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学校選択を考える(3)〜2003年9月7日公開模試保護者会会場から

2003年9月10日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)


■ 9月7日の公開模試の保護者会で、30分ほど話した後、私が最終演者だったこともあって、質問の長い行列ができた。1時間40分回答に応じた。私自身の話の内容は、いつもと変わらなかったのだが、年々質問の質がアップしている。

■ 質問の概要はこんな感じである。「この学校は卒業後、社会の変化に対応できる知力とタフな精神を鍛えてくれるでしょうか」「どの学校が新しい教育を実践しているのでしょうか」「A校とB校とでは、どちらが大学受験勉強以上の学習の環境をお持ちでしょうか」「C校とD校の自由に対する考え方の違いは?」「E校は、偏差値はそこそこ高い学校なのですが、説明会での先生方の対応がどこか曖昧で、本当のところ、良い学校と言えるのでしょうか」「受験英語ではなく、世界に通用する英語教育を本格的に実践されている学校はどこですか?」「自分の興味をじっくり探究するチャンスを与えてくれる男子校はどこでしょう。東大は考えていないのです」「息子は、将来小学校の先生になりたいというのですが、どういう学校を選択すればよいのでしょうか」「まだ精神的に幼くて、親も子も受験が不安なのですが、このままでは成績も伸びないし、仮に入ったとしても、やっていけるかどうか心配です」などなど本当に自分の子どもに合った学校を選ぼうと真剣に考えている保護者の方々が増えているのである。

■ これらの質問の根底にあるものは、ある意味偏差値というシステムをどうやったら乗り越えられるかという問題意識である。もしも高偏差値をとっていたとしたら、その場合は偏差値システムを大いに活用して偏差値競争の中で打ち勝っていけばよい。しかし、偏差値が思うように伸びない場合、偏差値システムに従っていれば、自分なりの学校選択ができない場合が少なくない。このシステムに従う限り、必ず格差がつくのだ。あくまでも偏差値システムという枠組み内の話しに過ぎないが、いわゆる上位校と呼ばれている学校に入れるのは40%の子どもたちだ。この偏差値システムは選抜システムと呼んでもよいだろう。

■ しかし、私立中高一貫校の学校の論理からすれば、選抜システムは塾側が作ったシステムであり、自分たちは学校と受験生が相互に選択し合う情報公開の場を作っていると考えているであろう。つまり相互選択情報共有システムを形成しているのである。ただ、受験準備が選抜システムの中で行われているので、開成、筑波大駒場、桜蔭、女子学院などはどんなに試験問題を工夫しても、受験生側がハイレベルで均一化しているため、相互選択の余地をなくしているのである。学校側としては痛し痒しだろう。しかし均一化されているハイレベルな集団は、それ以外の学校ではそれほど集中しない。それゆえ、相互選択情報共有システムはうまく機能するのである。武蔵や麻布という偏差値の高い学校でもそうである。だから、計算、知識、文章理解、要約力という基礎をトレーニングし、あとはそれぞれの過去問を丁寧に理解する応用力を、子どもが自らチェックしながら学習する環境をサポートするというシステムに切り替えるのも手である。受験勉強というより、受験をきっかけに本格的な探究学習をするという余裕をもてるシステムを選択するのも良い考えである。自己実現の過程をしっかり歩むというシステムを受け入れてみるということである。

■ 選抜システムという強迫観念の中で、勝ち抜かねばという判断もよいし、相互選択情報共有システムという対話型の進路選択決断もよい。ただ、後者は対話型であるから1つひとつ納得できる。進路に関して、「失敗―成功」という対概念がここでは生まれてこない。自分の状況に応じて信頼性と妥当性を判断して納得して進むだけのことである。

■ そうはいっても人は迷うものである。とくに、偏差値システムの中で、偏差値40になかなか到達できないで、それでもこのシステムとは違うシステムに切り替えることができないでいる場合、親も子も精神的にとても疲れるだろう。そういう時は、塾に相談に行くより、私立学校の先生に直接相談に行くほうがよいだろう。選抜システム内での解決策は「がんばる」か「がまんする」しかないからである。

■ こういう相談に親身になってのってくれる学校といえば、男子校では京北学園。特に校長の川合先生は、プロ中のプロ。開成などの他の多くの私立学校の講演者としても招かれているぐらいだ。女子校では中村学園。理事長・校長である小林先生もすばらしい知恵者である。

■ ところで、相互選択情報共有システムは、実は今後の社会の変化にもっともうまく対応できるシステムなのである。したがって、このシステムを十分にうまく使いこなしている学校は、本格的な英語教育とITツールを実にうまくミックスしている。偏差値システムより相互選択情報共有システムになじんでいる未来型の私立学校はといえば、東京女子学院、東京女子学園、東京女学館、女子聖学院、共立女子、神奈川学園、麻布、海城、京北、共栄学園、横浜隼人などが注目に値する。

■ そして、選抜システムと相互選択情報共有システムの両立に挑戦しているパワフルな学校がある。八雲学園、洗足学園、自修館中等教育学校、芝浦工大などがそうである。



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