人に育っていくことを確信しております」という部分である。ビジョンを明確に掲げつつも、宣伝も忘れない語りが小気味よい。 ■ カリキュラムや各教科の教育方針も丁寧に書かれている。主要教科だけではなく、芸術や体育、そして総合的な学習についてもしっかりまとめられている。総合的な学習については、「教科教育のありかたも一方的な知識注入型では生徒の多様な学習ニーズに対応できないことは自明でもあります。すでに既存教科の枠内で生徒の自発性や主体性に基づき、調べ・発表する学習や、校外実習を有機的に授業に組み込むことがなされていました。その意味でいわば世間にいう総合的な学習は先取りされてきたのです」とその位置づけを明快に表明しているが、それがかえって開成の教科教育の質の高さを証明することにもなっている。 ■ 学習面だけではなく、クラブ活動や旅行、行事、生活指導、進路指導などについても、その目的と学習的な側面について説明されている。「各学年の様子」という生徒の自己実現のプロセスを描写しているページは、開成中学校の人材育成がしっかりしているということが表現されている。教育空間の克明な図面の提示は、空間が果たす教育の役割がよく理解できる。とくに中学校と高校の対比は、それだけで、生徒の成長に合わせた教育が行われていることを想像させるに十分である。 ■ この「学園説明会資料」は、開成中学校の教育の質・このように≪言語化≫できる教師陣の卓越性を言い表していると同時に、「学校選択のものさし」も提起している。この資料の中身を大きく分けると、「ビジョン」「生徒の自己実現のようす」「学習プログラム」「教師の質」「教育空間」「大学進学実績」となる。この6つの要素でそれぞれの私立学校を見てみると、どの私学もがんばってはいるが、差異があぶりだされてくるだろう。 ■ それにしても、これほどまで開成の教育を包み隠さず表現するのはなぜだろう。自信があるからには違いないが、学内で何らかの変化が起きているのではないだろうか。わざわざ次のようなQ&Aを書いているほどだ。「Q:生徒に対する面倒見が悪いと聞きますが、どうですか?A:自覚と責任をもった人間として開成を巣立っていってもらうため、在学中から根気強く、『考えさせる』指導を行っております。生徒をいたずらに細かい規則で拘束することがないぶん、そのように見られてしまうことがあるかもしれません」と。ウイットに富んでいるでは済まされない何かを感じるのは私だけだろうか。資料の中には、さりげなく「2002年度の入試データ」として、各教科の合格者平均と全体平均が掲載されているが、このデータには、開成に進学する生徒たちの質の違いが表現されているように思われる。これについては、いずれ考えてみたい。 |
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