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| 白梅清修の「教育空間と教育効果」 |
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2005年7月15日 |
| ◆ 白梅清修学園から「教育空間と教育効果」講演(7月23日)のご案内(http://eri.netty.ne.jp/inforboard/2005_07.htm#shiraume)が届いた。当研究所の「お知らせボード」に掲載させていただいたので、詳しくはそのページを参照していただきたい。
◆ 最近の新校舎や建替え校舎は、年々工夫が凝らされていて、かつての監獄を思わせるような箱もののイメージは完全に消えている。もっとも公立学校で採用されることが多いオープンスペースはむき出しの管理主義は感じなくなったものの、環境設定権力装置としての機能を大いに発揮していると批判する思想家もいる。 ◆ 一方私立中高の校舎のデザインは、そういう点ではさすがにバランスがとれているケースが多い。オープンなスペースとそうでない部分が見え隠れするように設計される場合が多いし、自然光の取り入れ方や自然の風の導線を巧みに計算して設計されている。最近はなんといっても音響設計がすばらしい。大きな声をださなくても、マイクを使ったときと同じように、1人ひとりの耳元に音が届くように計算されていたり、響きを節約して、生徒たちが集中できるように計算されたりもしている。視覚だけではなく、触覚、聴覚、臭覚にも教育的な意図が反映するように計算されているといわけである。 ◆ 生徒の居場所作りの工夫や感覚を研ぎ澄ます仕掛け、対話空間としてのデザインなどアフォーダンスという知覚システムや自己組織化を促進するような学習空間情報が埋め込まれているということだろう。このような工夫がされている私立学校と言えば、私の経験から列挙してみると、双葉、女子聖学院、神奈川学園、晃華学園、香蘭女学校、立教女学院、鴎友学園女子などがすぐに思いつく。特に今建設中の晃華学園は圧巻である。 ◆ さて、白梅清修であるが、来年出来上がる新校舎の設計者は工藤和美氏――東洋大学工学部 建築学科教授 (株)シーラカンスK&H代表取締役――だそうだ。柴田先生(白梅清修中学準備室室長)によると、工藤氏の手がけられた博多小学校の設計は、教育空間と教育効果を巧みに計算され、全国でもたいへん注目されたそうである。教育空間と教育効果のつながりを大切にしている白梅清修の先生方が工藤氏に白羽の矢を立てられたのはそのような経緯からだったのだろう。 ◆ 学校説明会の中で、設計者のコンセプトとアイデアを直接聞くことができるというのは大変貴重な機会である。しかも教室のような何気ない空間が、生徒たちにどのような影響を授業で与えるというのだろう。ラウンジや廊下、ホール、回遊できる庭園などなどの教育効果を耳にすることはあるが、教室空間、あるいは教室と廊下の境が刺激する教育効果などについて設計者のアイデアを耳にする機会はまずない。 ◆ 私がそのことについて静かに耳を傾ける経験をしたのは、唯一あのロサンゼルスのパロスバーデスにあるガラスの教会を建てたフランク・ロイド・ライトJr.の語りだ。父親フランク・ロイド・ライトのように建築コミュニティー、タリヤセンのような空間をロサンゼルスの山の中に創ろうとしていた。そこからのロケーションはマリブの海岸が見渡せる。Jr.は建築半ばの家の窓に佇んだ。その窓は、もはや光のコントラストによってスクリーンになっていた。茶室的な風景の切り取りになっているといったほうがわかりやすいか。何より印象に残っているのは、いっしょに山をというより小さな崖を登って、Jr.の特別な設計の居場所に入ったときだった。その山は、かつてマリブの海の底にあったのが隆起したものだと言う。そしてその居場所というのは、海にあったときにできた本当に小さなくぼみの洞窟だった。そこからいっしょに眺めたマリブの風景というよりその居場所自体、海そのものなのである。 ◆ 父親フランク・ロイド・ライトの建築思想に影響を受けているJr.は、マリブのロケーションを丸ごと建築デザインに生かそうとしていた。ガラスの教会もパロスバーデスの土地と海岸の自然そのものをいったん抽象化してはいるが、完全に融合するように創っている。重要なことは、精神と社会と自然をつなぐ創造性なのだと。それは教育によって可能であり、教育空間の設計によって確かなものになるはずだ。そんなことを語り合ったような記憶がある。 ◆ 教育空間は、生徒にとって精神と社会と自然の3つの生態系の情報を掘り起こす学習空間でもある。7月23日の白梅清修の説明会は、受験生とその保護者だけではなく他校の先生方も参加したらよいのではないだろうか。 |
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