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● 新しい都市へ
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第1章 国土計画にみる都市再生のプロジェクト

by飯田 耕平

§0 はじめに

■ 最近、都心で大規模な再開発が行われているというニュースをよく耳にする。いまや六本木ヒルズや丸ビルは大変な人気スポットで、連日のように大勢の人々が足を運んでいるようだ。しかし一方で「なぜ今こういった大規模都市開発が相次いで行われているのか」といった問いに我々はどの程度的確に答えることができるだろうか。参加型社会への本格的移行が叫ばれる中、こうした社会の変化に興味・関心を持つことは非常に重要でありかつ必要なことであるはずだ。そこで今回は我が国の都市開発と、その大元である国土開発計画について学んでいこうと思う。そして「これからの日本のあるべき姿」や「望ましい人々の暮らし」について大きな視点から考えていくことが狙いだ。また「これからの都市」とはどうあるべきかについて様々な角度から検証し考察を深めていく。

§1 国土計画とは

■ 国土計画が始まったのは国土総合開発法が制定された昭和25年。当時我が国最大の課題となっていた、大戦後の国土の復興がその目的であった。これに基づいて今日までの国土発展のビジョンを示してきたのが「国土計画」である。

■ この国土計画は国土交通省の国土計画局が担当し、現在は第5次全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」が推進されている。国土計画局の最大の役目は「これからの日本の国土をどのような姿にしていくのがよいか」を考え、その実現に向け都市や産業、交通などの各分野を総合した計画を立てることである。これが国土計画であり、つまりそれは「日本の未来の設計図」ということが言えるだろう。

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§2 現在の国土計画 〜21世紀の国土のグランドデザイン〜

■ それでは現在の国土計画を見ていこう。現在は第5次の全国総合開発計画であり、平成10年3月31日に閣議決定されたものだ。この中では、昨今のめまぐるしく変化する時代を反映し、これまでの「一極一軸型の国土構造」から「多軸型の国土構造」への転換を長期構想とする「21世紀の国土のグランドデザイン」が提示されている。

■ これによると、経済的な豊かさだけでなく精神的な豊かさをも感じることのできる、ゆとりと美しさに満ちた暮らしの実現を目指しているようだ。「癒し」や「ゆとり」とは近年よく耳にする言葉ではあるが、経済的な欧米へのキャッチアップが達成されたいま、我が国は精神的な豊かさを求める段階に達したということであろう。こうした国民意識の転換や新たな価値観の出現といった時流の変化を敏感に捉え、国土計画は作成されているのである。下の図のように、従来は一極一軸型の経済発展を推進してきたおかげで、最短での経済大国仲間入りは達成されたが(メリット面)、これからはそれに付随して発生してきたデメリット面を是正することが必要だということだ。

■ そのために21世紀の国土のグランドデザインでは、自然の保全や多様な文化の創造、さらには様々な暮らしの選択可能性の提供といったことが国土の構想に強く求められている。地域間格差を是正するため、都市間の階層構造を「自立」と「相互補完」に基づく水平的なネットワーク構造へシフトさせ、個性的な地域間の「連携」と「交流」による効果を発揮させるのが狙いだ。また地球時代であるという認識から、地球社会の一員としての地域という視点を持ち、国際交流機能、高次都市機能の構築が求められる。そのため現在都市部でない地域(いわゆる地方)は、今後は21世紀の文明の創造を目指すフロンティアと位置づける。そしてこれまで集積されてきた太平洋ベルト地帯(都心や産業都市)は、今後は量的ではない質的向上を目指して「再生」を進めていく方針である。このようにして、国土構造形成の流れを望ましい方向に導いていくのだ。

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§3 都市再生について

■ ここからは現在の国土計画における都市開発を考察していこう。都市再生と呼ばれるこの取り組みは、次のような意義を持っている。低迷の続く日本経済の再生、経済構造改革の一環、そして我が国の活力の源泉としての「都市」の魅力と国際競争力の向上、以上が主なところだ。

■ 都市再生において重要なポイントは「21世紀の新しい都市の創造」と「20世紀の負の遺産の解消」である。前者は例えば、国際競争力のある世界都市の形成、持続発展可能な社会の実現、自然と共生した美しい都市の形成などを指す。そして後者は現在の都市における構造的課題のことで、具体的には慢性的な交通渋滞や事故、テロや災害などに対する脆弱性といった都市生活の不具合をもたらすものを解消することである。

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§3-1 大都市レベルでのリノベーション

■ 再生において今もっとも注目を集めているのが「リノベーション」だ。リノベーションとは刷新、改装、改修という意味であるが、既存のストック(建物など)の資産を活かして改築していくという点において、リフォームとは異なる。特にこれまで蓄積されてきた総合的な都市資産の価値(単なる都市資産としてではなく、伝統や生活に溶け込んだ文化的意味合いなど)を尊重し、そこに新たなコンセプトや付加価値を持たせながら将来へ大切に継承していくという姿勢が高い評価を集めている。またすべて壊して最初から新たに創るのではないため、コスト面でも省エネ面でも優れている。

■ 実はこのリノベーションの概念を大都市レベルでやろうとしているのが都市再生だ。各企業がそれぞれ各自の資産価値の向上を別々に追求するのではなく、もっと大きな視点から「まち」や「都市」全体としての方向性を持ち、それに向かってリノベーションしていこうということである。特にバブル期に見られたビル乱立などは、個々の経済合理性のみが追求された結果、バブル崩壊後にはその多くが負の遺産となって残ってしまった(下図)。そうした反省を踏まえて、再開発には行政と民間が力を合わせた、全体的なコンセプトの導入が不可欠なのである。

■ 実はこうした動きはすでに現実に見ることができる。例えば新・丸ビルに代表される丸の内の再開発である。従来の丸の内はやはり「ビジネスマンの街」というイメージが強かった。しかし近年の再開発により、丸の内はいま大きく変わろうとしている。「新たな丸の内らしさ」を求めて、国際経済都市機能、都心文化機能、環境共生機能などへの質的転換と量的拡充が図られているのだ。オフィスだけでない、商業施設や文化施設が混在した多目的な複合施設が次々に創られ、近未来の都市にふさわしい魅力的な姿へとリノベーションされている。その成果は大勢の人の訪れを見れば一目瞭然であろう。人の流れを生み出し、新たな交流の場を創り出す。このような都市リノベーションがいま求められている。

参考サイト 国土交通省国土計画局
[http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/kokudokeikaku.html]
  首相官邸都市再生本部
[http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tosisaisei/index.html]
  再開発計画推進協議会(大手町・丸の内・有楽町地区)
[http://www.lares.dti.ne.jp/~tcc/index.html]
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