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● 2050年問題
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第8章 2050年に向けてのアメリカの課題

by葛原 怜

§0 はじめに

■ 6月23日、沖縄は戦後60年目の「慰霊の日」を迎えた。激戦地となった沖縄は戦死者20万人以上を出し、今でも米軍基地の多くが集中している。戦争の傷跡が癒えることはなく、21世紀になってもその基地からアメリカ軍の飛行機が遠いイラクへ飛び立っている。そんな世界最強の異名をもつアメリカ軍は2004年度で136万人もの軍人と3997億ドルの軍事費を投じ、これからもその力をさらに増大させようとしている。

■ そんな世界最強の軍隊を持ち、世界最高の軍事費をかけているアメリカ合衆国は、世界一の経済大国であるということは前章で述べたとおりであるが、その経済と切っても切り離せない存在である環境問題への取り組み姿勢は、世界で最高の水準を保っているのかということを考えたいと思う。これからの世界を考える上で、アメリカの2050年の軍事と環境は非常に大事で、かつ影響力は大きい。その一見異なる軍事と環境のつながりを見ながら、現状を踏まえつつ本章では論じていこうと思う。

2004年度各国の軍事関係の実態

国名 軍事費(米$) 軍事費のGDP比 軍人数(万人) 軍人数の人口比(%)

アメリカ

3997億$

3.40%

136.6

0.5

ロシア

560億$

5.10%

100.4

0.7

日本

490億$

0.90%

23.7

0.2

中国

395億$

5.40%

247

0.2

フランス

371億$

2.70%

29.4

0.5
イギリス

369億$

2.60%

21.2

0.4
ドイツ

311億$

1.60%

32.1

0.4
イタリア

220億$

2.20%

25.1

0.4
サウジアラビア

218億$

15.50%

12.7

0.6
ブラジル

160億$

2.70%

28.8

0.2
台湾

150億$

5.20%

37

1.7
インド

162億$

2.70%

130.3

0.1
韓国

148億$

2.40%

68.3

1.4
イラク

14億$

7.40%

42.9

1.9

http://www.geocities.jp/jwhrpsvdprr/pf0203.htmlより参考

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§1現状の軍事状況

■ 2005年2月7日、ブッシュ政権は、06会計年度(05年10月〜06年9月)予算教書を議会に提出した。同予算案は、教育・環境・エネルギー予算や貧困層に対する補助金が軒並み削減される一方、軍事費だけは4.8%増(総額4193億ドル=約44兆円)の大軍拡予算となった。ちなみに2004年度の日本の国家予算の総額は約82兆円で、アメリカは日本の国家予算の半額以上を毎年軍事費に投入していることになる。

■ 軍事予算の中には、バンカーバスター用の新型核兵器「強力地中貫通型核」や、既存の核兵器の破壊力強化・軽量化のための研究予算など、核兵器関連予算も盛り込まれた。ブッシュ政権は、北朝鮮やイランなど他国の核開発を声高に批判し、「先制攻撃すら辞さない」と恫喝している。ところが当のアメリカは、「使える核」の研究・開発を進めているというわけだ。

■ 核拡散防止条約(NPT)は、核保有国(米英仏露中)以外への核兵器拡散の防止を定める一方で、核保有国に「誠実に核軍縮交渉を行う義務」(第6条)を規定している。世界から核兵器などの大量破壊兵器を無くしていくために、世界最大の核保有国たるアメリカこそ、率先して「誠実な核軍縮交渉」を行うべきだ。2001年の同時多発テロ以降、アメリカが「テロとの戦い」に支出した額の総額は、3000億度ルに上る。第1次世界大戦やベトナム戦争で使われた戦費は、現在の価値に換算すると6000億ドル規模とされる。

■ ブッシュ政権はその半分を、わずか3年間で使ってしまった。イラクなどへの米軍駐留には、1か月当たり50億ドルもの巨費がかかるという。米軍戦費は早晩、第1次世界大戦やベトナム戦争の戦費を上回ることになるだろう。アメリカの05年度の財政赤字は、4270億ドル(役44兆円)と過去最悪を記録し、04年の貿易赤字も6177億ドル(約65兆円)とこちらも過去最悪を更新した。増大する「双子の赤字」の総額はついに1兆ドルを突破したことになる。

■ 借金大国アメリカは、膨大なイラク戦費支出で破産の危機に瀕している。イラクにおける米兵の死者も増加の一途をたどり、1月末現在で米兵の死者は1436人、多国籍軍全体で1607人に達した。米国防総省は、戦闘で死亡した兵士の遺族に対する弔慰一時金などの支払額を、現行の約1万2000ドル(約125万円)から25万ドル(約2600万円)へと、約20倍に増やすと発表し、遺族の反発を少しでも抑えようとしている。そういう意味で、イラク戦争は「第2のベトナム」の様相をますます深めている。

[http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/usa-def-2004-sai-axx.htmより参考]

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§2 アメリカの戦争観

■ 2001年9月11日に起こった同時多発テロから、もうすぐ4年が経つ。テロの被害を受けたアメリカは、それまで「世界最強」という名を誇示していた自国のネームプレートにベッタリと泥を塗られた気分であっただろう。そんな理由も含まれながら本日までイラクに軍事力を費やし続けているだろうし、そのアメリカの姿は、今後の標的になりうる国や地域に対し警戒を呼びかけているようにも見える。

