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フランク・ロイド・ライトとの対話


タリヤセン・ウェスト(Taliesin West)-新しい人間の生活のトリガー

2002年08月19日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)

■ 20世紀の天才建築家フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright 1867-1959)が21世紀に残した遺産は、言うまでもなく、多くの建築、数々の設計アイディア、未完の設計トルソーなどである。今も残るフランク・ロイド・ライトが建設したコミュニティー、タリヤセン(Taliesin)は、多くの先人たちが挑戦し失敗したユートピアの中で、おそらく唯一成功しているユートピア・コミュニティーだ。

■ このコミュニティーは、建築家を育てる学校であり、フランク・ロイド・ライトの設計のソフトを管理し、それに基づき設計活動もする設計事務所でもある。まさにこのコミュニティーこそライトの最大の遺産である。

■ たんにアリゾナ州のスコッデルにあるTaliesinというコミュニティーという場所が遺産ということではない。このコミュニティーの発想がたいへんなコトを意味するのであり、その意味こそが遺産なのだ。

■ そのことを、Taliesin West(アリゾナ州にあるタリヤセン。ウィスコンティ州にあるタリヤセンはTaliesin Eastと呼ばれている)に5日間滞在し、さらにフランク・ロイド・ライトの影響を受けながらも離反したパオロ・ソレリ(Paolo Soleri)が独自に建設したコミュニティー、アーコサンティ(Arcosanty)を訪れて直観的にではあるが確信した。ソレリは、Taliesin モードをベースに母国のイタリア的なルネッサンス都市をモデルとした建築物を立てながら、architectureとecologyを合体したarcologyという概念を中心にコミュニティーを形成している。

■ フランク・ロイド・ライトはこのarcologyというキーワードこそ作らなかったが、Taliesin Westはまさにこの概念で満たされている。ソレリは、Taliesin Westに滞在した18ヶ月の間に、この着想を得て、この概念をさらに発展させようとしたのであろう。しかし、若き漂白者ソレリは、あまりに自分の発想を現実化するのを目的としすぎた。

■ せっかくarcologyというキーワードを見出したのであれば、もう2つキーワードを創るべきであったのではないかと思うからである。それは、schoologyとcityologyである。Taliesin Westは、この3つのキーワードで支えられていると見ることも可能だ。図形のイメージで言えば、Taliesin Westとその3つのキーワードという4つの頂点で成り立つ正四面体になるだろうか。この三角形という基本幾何学模様は、フランク・ロイド・ライトにとってはスピリッツを意味する基本図形でもある。この4点が構成する正四面体は人類普遍のスピリッツを表現するのではないだろうか。フランク・ロイド・ライトは、この正四面体に表現されるイメージを一つの言葉で表していたように思う。それは≪ユーソニアン≫という言葉だ。とにかく、この基本図形の意味するコト、あるいは≪ユーソニアン≫というキーワードが意味するコトが、21世紀の人間に残されたライトの遺産でありメッセージなのではないかと勝手に考えている。

■ このメッセージの解読、創造をし続けることは極めて重要である。フランク・ロイド・ライトとの内なる対話をどこまでも続けていくことが21世紀を創出するトリガーとなるだろう。



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