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2007年中学受験から見えること(3)
〜中学入試問題の質は文章のメカニズムを読み取るコト

2007年2月14日
by 本間勇人

◆ 有元秀文さん(国立教育政策研究所 総括研究官)が講演で述べているPISAの問題と、わが国で行われる「国語」の問題の違いは7つある。1つひとつ考えていこう。

◆ 1つ目は「実際社会で直面する、生きるために必要不可欠な実際的な課題が対象となる。」とある。この報告書では、主語がないので、わかりにくいが、実際的な課題を対象としているのは、もちろんPISAの問題の方である。

◆ たしかに「落書きは許せるか許せないかについて」考え方の違う2人の文章の読解リテラシーは実用的である。しかし、これは国々の文化的背景の濃い文学的文章は出せないからというのが本当のところだろう。もちろん、漢字の書き取りなど出題できない。言うまでもなく、国際標準のテストとして公平性を欠くからに他ならない。

◆ それに「実際社会で直面する」とあるが、「落書き」よりも「自己を知ることをテーマ」にした文章というのは、実際的でないのだろうか?どちらも実際社会で直面するだろうが、自己との対話の方が、毎日のように社会で直面する問題ではないだろうか。

◆ 要するに哲学的文章や文学的文章を避けているということだけで十分なような気がする。それよりも重要なことは、文章の目的とその目的が相手に伝わるように例示やその他のレトリックをどのように工夫しているかメタ的視点を問いかけているところが大きく違うとした方がよいのではないだろうか。

◆ つまり、日常生活であれ、議論の場であれ、学問の場であれ、文章を書く目的とそれを達するレトリックのシステムの構造は共通している。そういう点で、PISAは、どんな職業に就いても、生きるために必要不可欠な読解リテラシーの視点を問うているのだろう。

◆ 世界の貧困問題の解決は、読解及び表現のメカニズムを体得することである。そういう意味では、日本の公立学校の「国語」の問題は、漢字の読み書き問題や文章のあらすじ程度の情報しか確認しない問題が多く、メタ視点を子どもたち自身に身に付けさせようとしていない。これでは世界の貧困問題を救える読解リテラシーを伝授する方法論を、教師は開発していないといえる。PISAが根源的に問題にしているのは、学力問題ではなく、世界の貧困問題を救える学習背景があるかどうかである。

◆ 一方、中学入試問題はPISA以上の問題を出す。たとえば、今年の雙葉中の国語では、吉本隆明さんの情報を自ら直接ゲットすることの重要性を説く文章を素材に、吉本さんが何を言いたかったのか、それが伝わるためにどんな工夫をしたのかを説明させる問題が出題されている。PISAと同趣旨ではあるが、素材文のレベルはPISA以上。また文章のメカニズムをすべて記述式で説明する設定。私立中高一貫校の問題は、暗記力を問う問題であるという朝日新聞の認識はちょっと違うようだ。むしろPISAを超えている。国際舞台で世界の痛みを受容し、解決するリテラシーを入試問題から問いかけているとなぜ評価できないのか。(つづく)



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