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学校選択の参考になる本 |
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2004年8月31日 |
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◆ 夏休みも終わると、小学校や中学校、高校に進学する準備が始まる。そして、その準備は、子どもたちの将来や学力状況、性格にあった学校をまず探す(この時期はもはや選択決定するときなのかもしれないが)というところから始まるだろう。私立公立を問わず学校選択について思いを巡らすのは、かつては高等学校や大学の進路を考える時であったが、最近では公立の小学校や中学校に入学する際にも選択する制度が拡大しつつある。 ◆ そういう意味では、吉田新一郎氏の「いい学校の選び方−子どものニーズにどう応えるか」(中公新書 2004年8月25日発行)という学校選択についての本の出版はタイミングがよい。今までも初等中等教育段階の学校選択の書は多数あったが、そのほとんどが私立学校という範囲に限られていた。公立の学校選択制度がなかったのだから当然といえば当然であるが。 ◆ ともかく、新書版一冊丸ごと私立公立問わず広く学校選択の方法論について説明している本は今までなかったと思う。アメリカに行くとモールの中の書店でも学校選択や学校の評価に関する本に遭遇するが、いよいよ日本もそういう時代に突入したのかと驚かざるを得ない。 ◆ もっともこの書は、一見すると保護者向けに書かれているが、これほど多様な角度からかつ詳細項目に渡って学校をチェックする保護者は、現状の日本において存在するかどうかは疑問である。吉田氏はまず自身がイメージする「いい学校」の記述から始めるのであるが、その学校はおそらくアメリカに既にあるチャータースクールを想定しているのではないだろうか。その記述の中にでてくる「プロジェクト学習」「コミュニティ・スクール」「マルチ能力」「学び続ける組織」「情報メディアのスペシャリスト」等のキーワードは、まるであのビル・ゲイツが大いに気に入り支援しているチャータースクールを構成している要素なのである。 ◆ このことはあくまで憶測に過ぎないからどうでもよいのであるが、いずれにしてもそのようなチャータースクールと同じような学校が日本に果たして存在するのだろうか。このような学校をチェックする詳細項目は、おそらくまだ日本の公立学校を保護者がチェックするものとしては妥当性(信頼性はあるが)はないかもしれない。 ◆ それにアメリカの場合、日本とは違って、従来型の公立学校以外に、チャータースクール、ホームスクール、株式会社学校などオルタナティブな学校が多々あるわけで、日本とは状況がだいぶ違う。そして、吉田氏の学校選択の項目や考え方は、アメリカのそのような多様な学校を評価してアクレディテーションを出すための本格的な項目に符合するのではないだろうか。 ◆ したがって、吉田氏の本は、実は学校選択の本ではなくて、学校作りのための本であり、保護者のためというより、自治体や教師のための本なのではないだろうか。もちろん、保護者に評価の勉強をさせることによって教師にも刺激を与え、学校を良くしていくという相乗効果を戦略的にねらった本であるのかもしれない。 ◆ しかし吉田氏も指摘しているように、これらの項目は文部科学省の新学習指導要領を整理していけば、重なり合う部分も多く出てくる。それにもかかわらず学校はなかなか変わらない。その理由は教師の質が低いからではない。吉田氏や学習指導要領のような外延的な項目の立て方では、それはスローガンあるいは目標で終わってしまうからなのだ。 ◆ それではアメリカではなぜ稼動しているのか。それはこれらの項目はあくまで手段であって、その手段によって達成する共通の目標というかビジョンがあるからなのである。そして、それぞれの項目にこの目標やビジョンが内包されているからである。つまりフィロソフィーが内包されているからなのだ。吉田氏も結局はビジョンが大切だと指摘するが、日本の教育経営者もそのことはわかっている。しかし、現場ではビジョンもそれを実現する各項目も外延的な配列でしかない。すべてが横並びになってしまうのである。本来日本人が得意とするはずの外延と内包の入れ子関係が、こと教育の場では生まれない。そこが最大の問題なのだ。 |
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