![]() |
|
| 21世紀に広げよう、私立中高一貫教育「夢限大」 |
|
2005年5月13日 |
|
◆ 5月12日、大井町きゅりあん(品川区民会館)で、東京の私立中高一貫校15校が協働して、私立中学合同説明会(http://eri.netty.ne.jp/inforboard/2005_03.htm#godosetsu)を開催した。今年でもう6回目になる。98年に首都圏の私立中学受験率が13%を下回り、99年も13%を超えることがなかった。そのとき私立中高一貫校全体が危機感を抱き、1校ごとに説明会を開くだけではなく、学校同士が連帯して説明会を企画するようになった。この「夢限大」もその流れの中で生まれたものだろう。息の長い合同説明会である。
◆ 今では首都圏の受験率は13%どころか16.2%にもなっている。公立中離れという新聞記事も世に出るほど私学は安泰のようにみえる。しかし、実はそうではない。今回の「夢限大」で講演された本郷中の高橋校長先生は、98年、99年のようなバブル崩壊や大手企業の倒産に象徴されるような経済不況による危機意識とはまた違う昨今の危機の可能性を的確に捉え、訴えていた。 ◆ それは、公立の復権!とときどきマスコミが騒ぐような、進学重点校や公立中高一貫校の出現ではない。この点に関しては、公立のこのような動きはすでに私学は行っており、そう簡単に実現できるわけでもないから、大いにがんばって欲しいとエールを送る余裕さえ見せていた。 ◆ では何が危機なのか。それは、私立は公立とは違い、人間力と社会力をベースに学習活動を構築しているという主張の中にあった。高橋校長先生は、社会性と社会力の差異に注目した。社会性は、社会に順応することである。社会に順応するというのは、実は個人主義的な側面でもあるだろう。一方社会力とは、社会を変える力だという。社会性は、その社会システムの信頼性や正当性に対する批判をすることなく順応することも可能だが、今のように社会システムが明らかに正当性や妥当性を有していない事態に対し、どのように社会を変えていくかその力をつけることこそが私学教育の肝だと主張されたと私は理解した。 ◆ 実は別のところで、同じことをサレジオ学院の河合校長先生も語られている。これは実にすごいことだ。公立よがんばれといっておきながら、公立を支えている社会システムを思い切り批判し、批判するだけではなく社会を変えることも辞さないという意志を表明したことになるからだ。しかし、それは同時に私学を取り巻く社会状況はそれほどよくないのだということでもある。私立中高一貫校のリーダーである校長先生というのはそういうところに気付いているのである。 ◆ しかし、それはある意味孤高であろう。社会を変えるタフな人材作りを本気に考える現場の先生はどのくらいいるのだろうか。もしかしたらそういう危機意識を吐露されたのかもしれない。いずれにしてもこればかりは、強いリーダーシップが必要である。高橋校長先生のおっしゃる私学の心の教育は、他者の気持や状況を思いやるイメージネーションを豊かにすると同時に、社会を変える発想と論理を備えたタフで機敏な頭脳を鍛えるということでもあろう。 ◆ 「夢限大」のテーマは「21世紀に広げよう、私立中高一貫教育」。この教育はどうやら本格的にパラダイムを転換し始めているようだ。 |
| 私立中高一貫校研究の目次へ |