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2005年12月21日 |
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◆ 読売ウィークリー(2005/12/18)の中で、白石真澄氏(東洋大学経済学部助教授)は、「ものづくり」大国日本を支える「人材」が果たして育っていくのか自問せざるをえないと心配されている。
◆ ホンダやトヨタ、セイコウの人材育成の例を挙げたり、政府の新たな総理大臣表彰制度「ものづくり日本大賞」の紹介をしたりして、「ものづくり」の担い手育成に産業界が力を注いでいることを実証しつつもである。 ◆ というのも白石氏の心配の種は、産業界だけではやっていけないのではないかというところにある。人材が産業界に入る前の教育の世界でも「ものづくり」の人材を育成することをもっと自覚的に行っていく必要性を感じているのである。 ◆ 最近の子どもたちは、ITやコンビニ世代で、「コツコツとモノをつくりあげていく楽しさや喜び、額に汗して苦労すること」を好むだろうかという心配である。「ホリエモンに憧れるが、ナイフで鉛筆も削れ」ないというのである。 ◆ しかしながら、白石氏の不安は、従来の「ものづくり」産業の防衛を示唆しているというよりも、「ものづくり」産業の変化せざるを得ない日本の産業界の未来の到来の予兆と受けとめるのが妥当だろう。確かに輸出の90%が工業製品で、今後も資源のない日本は製造業で外貨を稼いでいくだろうが、やり方は変わる。もっとソフトよりになるだろうし、白石氏自らが言っているように、「暗黙知」を「形式知」に変換させて脱技術の部分が大勢を占めるようになる。その分、もっと優れた技術を開発していくところに集中してもいくだろう。 ◆ 白石氏は「強力なブランド力を誇るホンダでさえ、創業期を忘れないため、社員全員に小冊子『語り継がれる原点 ここにホンダの原器が見える』を配布し、ホンダ流『ものづくり』を伝承している」と書かれている。 ◆ しかし、ホンダ流の「ものづくり」の原点は、「コツコツとモノをつくりあげていく楽しさや喜び、額に汗して苦労すること」にだけあるわけではない。それにどんなにすぐれた技術もここの部分は変わらず存在する。それはITにおいてもそうだし、実はロジスティックと商品のITデータベースシステムをも含めたコンビニ全体のシステムにおいても変わらないのである。 ◆ ホンダにおける「ものづくり」を支える人材にとって重要なのは、このような現場主義以外にも「発想」「論理」「時間」というものがある。特に「発想」をどのように捻出するか、そのホンダ流儀はある意味妙技でもある。この妙技の伝承こそホンダの小冊子のねらいだったはずである。 ◆ 量的「ものづくり」の発想は、少子高齢化と人口減の日本にあっては方向転換せざるをえない。質的「ものづくり」の発想に転換するということだ。そしてそれはいかなるものなのか。この試みは白石氏が心配している教育界ですでに起きているのである。 ◆ 知識偏重型の教育ではなく、知恵を生み出す教育というのは、残念ながら公立では行われていない。むしろその逆を歩もうとしている。量的「ものづくり」で行けると公立中学の先生方は思っているのだろうか。社会の二極化現象のアッパー層ではない層に、初めから接続するような動きを意味しているのだが、これには驚いてしまう。日本全体の生徒たちに未来の二極化現象解消のための知恵を生み出して欲しいという教育を開発することを拒んでいるということなのだ。 ◆ しかし、私立中高一貫校の半分以上の学校は、知恵を生み出す教育を開発し続けている。白石氏の不安を解消するような教育がすでにここにはあるのである。サンデー毎日(2006/01/01号)によると、日本の「ものづくり」を支えている勝ち組企業に入社している人材の出身高校を調べると、やはり私立中高一貫校がベストランキング入りしているという。確率論的計算式で算出方法には多少疑問もあるが、ともかくも1つの傾向である。 ◆ そのランキング入りしている出身校の中で圧倒的強さを誇っているのが聖光学院である。ホンダ、日産、NEC、ソニー、パイオニアは1位を占めている。トヨタ、スズキ、日立製作所、富士通、日本IBMは、いずれも2位に位置している。 ◆ 何もランキングが高いということだけで聖光学院に注目しているわけではない。聖光学院自体が「聖光塾」や「芸術講座」という生徒1人ひとりが自らのものの見方・感じ方の壁に気付き、それを崩し大きく成長する柔軟でタフな知恵や発想を生み出す学びの時空を創出しているからだ。そしてランキング1位のホンダとも協働して学習プログラムを開発している。そこでは、まさに「発想」「論理」「時間」という3つの要素を巧みに関係付けて、生徒1人ひとりが自らの殻をぶち破り、豊かな感性とタフな知性を生み出していく時空が構築されている。教育界と産業界が協働して、量的「ものづくり」発想から質的「ものづくり」発想へとパラダイムシフトする未来を創る試みが行われているのである。
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