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スクール・ミーティングの参考資料として〜様々な総合制学習の比較

2005年3月7日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 中山文科相発言以来、「ゆとり教育」の見直しが始まった。そのパフォーマンスとして各地で中山文科相と文部科学省の官僚が、スクール・ミーティングを開催している。その現場主義的パフォーマンスは、テレビ画面で好意的に報道されているが、まるで明治天皇の巡幸のようで、日本の官僚のDNAを見てしまった感が強い。

◆ それはともかく、その報道の中心は「総合的な学習の時間」だ。皮肉なことに今までこれほど注目を浴びたことはなかったのではないだろうか。いつも「3割削減」「学力低下」というキーワードの陰に隠れていたのではないか。

◆ それにしてもメディアの演出には閉口する。流れている部分は、本当に紋切り型の問答しかない。「ビジョンが示されなかったから現場は混乱しています」と訴えていた教師の顔は、ある1つの表情パターンをしているのには驚いた。いろいろなセミナーで出くわす同じ趣旨の提唱者の教師表情なのだ。自分の責任は棚に上げ、自分は肝心なところは考えないで、スマシタあの無責任顔である。一方で、「自分はこの自由なチャンスを大いに生かしてきたし、基礎基本と相乗効果が上がるプログラムを創ってきた今さら何という話なのか」と批判的発言をする教師も公平に報道。自信に満ちているのだが、眉間にしわを寄せた熱血顔。全然ゆとりがない。そもそも「ゆとり教育」ではなかったのではないかと考えてしまう。

◆ もう一方でOECD/PISAの報告を踏まえてフィンランドの教育についてマスコミは取材している。フィンランドは「総合制学習の勝利」としているらしいが、この「フィンランド教育の取材」と「中山文科相のゆとり教育の取材」をどのように編集しようとしているのか。「ゆとり教育」は見直して、「フィンランド教育」を取り入れようなどというお偉い方が出てこなければよいが。

◆ さて、スクール・ミーティングでは、いろいろなデータや情報を参照しながら議論が展開されているとは思うが、中山文科相の「総合学習とは何か、自分はわからないからこうしてヒヤリングしている」などという発言がでているぐらいだから、まだ「総合的学習の時間」については、わかりやすい資料ができていないのかもしれない。

◆ そこで、いろいろな学校(私立公立問わず)で実践されている学習プログラムの比較表を作成したので、参考にして欲しい。この表には一般的な講義(授業)、理科実験などとどう違うのかというのもわかるように表に追加しておいた。表の比較項目や内容の判断の責任は制作者本間にある。ご質問があれば大いに議論しよう。フィンランドの総合制学習については来週実際に見てこようと思う。帰国後整理できたら追加したい。

【表1 様々な総合制学習の比較表】 《印刷用》

比較項目 Honda
「発見・体験学習」
ジグゾー法 Project
based
Learning
Citizenship
Education
アニマシオン 理科実験 講義
(授業)
チーム学習 最重要 最重要 最重要 グループも可 グループも可 グループも可 不要
チームに介在する大人 Learning Advisor(LA) なくても可 なくても可 チューター なくても可 なくても可 不要
トータルコーディネーター 必須 必須 必須 必須 必須 必須 不要
コミュニケーションタイプ 創造・双方向型 創造・双方向型 創造・双方向型 双方向型 双方向型 一方通行型も可 一方通行型
テーマ "精神・自然・社会のエコロジー" 世界問題 社会問題 市民社会 内面 科学 知識
きっかけ リサーチ・インタビュー ジグゾー法 リサーチ・インタビュー リサーチ・インタビュー 読書 実験 教科書
プロセス 4X 4X 4X 4X 4X 部分的に4X 3R
プレゼンテーション 企画案 企画案 企画案 企画案 物語 仮説と結果 解答
自己評価 必須 必須 必須 必須 必須 なくても可 なくても可
評価スタイル プロセスフォリオ プロセスフォリオ  ポートフォリオ ポートフォリオ ポートフォリオ ポートフォリオ スコア
目標設定タイプ 目標探究型 目標探究型 目標探究型 目標探究型 目標探究型 目標探究型 目標達成型
モチベーション効果 ばらつき多い ばらつき多い
進行速度感 速い じっくり じっくり ふつう ていねい ふつう ふつう
学習観 マルチ・インテリジェンス マルチ・インテリジェンス マルチ・インテリジェンス マルチ・インテリジェンス 内面知 因果関係知 知識の整理
"クロス・カリキュラム・コンピタンス" ×
活動度 ×
IT活用度 ×
  4X=experience/explore/exchange/express
3R=reading/writing/arithmetic

◆ 上記の表の学習プログラムについて参考になるホームページ、書籍は以下のとおり。

(1) Honda「発見・体験学習」:聖光学院、東京純心をはじめとする20校弱の私立学校、公立学校がすでに実践している。
●Honda「発見・体験学習」レポート→http://eri.netty.ne.jp/hesp_repo/
●Honda「発見・体験学習」プログラムから見えるコト    
  →http://eri.netty.ne.jp/honmanote/sclstudy/2004/0526.htm
●Honda「発見・体験学習」プログラムから見えるコト(2)
  →http://eri.netty.ne.jp/honmanote/sclstudy/2004/0528.htm
(2)

ジグゾー法:明大明治の松田孝先生が中心に活動している学習方法。セミナーなどでも人気が高い実践的方法論。
●ジグソー法によるグループワーク授業の実践論
  →http://eri.netty.ne.jp/cal/study/004/index.htm
●ジグソー法によるグループワーク授業の実践論U
  →http://eri.netty.ne.jp/cal/study/009/index.htm


◎CAL編「私学の挑戦―The授業」「私学の挑戦―The授業Vol.2」(銀の鈴社)の書籍にも松田先生の論文は掲載されている。


(3)

Project based Learning:ミネソタ州のチャータースクールによって開発。京北学園の杉原米和先生も、千葉大などの教授と協力して実践。その実践の報告が次のページに掲載されている。
http://eri.netty.ne.jp/cal/study/005/contents1.htm

(4)

Citizenship Education:私立学校の立教池袋の高野利雄先生がイギリスまでリサーチに行って作りあげた。品川区教育委員会が実施しているものとはまた違うが、イギリスのシチズンシップ教育にルーツがあることは間違いないだろう。高野先生の教育実践報告は、以下のページに。また先生の論文は、5月に発刊予定のCAL編「私学の挑戦―The授業Vol.3」(銀の鈴社)に掲載予定。
http://eri.netty.ne.jp/cal/study/011/contents1.htm

(5)

アニマシオン:岩辺泰吏先生編著の「はじめてのアニマシオン 一冊の本が宝島」がわかりやすい。スペインで生まれた活動的学習の方法論。アニマシオンのサイトは次のとおり。かなり現場では普及している。
http://www015.upp.so-net.ne.jp/kodomodokusho/WELCOME3.HTM

(6)

授業や講義がこれからどのようにシフトしていくかについては、
● 高橋勝著「学校のパラダイム転換」(川島書店1997)
本間勇人・岡部憲治編著「未来を創る学校」(未来の学校を考える会2004)
  →http://eri.netty.ne.jp/shop/index.htm


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