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2005年8月3日 by 本間勇人(honma@netty.ne.jp) |
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◆ このホンマノオトのカテゴリー「学力を考える」において、「首都圏私立中高一貫校が求める学力像〜3年間の入試問題分析(1)から(4)」では、首都圏の全体傾向を見てきたが、この続きとして各学校を見ていこう。学校選択の際、迷いがちな2つの学校をピックアップしながら見ていきたい。自分の現状の力に合う学校はどちらかという受験生の現実的な見方としても参考になるかもしれないが、むしろそれぞれの学校がどのような学力像を描いているか、また創造的な教師がどのくらいいるかその可能性を探る「学校選択リテラシー」のデータ分析としても役に立つだろう。 ◆ まずは開成と麻布が求める言語力。出題分野の【表(1)−1】を見てみよう。R4 60以上、55〜59、全体のデータは、「首都圏私立中高一貫校が求める学力像〜3年間の入試問題分析(1)から(4)」のものをベースにしている。
◆ 【表(1)−1】を見るとすぐにわかる通り、両校とも全体に比べ、出題の分野傾向が極端にはっきりしている。漢字と「見えない論理」リテラシーを求めていることがはっきりわかる。それがさらに極端なのが麻布だ。素材は物語しか出題しない。論説文を軽視しているわけではなく、小学校6年生が読む論説文として、適切なものが少ないという理由によるものらしい。個性が大事だとか、自然を大切にしようなどというテーマのものの場合、小学生対象に書かれているものは、だいたい道徳的にある決まった一定の方向で書かれているので、論理的なものの見方や考え方を読み解く前に、麻布を受験する生徒のレベルだとわかってしまい、思考力を試す問題にならないのだろう。小学生向きの論説文はどうも操作性の高いものが多いのだ。開成の場合、出題する素材である随筆や論説文のレベルは、すでに大人が読むレベルなので、その心配はなく、まずは「見える論理」リテラシーを追っていけるかを問うというステップを踏む。 ◆ さて両校とも物語を出題するが、見える論理を追うのではなく、見えない論理を再構築しながら読み解く論理リテラシーをどのくらい有しているのかを問いかけている。感情・心情・気持ちという心理の変化や揺れ動きを会話や表情や情景描写、心象表現、メタファーなどから再構築したり、家族や社会の問題と登場人物の関係を整理したりしながら、人間をどういう世界観をベースに考えたらよいのかという視点の組み立て方ができるのかその可能性を要請する。 ◆ 世界観は、さしあたってどのようなものであってもよいのである。ただ、拠って立つべきベースとそれに基づいた論理を展開できるかが重要である。ただ、書かれている文字のみでモザイク的に読み取る表面的なリテラシーは求められていない。かといって行間を読む力という幻想的な読み方でも満足できない。その行間を読むときに自分の思考をサポートする基準というものがしっかりあって論理を再構築しているかが重要なのである。もしかしたら、その基準を構築できる資質を逆に見抜こうとしているのかもしれない。 ◆ そのことは【表(1)−2】を見ればわかる。細部を探し、何がどこに書いてあるのかを確認するリテラシーは両校とも少ないし、30字以上書く記述が圧倒的に多いのは、「見えない論理」を自分なりの基準で「見える論理」として再構築していく言語力を要求していると考えられる。なお、開成の全体読解リテラシーの比率が高すぎるのは、そもそも9000字近い文章を読ませ、全体を把握させる問題が主流だからである。膨大な情報をコンパクトにまとめる力は重要だ。あらゆる情報を、キーワードで置き換えたりまたその逆の思考練習をしておくことは、麻布・開成受験に限らず、いろいろな場面で結構役に立つだろう。
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