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入試問題のクオリティ特性〜男子選択校の傾向

2005年12月27日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

◆ 12月18日≪未来を創る学習≫セミナーで、東京私立中学高等学校協会副会長實吉幹夫先生(東京女子学園理事長・校長)は、その基調講演の中で、私学の学力観は、A知識・理解・技能、B思考、判断、表現、C意欲、関心、態度などを包括した人間力に通じるものであると語られた。学力のAだけに偏重する学びは学びと言わないし、そのような偏重した学びをもしも本当に実践している私学があるとしたら、選ばないほうがよいとも明言した。

◆ それを受けて、5人の私学人である先生方<生田 清人 先生(開成中学校・高等学校 教諭)、川合 正 先生(京北中学校・高等学校 学校長)、鈴木 邦夫 先生(東京女子学院中学校高等学校 教諭)、横山 孝治 先生(八雲学園中学校・高等学校 教諭)、吉野 明 先生(鴎友学園女子中学校・高等学校 教頭)>がパネルディスカッションをしたが、いずれも学力を包括的に捉え、そのような学力を育成する学びについて議論となった。

◆ 要するに単純な知識重視の学びとそれによって育成される学力というものは、20世紀の産業社会を支えるという歴史の中で必要だったかもしれないが、21世紀は高度情報化社会であり、その光の部分を発展させると同時にその闇の部分の解消をどのように実行していくか、このことに対応する学びや学力を育成していくことが肝心であるという。

◆ こういう包括的な学びを行い、包括的な学力を育成していく私たちのような学校を選択するようにということだと思う。どうやら「学び−学力−学校選択」というのは切り離せない関係を持っていることになる。

◆ さて、それぞれの私学がどのような学びによってどのような学力を育成するのか、それは学校選択のときの大きな要因になるのだが、果たして、包括的な学力や学びの情報をどのようにすれば獲得できるのか。それは桐朋女子ではないが、入試問題こそ学校の教育の顔である。入試問題は学校による選抜テストであるが、どのような学びができ、どのような学力を発展させる可能性があるのかを見極めるチャンスである。当然ながら、その学びや学力の条件は、学校自身の学びや学力に対する考え方が反映している。したがって、入試問題の分析情報が、重要なポイントとなろう。

◆ そういう意味もあって、先取りして「ホンマノオト−学力を考える」では、入試問題の学力的特徴を考察する論考を続けてきた。今回はそのまとめの意味として、国語と算数の入試問題の分析におけるある結論を導きたい。

◆ 今まで言語力と数値論理力という形で幾つかの学校を個別に見てきたが、今度は1つの特性地図を作ってみたい。言語力も数値論理力も、大きく2つのベクトルに分ける。言語力であれば漢字や語句の問題の出題が各学校の入試問題の中でどのくらいのポジショニングを占めているか指標としてだしてみた。また全体を把握する読解問題と30字以上の記述、つまり論述的な傾向の強い問題がどのくらいのポジションなのか指標で表示した。前者を「知識度」指標、後者を「創造度」指標とした。

◆ 数値論理力も基本的には言語力と同じような指標で表した。「計算論理度」指標、「論理創造」指標として表記。そして【グラフ−1】のように4つのカテゴリーに分けて、入試問題のクオリティ特性を考える座標系を作った。この座標系に合うように言語力と数値論理力それぞれについて、学校を入れてみた。【グラフ−2】【グラフ−3】がそれに対応している。

◆ これによって、開成や麻布などは、創造的な思考力やイマジネーションを学びの中心にしていることがわかる。言語力において栄光学園は、創造的才能のみならず、それを現実化する基礎体力があるかどうかまでしっかり学校がめんどうをみる学びをベースにしていることが推察できる。「標準テスト型」というのは大学受験を想定にした学力や学びをベースにしているのだろう。「基礎基本型」は中学入試の段階ではまだ気付いていない生徒自身の才能をまずは入学してから構築していくということだろう。

◆ 小学校の段階で、それぞれの子どもがどういう学びの状態なのか、また選択した学校がどんな学びや学力の可能性を期待しているのかを、上記のカテゴリー表で理解し、そのズレを解消していくことで、選択した学校を通して、期待する学びを獲得し、学力を身につけていくことができるだろう。



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