■ その他の大きな理由としてアメリカの軍事産業が挙げられる。アメリカは20世紀終盤にIT産業の革命によって国内GDPは大きく成長した。その影響力は世界中に及び、今でもアメリカの中核産業であることはもはや言うまでもない。しかし、そのIT産業もそろそろ限界を迎えているのかもしれない。日本が自動車産業の台頭により高度経済成長を果たした後のように、いつかはその産業のバブルも崩壊する。

■ アメリカにはその懸念があったのかもしれない。軍事産業は実は、非常にITと密接な関係にある。軍人がつけているヘルメット一つにしても、暗視スコープを搭載し、その軍人が見ている映像は軍の中心施設に転送される。もちろん、戦闘機やその他のレーダーシステムなどITと軍事産業は切っても切り離せない存在である。そこで、今回のイラク戦争で、多くの軍事企業を持つアメリカが軍事特需を自ら作り出したのではないかという見方は、あながち外れていないだろう。

100億ドル以上の売り上げを持つ軍事企業(2003年)

  企業名 国名 売り上げ
1 Lockheed Martin USA 24,910
2 Boeing USA 24,370
3 Northrop Grumman USA 22,720
4 BAE Systems UK 15,760
5 Raytheon USA 15,450
6 General Dynamics USA 13,100
単位:[百万USドル]

[http://www.sipri.org/より参考]

■ そこで、考えることは2050年のアメリカの軍事についてである。今後、国連憲章が平和を訴え、世界中で軍備を捨てるように投げかけたとしてもアメリカの軍事費の削除はありえないだろう。アメリカ合衆国における「軍隊」は先述した通り、その他の国とは大きく意味合いが異なる。自国を守るための武装のみならず、『自国を世界で一番の国』と意識づけること、『外交上の強気な姿勢及びその発言の影響力の増大』、そして何より『自国経済の中核』であるIT産業との結びつき、という多大なるつながりがあるのである。

■ そういう意味で、これから45年後の2050年にアメリカ合衆国の軍隊がなくなっていることは考えられない。またさらに補足するならば、2050年にはアメリカと肩を並べるほどの経済大国に中国なっていると言われている。人口・面積・経済成長率とアメリカに勝っている脅威の国が横にいる中、アメリカが易々と世界一の座を譲るとは考え難い。

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§3 アメリカの環境問題への姿勢

■ 2月16日、温暖化効果ガスの削減を定めた京都議定書が発効した。昨年、ロシアが批准したことで議定書の発効要件が満たされたために発効がされただ。今まで発効できなかったのは米政権が議定書から離脱したためで、世界全体の排出量の過半数を得る」という条件を満たせなかった。アメリカは2001年に、「途上国の中国やインドが実質的に参加していない」という理由で京都議定書から離脱した。

■ ご存知の通り、アメリカは世界で最も温室効果ガス(CO2など)を排出しており、CO2排出量は世界全体の24.4%を占める。国の一人当たり排出量でも19.8tと世界一である(2000年)。アメリカこそが大量の石油を消費し、二酸化炭素を排出し続け、地球温暖化の原因をつくっているという見方も少なくないがここでは特に言及しない。

■ それよりも現在の地球温暖化は、アメリカなど主に先進国の経済発展のために引き起こされたと捕らえるべきであるその一国がアメリカであり、我々日本でもある。そこから言っても、アメリカの京都議定書離脱は先進国として、世界の経済大国として尊敬できない。確かに中国が排出するCO2の量は世界第2位である。しかしアメリカと中国を単純に比べることはできない。一人当たりのCO2排出量でみれば、中国は2.2トン、インドは1.1tであり、一人当たりではアメリカや他の先進国に比べ極めて少ないCO2排出量なのだ。

■ しかし、京都議定書が発効された今、それからアメリカが離脱したことについて言っていても仕方がない。京都議定書の加盟国は2012年までに基準のCO2を減らすことに専念すべきである。しかし、その後の2013年以降(ここではポスト京都議定書と言うが)は、アメリカを含め発展途上国も地球温暖化防止への積極的な参加をするべきであろうし、今削減しようとしている国々はグローバルな視点でより意味のある対策を練るべきであろう。

■ そこで我々が考えるべきなのはその2013年から37年後の2050年のアメリカである。もちろん、その頃には世界的な温暖化防止協定に入っている可能性は高いが、その成果を出しているかわからない。前述した通り、アメリカは世界最大のCO2排出量を出している。その排出量を大幅に削減することは、自国の経済を傾けることに大きく加担することは確かである。

■ さらに言えばアメリカが世界最強の軍隊を持つことに政治的意味があるのと同様に、アメリカが世界最大の経済大国であることも同じ意味を保持するためには必要である。アメリカにとって軍事力と経済に、環境問題は相反する形で存在する。アメリカがその経済力を落としてまで、環境に大きく力を入れることは考えられるのであろうか。

■ 京都議定書の発効は歴史的一歩という意味で高く評価できる。しかし、実際の地球温暖化防止においてはまだまだ未熟なもの。最大排出量のアメリカを本気でCO2削減にするためには、どうしたらいいのか。「人類が生存できなくなる」と国連のミレニアム生態系アセスメントが警告した2050年に、明るい兆しが見えるよう、アメリカを含めた世界各国が慎重かつ迅速に対応しなければならないだろう。

参考サイト :BUND http://www.bund.org/index.shtml
  :SIPRI http://www.sipri.org/
  :United Defence http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/usa-def-2004-sai-axx.htm
  :国連HP http://www.geocities.jp/jwhrpsvdprr/index.html
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