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● 株式投資の歴史と未来

第四章 世界の株式投資(仏・伊・蘭編)

by葛原 怜

§1 フランスの資本市場と株式投資

■ フランスの金融資本市場は戦後、国営銀行を中心とした規制色の強い閉鎖的な金融制度や厳格な外国為替管理を特徴としていた。間接金融が企業の外部資金調達の圧倒的部分を占めている。こうした中、1980年代半ばにはフランス版ビッグバンとも呼ばれる一連の金融・資本市場改革が着手された。改革の結果、それまで未発達だった短期オープン市場は急速に拡大し、閉鎖的だった株式市場は近代化を進展させていった。

■ 一方、国債市場は発行残高、取引高ともに大きく、ユーロ導入後にはフランス国債に長期金利の指標銘柄となることを期待する声も聞かれる。証券の現物はすべて廃止されており、証券集中保管振替機構の管理する証券決済システムが、証券引渡しに対する支払(DVP)を保証している。金融先物取引所やベンチャー資本市場は汎ヨーロッパ市場を形成すべく、欧州大陸他国の取引所との提携を進めている。

■ また、フランスの金融セクターは過剰な銀行数、三大銀行や大手銀行と非常利団体である貯蓄金庫や相互・組合銀行の大きな存在を特徴としてきた。人口に対する銀行の数が多く、国内金融機関の統廃合は英米のようには十分進んでいない。こうした数に由来する過当競争、特殊銀行の存在による非均質な競争条件、不動産不良債権処理問題、資金需要の低迷による利鞘の低下などの問題から90年代初期、大手銀行の経営悪化が表面化した。90年前半に落ち込んだ各行の経営状況は後半になり回復傾向になるが、楽観を許すものではなく、緊急の課題として、銀行の統廃合や合理化が進んでいる。

■ パリ株式市場は5億8000万ドルの時価総額を有し、世界第5位である。第一位のニューヨーク証券取引所と比較するとその一割にも満たず、時価総額の対GDP比でもわずか40%でしかない(米は100%、英は130%)。この理由には、フランスでは間接金融方式が主流であること、そして国有企業、同族企業が多く、上場企業数が少ないこと、また投資家サイドも保守的で株式投資に消極的であることが上げられる。

■ 現在、地方取引所はパリに統合され、パリには第一市場として月末決算市場と即時決済市場、さらに中規模企業向けの第二市場が存在する。従来の場外市場は廃止されたため、非上場企業の株式は店頭市場で取引される。これは公認取引所ではなく、自由取引となる。このほか、ベンチャー企業のための公認取引所として、ヌーボーマルシェが96年に設立された。ヌーボーマルシェへの上場基準は成長性を重視し、創業年数や収益に関する制限はない。この点で第二市場とは性格を異にするのである。

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§2 イタリアの資本市場と株式投資

■ 1386年にフィレンツェの商人ジョバンニ・デ・メディチが設立した両替所は世界の銀行の起源と言われている。銀行を表す単語「Bank」は同両替所内に置かれた長机に由来している。メディチ家全盛の14〜15世紀イタリアの銀行は世界最大規模を誇り、欧州各国に戦費を貸し付けたことからフィレンツェ通貨「フィオリーノ」が当時欧州全体の標準通貨となった。

■ マーチャントバンクの元祖として多数の企業に資本参加していた同国の銀行にとって、1929年世界恐慌の被害は特に深刻で銀行倒産が多発した。その対策として政府は36年に「銀行法」を制定したのである。主要銀行を国有化し、企業への資本参加、資金調達、営業地域、対象顧客を詳細に規制し中央銀行による厳しい監督体制を敷いた。この体制が90年まで続いたために同国の銀行に深刻な業容拡大の遅れ、商品サービス等の国際競争力の低下を招いたのである。

■ しかし、90年のアマート法(銀行の株式会社化)施行、93年の銀行法改正により急速な規制緩和が進められており、同国金融界も2001年12月までには欧州各国並みの自由化が行われるようになった。同国では80年代以降続く巨額の財政赤字補填のため、国債の大量発行が続いた。そのため、先進国中最高水準の貯蓄率を誇る同国個人資金が同国購入に向けられ、同国国債市場は世界三位の規模となった。その結果、個人貯蓄に占める銀行預金のウェイトは相対的に低く、また一方で株式市場への資金流入は長時間低迷を続けた。

■ しかし、90年代に入ると市場・通貨統合の流れが明確になり、国債市場から民営化による優良銘柄の増加や通貨リスク低下で株価水準見直しが期待できる株式市場へ資金を移す投資家が増え、97年までに株式市場時価総額は4倍に拡大したのである。それでも、イタリアの株式市場時価総額/GDP比は世界主要国中オーストラリアについで低い。

■ その主な原因は、個人貯蓄のほとんどが国債市場に吸い上げられてしまったこと、保険会社・年金基金等の機関投資家による投資に対し、政府が厳しい規制をかけていたこと、取引透明性の改善、発行市場育成に対し政府が対策を講じなかった上に、慢性的財政赤字等の通貨安が続き、多くの外国投資家が不適格と判断したことがあげられる。

■ しかし、従来はほとんど国債、銀行預金のみに集中していた個人貯蓄が、投資信託等の運用受託機関へ流入していることは事実である。今後、イタリア政府による投資顧問、保険会社、年金基金に対する運用規制も、市場・通貨統合の過程で緩和が進み株式市場でへの資金流入が増加することが予想されるだろう。

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§3 オランダの資本市場と株式投資

■ オランダの首都アムステルダムは、ロッテルダムを拠点とする現物の実需と物流を伴った国際商品市場と完全に一体化している点で、大変特徴的な金融センターである。アムステルダム証券取引所は、1602年に設立された世界で最も古い証券取引所である。オフィス取引に関しては内外一体型市場として、比較的活発な取引が行われてきた。

■ そのアムステルダム証券取引所とヨーロピアンオプション取引所当が合併し、97年1月にアムステルダム取引所が設立された。1999年からユーロ導入により、今後も同国は外資系金融機関を積極的に誘致し、株式および債権取引の欧州大陸における中心的な国債市場を目指していくものと思われる。

■ アムステルダム証券取引所の上場企業数は1996年末で618社となっていて、時価総額は3787億ドルとなっている。ロイヤルダッチ・シェル社をはじめ時価総額上位5社で市場の4割前後を占めており、上位銘柄への集中度が極めて高い。また、上場企業の多くはロンドン証券取引所のSEAQインターナショナルででも取引が行われているという。代表的な株価指数には、アムステルダム取引所が発表する取引の多い25種類の株価を指数化したAEX指数と、オランダ中央統計局が発表するCBS総合指数等がある。

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§4 おわりに

■ 以上のように世界六カ国の資本市場と株式投資について簡単ではあるが触れてみた。大まかな傾向として言えることは、ほとんどの国々が現在、株式投資について活発になってきているということである。これは政府が講じる政策もそうだし、投資家やベンチャー企業の増加もその傾向のひとつである。今回、第二章で日本での株式投資のスタイルの変化やその将来性について言及した。これは、日本だけではなく世界各国で行われ始めている動きであり、株式投資による資産運用にこれから更なる注目が集まることは間違いなさそうだ。

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