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教育と経済

「教育と経済」考 §011 〜授業と経済【1 】

2006年4月24日
by 本間勇人(honma@netty.ne.jp)


◆ 電車の中で、杉原薫さん(京都大学教授)の論考(日経新聞2006年4月21日経済教室「原油高騰下の国際秩序づくり」)を読んでいて、乗り越してしまった。文明の生態史観より文明の海洋史観のほうがおもしろかったが、それらを前提に杉原さんの「オイルトライアングル」という考え方・フィルターを重ねると、21世紀がおもしろいというよりもヤバイかもしれないと感じたからだ。

◆ 原油が高騰することは、結局は産油国より無資源国が利益を得るというパラドックスや9条があることによって、日本・東アジアとアメリカと中東諸国との間で「オイルトライアングル」が成立しているなどなど実に興味深いというか恐ろしいテーゼが語られている。日本と東アジアの対中東貿易赤字は増加するだろうが、対欧米貿易黒字はますます増加するだろうから問題ない。米国はその分たしかに赤字になるが、軍事産業で黒字になるから問題ない。日本は9条があるから、軍事産業には直接参入できないようになっている。なんという「オイルトライアングル」。

◆ そして今後はそこにBRICsが参入し、9条などまったく無視する軍事力を持った新しい経済国が、「オイルトライアングル」を破壊するか、あるいは拡張する。いずれにしても、今のところ米国独占のこのトライアングルも、今後は磐石ではなさそうだ。

◆ そうするとますます戦争は起こりうる。9条を死守することは、結局日本は直接戦争に加わらずに、経済力を持続することになるのか、「オイルトライアングル」の拡大に乗り遅れることになるのか。

◆ いずれにしても軍隊を有せず、資源も持たない日本は、この「オイルトライアングル」から抜け出たほうが良さそうだ。そのためには、技術というソフトパワーに頼るしかない。このソフトパワーを生み出し、なおかつ自国の戦争回避のみならず世界の平和創出のための人材を生み出すスキルとマインドを養成できる人材開発プログラムは、初等中等教育時代の授業で実行されるのが普及と効率という両側面から考えてよいだろう。

◆ しかし一方で教育基本法改正が国会を通ろうとしている。「オイルトライアングル」の環を解消するのではなく、その中で日本がサバイバルするために「愛国心」の準備をしているのだろうか。@「オイルトライアングル」の紛争から撤退することによってサバイバルする戦略。Aその環の中で勝組になろうとする戦略。Bその環を解消し新しい平和秩序を創造しようという戦略。いずれを日本は選択するのか。

◆ @の政治戦略では、マーケットから退出しなければならない。Aの戦略では市場で手段を選ばないという経済政策に打って出ることになる。Bの戦略では市場と正義を融合した新しい平和経済マーケットを創ることになる。

◆ 政府としては、@を選ばないだろうが、Bも選択しにくいだろう。正義という価値はもう日本では役に立たないと思っている人々が多い。「私は私」という自己認識が蔓延しているからだ。これが戦後の教育のなせるワザであったのかもしれない。するとAという戦略選択にならざるを得ない教育条件であるということだ。

◆ 戦後の教育基本法の制作に取り組んだ中心人物は私学人だった。結局Bの戦略を選択できる人材を輩出できるのは私立中高一貫校の授業システムということか。授業という一見ミクロで静的な空間に、「オイルトライアングル」というグローバルな動的な動きが関係しているということについて、これから少し考察していきたい。まずはそのためのチャートを載せておくことにする。


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