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2006年私立中高一貫校の「入試問題」を斜めから見ると(5)
白梅学園清修の場合

2006年2月16日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 今年、白梅学園清修は中学を新設した。はじめての入試問題が公開されたわけだから、これは非常に興味がある。まだ教育は実践されていないにもかかわらず、入試問題を出題するわけだから、教育の予告がここで行われるということを意味するからである。

◆ 同学園のホームページを見ると、教科の特徴が掲げられている。たとえば数学では「関数のグラフ化などにより、数学への興味を高める」という項目がある。そして公約どおり、関数をグラフ化あるいは視覚化する準備問題が出題された。しかも宝さがしという物語を視覚化する工夫がされている。数学への興味の入り口は入試問題から始まったのである。

◆ 立方体を3点で(2点は固定で1点は移動)切っていった時に、変容する切り口を次々とイメージしていく問題も、おもしろい。発想は今年の開成学園の算数の問題と同じである。また物々交換という設定で方程式の準備段階の問題を出題。方程式とか関数とかは、基本的には関係を抽象化する思考だから、このような問題は身近な現象を関数化するトリガーになる。

◆ 国語の教科の特徴はキーワードで拾っていくと、「言語感覚」「プレゼンテーション」「古典の学習」「漢字検定」。入試問題でもやはり、言語感覚の準備問題が織り込まれている。古典学習にも通じるが、文脈の中で言葉がどのように使われているかという言葉に対する感覚が大切にされた問いかけがなされている。文章素材もコミュニケーションと感情の問題をテーマにしたものが扱われていて、プレゼンテーションにとっての大切な心構えにつながる。漢字も10問出題されている。基本的な漢字ばかりだが、小学生にとって間違いやすいものがチョイスされていて、知識に対する丁寧な視点があることを示唆している。

◆ 理科の教科の特徴として興味をひく項目は、「身近な現象に不思議さを覚え、論理的にその理由を考える態度を養う理科授業」。理科の入試問題の扉を開くと、イヌとネコの生態的な違いを語り合う対話から始まる。まさに身近な現象が目の前に広がるのである。また棒磁石を糸でつるすとN極は北を指すがそれはなぜか説明する問題も出題されている。身近な現象から地球の特徴をつかむダイナミックな問題設定。なるほど論理的に考える態度を養う理科授業の予告がされているのである。

◆ 社会の教科の特徴に「五感」で楽しむという項目がある。入試問題も地図あり、表あり、写真あり、図あり・・・。五感で楽しみながら(受験生はそのような余裕はないだろうが)考える問題がふんだんに出題されている。

◆ ところで社会科の特徴でさりげなく語られているが、白梅学園清修らしい項目がある。それは「歴史教育の重視:現代社会の姿を認識する」という重要なテーマである。生徒たちが自己実現の道を歩むとき、現代社会がどこからきてどこへシフトするのか配視することが重要になる。歴史も地理も公民も、過去と未来の狭間の「今」を社会総体としてとらえることが鍵になる。教科学習が知識の集積を超えて人間教育につながる瞬間であるが、入試問題もこのコンテキストになっている。

◆ 昨年の白梅学園清修の説明会は、非常に丁寧なものだったと風の便りで聞き及んでいる。入試問題に向けてのワークショップも行われていたという。丁寧に添削をして、白梅学園清修の教育につながるようにアドバイスがなされたようである。教育理念の浸透が入試以前から始まっていたわけだ。当然ながら入試問題にそれが反映された。そしていよいよ6年間一貫教育の実践。教師の一挙手一投足、一言一言に理念が染み渡り、それが生徒に伝わる。白梅学園清修の新しい歴史の誕生である。



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