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カーナビ戦争の勃発≪週刊東洋経済2/28号より要約≫

2004年3月18日
by 飯田 耕平


■ ホンダの新型オデッセイが快進撃を見せている。12月の販売実績は1万3000台を記録、見事王者「カローラ」を抑えて月間新車販売ランキング一位に輝いた。今年に入ってもその勢いは衰えず、ミニバンとしてはまさに異例の売れ行きである。

■ しかし注目すべきはもう一つある。実は新型オデッセイ向けの純正カーナビゲーションがいま爆発的に売れているのだ。純正カーナビの購入はあくまでユーザー判断であり、価格も30万円と安くない。それで装着率6〜8割というのは、平均2〜3割の業界においてまさに群を抜いている。

■ 人気の秘密は純正でありながら市販品に劣らない性能とデザインだ。世界初の渋滞予測機能を搭載するなどサービス内容も強化している。ナビ自体も高速データ処理が可能なHDDタイプを採用しており、しかも人気のAV一体型だ。従来の純正品では考えにくい製品である。

■ ホンダがこのような製品を純正に採用したのにはわけがある。そこには同社のこれまでの常識を覆す大胆な決断があったのだ。そもそも自動車メーカーにはそれぞれ系列やお抱えといったような、昔から関係の深いカーAVメーカーが存在する。ホンダの場合にはアルパインという付き合いの長いメーカーがある。それにもかかわらずホンダは今回敢えてナビにパイオニアの製品を選んだのである。

■ 実はホンダが想定していた以上に、顧客はたとえ高額であっても高性能のナビを欲しているということが最近判明したのだ。そのためホンダは顧客のナビに対する要望を最大限にかなえるべく、初のOEM供給をも試みたのだ。さらに本格的にテレマティクスサービスを駆使して顧客を囲い込もうという動きが拡がってきている今、自動車各社にとってももはや通信媒体であるナビは、単なる付属品ではなく重要な戦略ツールとして見直されてきているのである。

■ パイオニアは市販用のカーオーディオ・ナビのトップブランド。DVDナビやHDDナビなど次々と最先端の商品を提案し続けてきた。しかし市販業界では王者であったパイオニアもOEMビジネスにはこれまで無縁であった。そんな中、初の試みとなる今回のホンダへの提供で大方の予想を上回る好業績を挙げたのだから、市販・OEM両業界に与えるインパクトはことのほか大きい。今後はナビのOEMビジネスの勝敗がカーAV メーカーの生き残りを左右するようになるだろう。

(週刊東洋経済2/28号掲載のグラフを参考)

■ OEM市場に勢力拡大の活路を見出そうとしているのは他のメーカーも同じ。特に注目はまだ体制が確立されていないホンダと日産向けのOEMだ。ホンダのアルパイン独占見直しと同じように、日産でも見直しが始まっている。従来からの日立製作所系のザナヴィ独占から、一昨年のエルグランド以降クラリオンの製品が増えてきているのだ。これらに加え松下電器産業や「OEMの巨人」と呼ばれるアイシンAWとデンソーもOEM争奪戦に名乗りを挙げてきた。

(週刊東洋経済2/28号掲載のグラフを参考)

■ 今回の新型オデッセイ発売に伴って起きた"パイオニアショック"は市販とOEMの垣根を崩し、カーAVメーカーの主戦場が市販品から自動車メーカー向けに移り始める契機となった。そしてこの競争が現在のOEMの勢力図を大きく変えようとしている。カーナビの純正OEMビジネスをめぐる戦いの幕は切って落とされたのだ。



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