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● 株式投資の歴史と未来

第二章 これからの株式投資

by葛原 怜

§0 はじめに

■ 多くの個人にとって、証券市場がより身近な存在になってきた。雇用や社会保障、金融制度など、暮らしを取り巻く大きな変革の波も個人の資産運用への取り組みを後押ししている。自己責任による運用管理とは、自主的なチャレンジによって自分の将来を形作っていくことであり、そこでは、リスクを的確に管理し、今後起こりうる変化に対応していくスキルが求められるだろう。

■ 今、様々な場面で「自己責任」を求められる時代になっているが、個人の資産管理を考える上でも、リスクに対する基本的な意識や取り組み方を変えていくべきなのかもしれない。為替も金利も株価も変動する中、お金の預け方や運用次第で損もすれば得もする。リスクを身近に感じられるようになれば、今後それに対処するための知識を身につけることは当然のことと認識されるようになる。成熟経済で給料も上がりにくい中、多少のリスクを取りながらでも、余剰資産を運用することを考えるべきだろう。

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§1 個人の意識改革

■ 資産運用への個人の意識が変わってきた背景は何であろうか。ここで少し考えてみたい。そのひとつの理由として、デフレによって価格が下がっていることがあげられる。預貯金の額が変わらなくても、実は購買力が高まっているわけで、少し余裕をもって投資などができる環境になってきたわけである。他にも金融商品の多様化によって選択肢が増えたということも関係していると言える。年利0.03%の定期預金に置いておくよりも自分で運用してみようかと女性を中心に意識改革が起こったのである。

■ また、インターネットによる株式投資もその一つといえる。5年前の手数料自由化以来、株式投資はより便利かつ安くなり、身近になった。このことで、投資をする環境が情報の面からもコストの面からも整ってきたのである。それに加えて、日本経済に復活の兆しが見えてきた現在、お金の感覚が鋭い人や21世紀の経済潮流に乗ろうという人は動き出すのである。日本銀行の資金循環統計でも、三月末時点で家計の株式保有残高が前年比で約1.5倍に増え、投資信託と外資預金も20%近い増加であった。

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§2 株式投資の新スタイル

■ 株式を購入するにはまず、証券会社に講座を開設しなければならない。証券会社によってサービス内容や手数料などが異なるために、よく比較することが大事である。先程も言及したが、日中は忙しくて店頭に行けないという人のために、オンライン取引が可能となっている。株式などの購入代金を指定の銀行口座などにあらかじめ振り込んでおけば、取引はすべてインターネットを通じて行えるというわけである。売却益は事前に決めておいた銀行口座に振り込まれる仕組みである。つまり一度も証券会社に出向くことなく購入から売却まですべて自宅で完結することができるというわけだ。

■ 手数料が低いのもオンライン取引の大きな特徴のひとつで、特にオンライントレードに特化した証券会社は、人件費や店舗の維持費などがかからない分、手数料を安くすることができるのである。ただし、販売員とじっくり相談しながら投資先を選んだり、資産運用全般について考えたいという人は、店舗を持つ証券会社の方が手厚いサポートが受けられるだろう。自分のニーズや投資スタイルの両面を見つつ、証券会社を選択することが重要であるということはわかるだろう。

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§3 様々なファンド(投資信託)

■ 個人資産運用の中核商品に位置付けられるのが投資信託(ファンド)である。資産運用においては特定の投資先にリスクを集中させない「分散投資」が基本のひとつであるが、多数の銘柄に投資・運用する投資信託にはリスクを抑制する効果が備わっている。最近は投資信託の種類や特色も多様化が進んでおり、自分の運用ニーズに合わせた様々な選択が可能になってきた。資産全体のポートフォリオ(※注)を考える上では、株式や債権、外貨など複数のアセットにうまく配分していくことが重要である。投資信託の活用においても国内株式ファンドや海外ファンドなどいくつかの投資信託を組み合わせることが必要となるが、これが個人には中々難しいのである。

※注:経済主体(企業・個人)が所有する各種の金融資産の組み合わせ。収益性の異なる方向を持つ商品を組み合わせることで,リスクを分散させる投資手法。

■ こうしたニーズに即するのがファンド・オブ・ファンズと呼ばれる、投資対策や運用スタイルなどが異なる投資信託を組み合わせ、一本のファンドで複数ファンドに同時に投資運用する商品である。もともとリスク分散機能を持つ投資信託をさらに分散させることにより、リスクの幅広い分野と軽減が期待できるというわけだ。

