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11月公開模試から学校選択の動向を読む

2004年11月22日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)


■ 今年の11月に実施された公開模試の志望校登録者数から、来春首都圏中学入試の学校選択の傾向をみてみよう。男子の受験校(男子校と共学校)151校と女子の受験校(女子校と共学校)205校の第1回目午前中のデータを分析した。第1回目の午前中の受験校がほぼ第1志望校であろうという前提で、ここに焦点をあてた。実際にここ数年2月1日、2日の午前入試の実質倍率は高く、3日を過ぎると急に実施倍率が下がるので、このような考え方には妥当性があるはずだ。

■ 昨年の同月の志望校登録数と今年のものを対比して、その増減を調べた。そして、エクセレントスクール(EQ)、クオリティースクール(Q)、エリートスクール(E)、トラディショナルスクール(T)という4つのカテゴリーごとに前年比増の学校の占める割合を出してみた。それが下記の【表1】である。

【表1】:各カテゴリーの学校の中で前年比100%を越えた学校の割合

増加校割合 EQ Q E T
男子 67% 50% 65% 42%
女子 37% 58% 61% 48%

※学校選択カテゴリーについては以下のページを参照のこと。
http://eri.netty.ne.jp/honmanote/selection/2004/0816.htm
http://eri.netty.ne.jp/honmanote/shigaku/2004/1018.htm

■ 上記【表1】によると、男子に比べ女子の学校選択嗜好は、進学指導に重点を置いているエリートスクールにあるように見えるが、それは共学校も含んでいるからである。それぞれ増えている学校の中から男子校、女子校が占める割合を出してみるとそのことがよくわかる。

【表2】:【表1】で増加校に占めるシングルスクールの占める割合

増加校割合 EQ Q E T
男子 69% 20% 47% 26%
女子 77% 60% 18% 46%

■ エクセレントスクールで前年比増の学校は、シングルスクール、つまり男子校、女子校が圧倒的に選択される傾向が高く出ている。特に女子校においてはクオリティースクール、トラディッショナルスクールは女子校が選択される確率が高い。

■ しかし、エリートスクールにおけるシングルスクールの選択嗜好性は低い傾向として表れている。【表1】【表2】からわかることをまとめてみると以下のようなポイントになろう。

(1) 男子も女子も「進学指導」が充実し「国内だけではなくグローバルな社会で活躍できるリーダー」を育成できる≪未来を創る学校≫という意味のエクセレントスクール、クオリティースクールを選択する傾向にある。
(2) 男子の場合、(1)の2つの要素が満たされない場合、「進学指導」の充実に優位性を置く。
(3) 女子の場合(1)の2つの要素が満たされない場合、「国内だけではなくグローバルな社会で活躍できるリーダー」育成に優位性を置くだけではなく、伝統的な女子校もその視野に入れている。これはクオリティーの不易と流行のどちらを選ぶかの違いはあるが、結局全人教育的な教育の質にこだわるのが女子の学校選択の傾向だといえよう。
(4) エリートスクールのカテゴリーで前年比増の学校は、男子、女子とも共学校を選ぶ傾向が高いが、これは共学校のあり方が「進学充実」重視の傾向にあるということを物語っていると考えることができる。

■ 以上の結果は当たり前と言えば当たり前であるが、共学校の教育の質は、「進学指導」に力点が置かれ、その質を超えるクオリティーを持っているのは、男子校、女子校というシングルスクールにあるという意識が受験生あるいは保護者にあるということがある意味明らかになるということではないだろうか。

■ つまり、共学校は「進学指導」の先にある社会的所属欲求、安定欲求、「男女共生」という生理的欲求、愛情欲求の最適化教育領域であるのに対し、シングルスクールは、生理的欲求、安全欲求、愛情欲求、所属欲求を超越した自己実現の欲求を最適化する教育領域にあるという微妙な差異があるのかもしれない。

■ 国民、市民、庶民、エリート、知識人、グローバル市民などなどいろいろな生き方があるだろう。どのような職業につこうが、国民的職業人、市民的職業人、グローバル市民的職業人、知識人的職業人などなど違いがでてくる。学者だからといって、知識人的生き方、グローバル市民的生き方をするとは限らないということである。進路指導は、この「X的W職業」というXとWという両方の変数について語り合う環境がなければならないが、共学校はWを中心に、シングルスクールはXを中心に指導しているのかもしれないということか。


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