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私立中高一貫校の入試問題が示唆するコト

2006年2月1日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 2月1日、いわゆる東京男女御三家の私立中高一貫校の入試が実施された。御三家の入試の問いかけは、たいへん興味深く、他の私立中高一貫校が無視できるような問題ではない。なんらかの影響を受けざるを得ない良質の問いかけが巧まれている。

◆ ここ数年、都立高校などで、独自入試を制作する動きが見られるが、マスコミや世間の入試問題のイメージは、一般的な公立高校入試問題である。どの公立高校も同じ問題だから、どのような才能を有した生徒を選抜したいという意志は見られない。大学入試も、大学自体がマスだし、試験を制作編集する教授陣も大学の理念など問題にせず、中立的な論理的な思考がわかればそれでよいという考え方が一般的である。それがゆえに特別入試やAO入試が増えてきているのだ。

◆ 要するに入試問題が学校の教育の顔だなどという意識は皆無に等しい。それが公立高校入試や大学入試である。その点が私立中高一貫校入試が世間のイメージと大きく違うところである。

◆ 私立中高一貫校の入試問題は、それぞれの教育理念が反映している。その反映させる手法は御三家ほどになると明確に違うし巧妙だ。今年の問題も、その傾向は変わらない。変わるとそれは教育の変化を意味するわけだから、大きな変化がありようはずがない。

◆ たとえば、麻布の国語は8000字程度の物語を出題し、登場人物の気持ちの変化をレトリックを通してたどっていく読解リテラシーを問うこと自体に変化はない。開成も文学的文章と論理的文章の2題構成で、合わせて7000字弱の文章素材を出題する点は変わらない。今回出題された自分の経験の分析(100字の論述問題)も従来からときどき出題されてきたものである。武蔵も6000字弱の小説を出題し、それに対する問いかけは8つ。全部記述式。これも変化しない。リリー・フランキーの「東京タワー」を出題し、大人の視線で見た子どもを子どもに読解させるというシミュレーション型読解リテラシーも相変わらずだ。

◆ しかし、この思考力や発想力、創造力を徹底的に問いかける入試問題の構造こそ、一般的な高校入試や大学入試の問題には無い仕掛けなのであり、20世紀型の産業資本主義を築き上げてきた学校教育とは全くベクトルが違う教育の存在証明なのである。私立中高一貫校の入試問題の問いかけは、新しい社会を形成するために必要な学びの表現なのである。



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