私立中高一貫校研究 私学Bracketing 学校選択を考える 入試について 学力を考える 学びを考える
教育と経済 フランク・ロイド・ライトとの対話 これからの教材 企業と経済研究 入試に役立つ読書 未来を創る学校





世界を読む「地図からの発想」〜開成学園の発想?

2005年10月24日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 今売れている本がある。「地図からの発想」(中村和郎編 古今書院 2005年9月)がそれだ。地図といっても、私たちのなじみ深い地図帳のような世界だけを想起してもらっては困る。

◆ 世の中にサイトマップだとか、業界地図だとか、夢をかなえる宝地図だとかいろいろなレトリックで表現されているものも多いが、それらすべてを含んでいると考えてよい。要するにものの見方、考え方を図式化するとどうなるか、あるエリアの地図に情報を重ねていくとどうなるかという思考や発想そのものの地図なのである。

◆ 本書の編集委員でもある開成学園の生田清人先生は、そのあとがきでこう記している。「1枚の地図には膨大な情報がある。細分化し複雑化した現代社会や世界の全体像を見渡すことができる。ある出来事や事象の位置や規模、互いの関係を明確にすることもできる。それだけではない、地図を切ったり重ねたりすることで、問題を解きほぐす重要な鍵を見つけ出すこともできる。このように、地図や地図からの発想は、私たちが生きている複雑な世界を読み解くための有意な方法として、その重要性は高まり、その応用範囲や方法は格段に広がっていくと考える」と。

◆ 地図を読むという行為、地図をひっくり返したり切り取ったりする行為、地形的な情報に人や生物の行動を重ねる行為、あるときは地図そのものを彫刻してしまう行為、地図を変形する行為・・・。あらゆる方法で地図を再構築し続ける行為。その連続が形作るのは目の前にあるオブジェとしての地図ではない。その行為をする人のあるいは人々の脳内地図を刻印しているのである。

◆ それは美学でピカソがチャレンジした行為である。物理学でアインシュタインが試みた行為である。空間デザインでイサム・ノグチが生み出した行為である。数々のノーベル賞受賞者たちが発見した行為である。現代音楽家たちが虚数音楽を奏でる行為である。ITがもたらした産業構造の変革の行為である。

◆ いわば「地図からの発想」は、学習革命の行為そのものだと言ってよい。本書と戯れることをお奨めしたい。



私立中高一貫校研究の目次へ