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● 2050年問題
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第4章 2050年の経済問題  Part2 ロボット編

by葛原 怜

§0 はじめに

■ 世界が経済発展を遂げた一つの転換期として、フォーディズムがあることは経済を語る上でもはや言うまでもない。フォーディズムによって大量生産・大量消費・大量廃棄が生まれた。さらに、世界の技術進歩の勢いは留まる所を知らず、人間が生産ラインにいる必要がないオートメーションシステムの開発に至る。これは人件費の削減のみならず、人間の手ではできないような作業を可能にした。これがいわゆる「産業用ロボット」である。

■ 「ロボット」と一言で言うと、人間のような形をした機械で、勝手に動いたり喋ったりするといったアニメの世界のようなものを想像するだろう。もちろんそうした二足歩行型のロボットも開発されている。ホンダのASIMOやソニーのAIBO、トヨタのパートナーロボットなどがその一種であろう。

■ 今春に愛知で開かれる愛知万博では、地球環境の問題や生命の重要性を訴える内容のものが多いが、こうしたトヨタのロボットも紹介されるという。1970年に史上最多の6400万人の入場者を集め、宇宙に関する技術進歩が注目された大阪万博以来、日本では35年ぶりに開催される。その35年間というのは日本の経済の変動が最も激しかった時期かもしれない。我々はこの35年間よりも10年多い45年後の未来を、こんどは「ロボット」という観点から検討してみようと思う。

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§1 ロボットとは

■ 私たちは、SFやアニメなどでロボットに接するだけではなくて、工場で働いているロボットやテレビでのロボットコンテストを見る機会も増えてきた。そのため、ロボットがどのようなものであるかという共通認識が出来上がっているかもしれないが、改めてロボットとはどのようなものであるのか考えてみたい。

■ 『ロボット(robot)』の語源は1920年に作家チャペックが書いた戯曲に出てくる人造労働者に由来する。そこではロボットは、奴隷の行うような機械として描かれ、その後も鉄腕アトムのような架空の機械として多くの作品に登場した。人が行っている仕事を代行してくれる、役に立つ機械としてロボットが登場したのは1960年代に入ってからである。このようなロボットを「産業用ロボット」と言う。

■ 1970年代になると、ロボットが工学の対象として認知されるようになり、ロボット工学或いはロボット学という言葉も定着した。現在では、産業用ロボット以外にも多くのロボットが現れ、実用化されているロボットに限っても、それが何であるかと定義することは難しい。あえて言うならば以下のような性質をもつ機械であると定義できるかもしれない。

@人や動物と類似の動作をする・・・人が道具や機械を使うようにロボットもそれらを使う。
A汎用性がある・・・簡単に動作を変更したり、状況に適応した動作をする。
B外界に直接働きかける・・・ コンピュータのように情報を処理するだけでなく、処理結果に応じて外界に作用を及ぼす。

■ ロボットの分類に関してもその方法は様々であるが、まずその応用の仕方によって分類してみると以下の四つになる。

(1) 産業用ロボット・・・ 主に工場内で用いられ、部品や製品の自動搬送、溶接、組み立て、塗装、検査などを行う。
(2) 極限作業ロボット・・・ 人の立ち入りにくい所で作業するロボット。
(3) 福祉、医療用ロボット・・・ ベッドから車椅子への移動の補助、食事の補助、脳の手術の補助などを行う。
(4) 娯楽ロボット・・・ 楽器を弾いいたり、踊ったり、ペットとなるロボット。
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§2 ロボット需要の要因

■ 一章の方で人口問題については触れてみたが、2010年を境に段階の世代が定年を迎えることから労働力人口の減少が叫ばれている。以下の図は平成に入ってからの日本の人口と就業者の推移である。この図を見てもわかる通り、医療の発達に伴い高齢化が進んでいるため、人口は増加している。しかし、少子化が同時に進んでいるために新たな労働力が減り、就業者人口は減少傾向にあるということがわかるだろう。

■ 少子高齢化に伴い、出生率は2003年度現在1.29を記録した。労働力人口の増大についてもちろん政府や各企業などは手を打たなければならないことは間違いないのだが、その労働力の現象に変わるものとしてロボットが必要になるだろう。

■ ロボットが製造業に導入された初期の頃は、その目的は作業工程内の省力・省人化であった。そして現在の日本は、ロボット価格の下落もあって製品のコストダウンのために生産性の向上することと、その品質の均一化、向上であり、それが外国製品に比べて価格競争力の品質を向上させた。そして、将来は、前述の社会的諸問題から発生する労働力の不足を補完するため、生産工場にとって必要不可欠な生産要素として導入される。そのためには、現在のロボットからさらに進んだ機能が要求されるだろう。

