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苅谷剛彦教授が活用した重要な情報とデータ
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2002年02月05日 |
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■ 苅谷剛彦教授は、著書「教育改革の幻想」の中で、非常に重要な情報とデータを活用している。まず重要な情報として、ハーシュ(Hirsch)の構成主義理論を挙げている。 ■ 教授は「構成主義とは何か。簡単に説明すれば、学習や記憶というものを、学習者が、たんに知識や情報をインプットされ、脳のなかに貯蔵されるという受動的なメカニズムとして見るのではなく、学習者が主体的、積極的にかかわり、それまでの体験や既存の知識と関連づけながら、知識や情報を(再)構成していく過程として学習をとらえる理論である」と説明される。 ■ そして、これは一般に子ども中心主義の論理にとらえられるが、それは皮相であると論じる。「子ども中心主義の教育を批判してきたハーシュによれば、体験学習の有効性を根拠づけるはずの学習心理学の構成主義は、その理論が普遍的に他の学習にも適応できることを(故意にか)忘れている、という。それに対し、構成主義の考え方は、有意味性を重視するあらゆる学習に適応可能だというのが、ハーシュの主張である。」と。 ■ この裏づけとして、ハーシュの次のような主張を引用している。 「言語の有意味性を含んだ学習は、いかなるものといえども、あきらかに構成された学習なのである。(中略)講義を聴いて学ぶという学習過程においてさえ、その有意味性は、学習者によってアクティブに構成されていなかればならない。聴くという行為でさえ、読みと同様に、受動的な、純粋に受け入れるだけの行為とはほど遠いのである。」 ■ 以上の説明と引用はとても大切である。問題は体験学習だとか、チーム学習だとか、講義だとか、どの学習スタイルが大事なのかではなく、学習者がどうやって知識や対象や感覚を関係づけて「有意味な(meaningful)」構造やカテゴリーを見つけ、それを基礎に作品や論文を構成するかということなのだ。体験主義も、チーム主義も、講義主義もどれが正しいということではないのでる。それらはどれも学習のきっかけにすぎないのである。したがって、学習のスタイルについては、その時々に応じて組み合わせて活用することが肝要であり、偏った使い方をして、習慣化してしまえば、刺激が無化し、積極的で主体的な有意味な構成への意欲が失われてしまう。 ■ 苅谷教授は、ベネッセが1998年に実施した小学校教師を対象とした調査結果データ(図1)を活用し、授業スタイルの偏りを指摘し、「新学力観」の危うさを問う。しかし、そのデータを引用した箇所で「総合的な学習」の批判はしない。「総合的学習」は構成主義に相通ずるものがあるからなのだろう。つまりあらゆる授業方法の組み合わせを大事にするのが、「総合的学習」のベースであり、教科書の枠を超えたり、大いに議論したりする授業方法をとりいれるはずのものである。それが小学校ではそうなっていない。といことは「総合的学習」の企図と「新学力観」の定着批判はどうやら違うものではないのだろうか。しかし、「新学力観」批判と「総合的学習」の批判はどこかで通低してしまう。むしろハーシュの構成主義の立場にたつならば、「総合的学習」は歓迎すべきなのではないだろうか。
■ それから東京都の調査(図2)を引用して、中学2年生の勉強時間は少なくなっており、すでに中2の生活スタイルはゆとりに突入しているのに、いまなぜ「ゆとり」なのかと「新学力観」を批判する。しかし、構成主義の論理はあらゆるものに有意味性を構築できる理論である。たとえ対象がテレビであれ、ゲームであれ受動的ではない。むしろ積極的かつ主体的になれる。学校での勉強がテレビやゲームの学習スタイルに負けているということだろう。というより学習道具として、テレビやゲームを取り入れたほうがよいということを意味しているのではないか。小学校とは違い、中高の授業は教師主導型の講義形式である。先の引用のハーシュの考え方でいけば、人間はあらゆる局面で学習しているのであるが、スタイルが単調になればおそらく受身になり、学習過程は崩れていくのだろう。したがって、テレビやゲームにばかり特化していくとおかしくなる。しかし、それはテレビやゲームに直接原因があるわけではない。学習過程とは関係づけの進行であるが、それが固定化することによってルーチン化し、関係づけをする必要がなくなる。そこにいろいろな事件がおこる可能性が生まれてくるのである。
■ 苅谷剛彦教授の活用する情報やデータは大変貴重であるが、その解釈は議論の余地がある。教育学部では、このような議論はやはりなされないのであろう。この学部を出て小学校の教師になる人も多いのだから、ベネッセ教育研究所のデータは、教育学部における授業方法論の志向性にまで遡ることができるのではあるまいか。憶測に過ぎないのは言うまでもない。 |
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