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学校選択の前に学校発見

2006年4月14日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 学校選択のポイントは、簡単に言うと3つある。「@地政学的ポイント A基礎基本の学力育成のポイント B創造的才能開発のポイント」がそれである。しかし、一般にはAのカテゴリーでのみ選択される傾向にある。もちろんそれはマスコミレベルで、実際の選択者の傾向は違ってきているが。

◆ それはともかく、一般的な傾向で選択されると、結局偏差値と大学合格実績(特に東大合格実績)で選択されることになるから、首都圏の私立中高一貫校の30%ぐらいから選ばざるを得なくなる。これはあまりに選択幅が狭すぎる。たとえば、神奈川のフェリスや横浜共立などの選択者の併願校を見てみるとそれは明らかだ。

◆ 2004年の例(日能研志望校調査)で言えば、フェリス女学院の併願校を多い順で並べると、≪鎌倉女学院A・横浜共立B・慶應湘南藤沢・頌栄A・鎌倉女学院B・B≫。横浜雙葉の場合は、≪鎌倉女学院A・鎌倉女学院@・横浜共立B・田園調布学園A・田園調布学園B・カリタス女子B≫。横浜共立の場合は、≪鎌倉女学院@・鎌倉女学院A・田園調布学園A・横浜共立B・田園調布学園B・神奈川大学附属B≫。(参考→ホンマのブログ「教育のヒント」

◆ 3校ともほぼ同地域にある学校なので、わかりやすい例なのであるが、併願校も似たり寄ったりである。全く地政学的な戦略は検討されていないだろうし、創造的才能開発を実施しているかどうかの検討もされていないだろう。一定のエリア範囲と一定の偏差値範囲で選択されている、つまりポイントAの条件だけで判断されているのである。

◆ このように選択幅が狭いということは、それだけ受験に対するストレスが、子どもにとってだけではなく、家庭の雰囲気にとっても高くなる。子どもの成長時期に、高ストレスな雰囲気が続くことは、あまりよいことではない。そのことはOECD/PISAの学習の背景の調査でも明らかになりつつある。

◆ 地政学的なポイントから考えると、多くの地域から集まっている学校も魅力的なのである。何も外国人ばかりと交流することが異文化理解の学びなのではない。国内でも県単位の居住の違いは、文化の違いにもつながる。特に自治体の相対的自律が強化される時代は、それが顕著になるだろう。もちろんその逆もある。自律すればするほど競争が激化し、競争が最大公約数的な画一的な姿を造ってしまうということもあるが、それはそれで体験するのもおもしろい。要は気づきが大事なのだ。いずれにしても広範囲から生徒が集まるというのが、公立学校と私立学校の大きな違いでもあるはずである。

◆ 創造的才能を開発しているかどうかも重要だ。東京大学大学院工学系研究科助教授山口猛央さんは、砂糖の燃料電池の開発者。中学生のころ相対性理論に関する入門書を読んだのが研究者になるきかっけだったという(日経産業新聞2006年4月13日)。中高時代に受けた創造的な刺激は、キャリア・プランに大きな影響を与える好例。

◆ 基礎基本の学力を育成するだけでも大学合格実績というものは伸びるが、そこから先のキャリア・プランを立てるとなると、どうしても創造的才能にこだわる必要がでてくる。生徒1人ひとりの創造的才能は、多様な分野で発揮されるはずだ。それぞれの生徒がどの分野で創造性を発揮できるのか。それに気づくチャンスは、職業診断テストもよいが、実際に創造的才能を開発するプログラムそのものだろう。

◆ 東京の大井町駅から徒歩10分(西大井町駅からは徒歩5分)のところに、小野学園女子という女子校がある。同学園の選択者の併願校は、品川女子学院、横浜女学院、麹町女子、和洋九段、跡見・・・。地政学的ポイントとから見れば、多くの地域から生徒が通ってくる可能性のある学校である。基礎基本の学力面から言っても、医学部や看護系など理系進学の芽も育っている。早稲田大学などのいわゆる難関大学の合格者も輩出されている。創造的才能の開発のポイントも、申し分ない。チームで実験や議論、プレゼンテーションなどを実施するチャンスが存在しているからだ。

◆ 最近は、マスコミ・編集分野や企業のマネージメントの領域のみならず、科学や数学という分野でもチーム志向になっている。文系、理系問わず、このようなサバイバルスキルは重要なのであるが、このサバイバルスキルこそ創造的才能を直接開発するツールである。このスキルやツールを活かす学びの環境を着々と備えているのが小野学園女子。

◆ 1つのポイントだけから見ていると、良質教育を実践している学校を見逃してしまう。3つのポイントで見ていくと、それは回避できる。学校選択をする前に、良質学校を発見して、選択の幅を広げておくことが、子どもの未来や夢が豊かになる条件なのである。


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