■ 近年、ロボットはマイクロコンピュータ技術と構成機器要素の進歩によって、創成期のロボットに比べ高度な性能と機能を持つようになった。21世紀には、新規技術として新素材、超電動、高度半導体、人工知能、医療機器技術、画像情報技術、バイオ技術などの発達が予測される。その中で、新素材、人工知能、画像情報技術、センサなどの新技術の実用化によって、それがロボットにも組み込まれるということも予測できるだろう。

■ そして、より生物的な機能をモデルにして、人間のような多様な機能と高い信頼を持ち、柔軟に作業内容に順応することを目標にロボットは進歩していかなければならないだろうし、そうすることで汎用的に複数の作業に効率よく適用でき、作業状況の変化に対応できるだろう。

■ 各種の作業種類のなで現在のロボットの主な導入対象は人間の嫌いな作業である。しかし、将来はそれだけでなく、一方は専門技術を要する労働から、他方は監視や保守も含む単純労働まで、作業の難易度のレベルは拡大していくであろう。例えばエネルギー不足になって原子力発電所を各地に建設することになった時、安全面でロボットを用いることなどは非常に有効である。

■ 他にも産業用ロボットとして、前述したように工場の無人化や、医療現場、災害時などの導入。そして、空気の存在し得ない宇宙での開発補助なども考えられる。特に医療現場での活躍は高齢化社会のこれからにとって必要不可欠なものになると考えられる。

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§3 21世紀のロボットの姿

■ 21世紀のロボットの姿を予測することは容易ではないが、形態としては二つの両極端な姿が考えられ、その間に幾つかのバリエーションが存在する。第一はわれわれがイメージするロボットに最も近い形で、ソニーのAIBOやホンダのASIMO・P3が代表的であろう。前者はすでに世界で最初に一般消費者に渡ったロボットであり、様々な意味で画期的である。

■ 一方のホンダのASIMOは商品開発に向けた試作機である。ホンダが人と同じサイズにこだわるのは、人と同じ環境で作業するロボットを想定しているからである。人間型ロボットが家庭内で動かせるようになるかは困難な問題だが、自動車に対して道路が建設されたようにロボットに対してのインフラも家庭で建設されればチャンスはあるかもしれない。

■ 第二の姿として、われわれが想像するロボットの形態とは異なるが様々な形でロボット技術が活かされるケースである。第一の形態が、人間と身近になるために、人間と同等の形状・サイズに拘束されるのに対し、第二の形態は、サイズや形状が人間と異なる。小さいケースはマイクロマシンに代表されるが、小さく作る技術は日本の得意分野であり、各種プラントの配管系統や航空エンジンのメンテナンスなどへの応用が考えられる。大きなサイズでは高度知能化される交通システムや、港湾で利用されるコンテナ運搬クレーンシステムなどがある。

■ 第一と第二の形態の間には、様々なバリエーションが存在する。典型的なのは情報技術との融合で、情報端末としてのロボットが挙げられる。キーボードやディスプレーに代わり、われわれの要求を受け入れ、様々な情報を提供してくれるロボットである。このロボットは、移動型のPC且つ音声認識装置が組み込まれていれば良さそうなため、もしかしたら近い将来に実現する可能性が高いかもしれない。

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§4 おわりに

■ 2050年の産業形態の一部として大いに活躍することが求められているロボットであるが、その形態が大きく分けて二つあることは前述した通りである。特に期待されるものはそのうちの一つである産業用ロボットであろう。労働力人口の減少は先進国全体の問題であろうし、危険な業務や人間ではできないようなことはこれから産業用ロボットが行っていくことになるであろう。

■ もちろんASIMOなどの人間型ロボットもその存在感を社会にアピールしていくことになるだろうが、コミュニケーション能力や知能、そして見た目の冷徹さなど、人間と共存していくにはまだまだ時間がかかるであろう。それこそ22世紀からやってきたドラえもんのようなロボットは今世紀内には難しいかもしれない。

[国際ロボット連盟(IFR)より参考]

■ 上図を見てわかるように、「昭和の日本の経済発展の一役をかったのは、もちろん産業用ロボットであるし、これからの精密機械の作成などを考えると人間の限界を超えているのかもしれない。現在、超小型化が話題を呼んでいるが、そういったナノテクノロジーの世界にはロボットの技術は欠かすことができない。45年後の経済及び産業を支える一つのポイントとして『ロボット産業』は目が離せないだろう。次章はそのロボットが作成するナノテクノロジーについて言及したい。

参考サイト :社団法人ロボット工業会(http://www.jara.jp/pressrelease/01.html)
  :トヨタ自動車(http://www.toyota.co.jp/jp/news/04/Mar/nt04_0307.html)
  :総務省統計局(http://www.stat.go.jp/)
参考文献 :『身近になるロボット』 白井良明 浅田稔 大阪大学出版会
  :『21世紀のロボット』 加藤一郎 工業調査会
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