■ また長期の資産形成では、ライフステージの変化や経済情勢などに応じてポートフォリオの構成を見直していく必要がある。年齢やリスク許容度に応じた資産運用を行うことを目指した商品が、ライフサイクル型ファンドである。国内外の株式や債券などへの配分比率を変えた複数のファンドをそろえ、自由に乗り換えられるものもあり、長期的な運用に適した特性があるというわけだ。

■ 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など値動きが連動するよう運用されるのが上場投資信託(ETF)である。株価指数のほかにも、電気機器や銀行といった業種別の銘柄もある。株価指数に連動する投資信託として「インデックスファンド」があるが、ETFは株式と同様に証券取引所に上場しているため、立会時間中であればいつでも売買できることが特徴である。また、「売り」と「買い」の両方の取引ができ、「指し値」や「成り行き」、信用取引など株式と同様の投資手法が可能である。

■ ETFの最大の魅力は、いわば「株式市場全体」で運用できるという点である。投資先は幅広い銘柄に分散し、株価指数の動向は日々のニュースや新聞で簡単に知ることができるので値動きを把握しやすいというわけである。日経平均株価型は十口から、TOPIX型は百口から購入でき、日経平均株価が一万円の水準ならば、およそ十万円から投資できる。また、一般の投資信託に比べて、保有コストが安いのも特徴で、平均的なインデックスファンドの信託報酬が0.6%であるのに対して、ETFは0.1〜0.2%程度となっている。

■ この他にも、オフィスビルや商業施設などの不動産に投資し、賃貸収入や転売による収益を投資家に還元する金融商品である不動産投資信託(REIT)など、様々な投資信託が存在する。自分のニーズと商品の特性を見極め、適切な組み合わせによって運用方法を選択していいかなければならないだろう。

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§4 ポートフォリオの実践

■ ここ数年、金融自由化の波は速度を増していくばかりである。自由化の進展によって金融商品の販売先も多様化し、金融商品そのものの勉強とともに、購入先を選ぶ力を養う必要も出ている。利用者にとっては、金融商品やその販売先の選択肢が増える点で喜ばしい面があるものの、選択の場面では悩むことも増えているはずである。

■ 運用環境に話を転じると、長期金利が上昇し始めたことなどから、投資家のマインドにも変化の兆しが見えてきている。それは、金利が上昇する場面では、株式市場が低迷しやすいと言われえるが、最近の株式市場は堅調に推移していし、株式投資なども積極的に取り入れつつ、定期性預金を利用する場合でも金利の有利なところを選ぶなど、複数の投資対象・投資先を組み合わせて、資産を増やしていく努力が求められている点に見られる。

■ つまり、上述したポートフォリオの重要性は益々高まってきているといっても過言ではないだろう。ポートフォリオの古典的な考え方は、「預貯金」「株式」「不動産」の三つに分散投資するというものであったが、バブルの時期を経て、ポートフォリオ運用の中身も変化し、運用商品の中には外貨建ての金融商品や変額年金保険などを組み込むケースが増えている。

■ このポートフォリオ運用を考える際に検討しなければならないのが、「リスク許容度」である。リスク許容度とは、価格変動などのリスクに耐えられる個々人の能力のことで、一般的には資産額が多く、運用経験が豊かな人ほどリスク許容度は高いといえる。それは資産額が多ければ投資先を分散させやすいからである。ポートフォリオを考えていく上でこのリスク許容度を踏まえつつ考えていかなければならないのである。

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§5 おわりに

■ 株式投資は本来、大富豪や上流階級といった資産に余裕のある人々が行うことであった。自らの資産拡大のために投資をする。そこにはもちろん損をするというリスクを伴うという事は言うまでもないであろう。それ故に、一般庶民は自らの身体を資本とし、労働という形でしか資産を拡大することができなかった。しかし、先にも述べたとおり、現在ではむしろ、大げさに言えば株式投資によってのみ資産拡大が図れるといえるのかもしれない。

■ インターネットの普及で、株式投資の環境でさえ一台のパソコンで可能になった。これによって今まで預貯金によって蓄えられていた資産が、株式市場に益々流れることになることは間違いない。銀行に蓄えられていたお金があるツールを通して市場に流出する。この状況は消費社会に革命を起こしたクレジットカードの到来に似ている気がするのは筆者だけであろうか。いずれにせよ、株式投資による資産運用はこれからさらに拡大していくことは止められない。

参考サイト: 日本経済新聞7/15日号
  日本銀行(http://www.boj.or.jp/)
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