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東大合格者数から読む私立中高一貫校選択

2006年3月29日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆20世紀型社会ではなく21世紀社会を形成する教育とは何かが模索され始めて20年は経ているだろう。一方、この時期になると東京大学の合格者数の学校ランキングでマスコミは鐘や太鼓を打ち鳴らす。いつもより販売部数も多めに刷っているはずであり、あまり社会の変化はないようにも思える。

◆しかしながら、いつもとは若干トーンが違う。公立を持ち上げたかと思うと、医学部ブランドを持ち出して私立中高一貫校の底力を評価したりしている。かつてのように東大合格者数の多寡でシンプルに語ることができないでいる。

◆どうやら特定の目玉商品で語り尽くすことができないでいるようだ。これは同時に学校選択者にとっても、東大実績や偏差値だけで選択する時代からそうでない時代に移行したことを意味する。

◆この現象を説明する考え方として、Web1.0からWeb2.0へシフトしている高度知識情報社会のマーケティングの方法を、1つのフィルターとして使ってみるのもおもしろい。東大合格者数のグループごとに私立学校の合格占有率を出し、以下のようなグラフにしてみた。





◆すると全体が竜の形のように見えるだろう。従来は「竜の頭」の部分だけが重要で、「ロングテール(長い尻尾)」の部分は注目されてこなかった。書店に行っても、コンビニエンスストアに行っても、売れ筋商品だけが配置され、そうでないものは淘汰されていく。中身はどうでもよい、実績と雰囲気が大事だった。置いておく場所に限りがあるからだ。

◆ところが、Webの世界は、「ロングテール」の部分をサイトに置いておける。少数の愛好家がそれについて細かく中身についてWeb内で論じ合っていると、突然火がつくということがある。「電車男」がベストセラーになったりするのは、Webの存在なしには語れない。

◆要するに「ロングテール」の部分は別の良さがあるにもかかわらず、世間は特定の尺度しか受け入れてこなかったため、その良さに気づけなかったのである。ところが大学実績や偏差値という尺度以外に、多角的に不特定多数に中身を発信できる時代がやってきた。そうなってくると、世の人々は「ロングテール」の部分に宝物があることに気づくときがあるのだ。

◆上記のグラフでいえば「ロングテール」のもっと先にまだまだ気づいていない良質学校がたくさん存在しているということなのである。その中から東大に少しずつ合格する生徒が出てくる。

◆東大はもはや官僚養成学校ではない。もちろん日本国を支える官僚は輩出され続けるだろうが、かつての京都学派のような存在が東大の中にも一部生まれてくるようになる。まだそれほど世間に知られていない良質学校の生徒は、そういう東大の変化に気づき、自分の研究や探究の場として選択するようにもなるだろう。

◆たとえば、今年応募者数及び入学者数が激増した「かえつ有明」や「中村」などは可能性大である。実際グローバルな視野と思考の深化をベースにトータルな教育を実践してきた目黒学院から東大合格者が輩出された。10年前に中学を開設したのだから、その歴史は新しいといってよいだろう。学校選択は「竜の頭」だけ見ていたのでは、考え方も心も狭くなる。すると受験は高ストレスでしんどい闘いとなろう。「ロングテール」にも目を向けることこそ、新しい社会におけるキャリア・プランとなるのではないだろうか。

※「ロングテール」に関しては、「ホンマのブログ:教育のヒント2006年3月27日」参照のこと。

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