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大企業の転職チャンスが急増 ≪週刊ダイヤモンド10/4号より要約≫

2003年10月2日
by 葛原 怜


■ 大企業のリストラが常態化し、ミドルサラリーマンの間では会社にしがみつこうとする傾向が強い。そんな中、最近中途採用を実施する大企業が目立って増えてきた。三井物産や日産自動車、三菱自動車工業、三井ホーム、大和ハウス工業など大企業が多い。ではなぜ、今大企業が中途採用をしているのだろうか。それについては「特定のビジネス領域に関する専門知識、ある業界の知識や人脈を持った人材が欲しい」というのが狙いであると三井物産執行役員人事部長は語る。

■ 実は同社は、三年前から経験者の公募による採用をスタートさせ、各年10人前後採用している。しかし、求めるスキルは具体的でかつ高度で、MBA取得者など、かなりハイスペックの人材が集まっているようである。三井物産を含めて、経験者を採用する企業のほとんどが採用条件として年齢制限を設けていないのも、最近の大きな特徴である。これには、2001年4月に改正・施行された雇用対策法で「事業主の募集・採用における年齢制限の緩和の努力義務」が規定されことが大きな要因である。

■ 企業側にとって同じようなスキルなら、少しでも若い人材が欲しいのが本音であり、そのことから転職の上限年齢は35歳という俗説もはびこることになった。しかし、その常識が崩れ始めている。企業が経験とスキルをこれまで以上に重視するようになったからである。企業によって求める人材像が違い、すべて40代を採用するとは限らない。しかし、本気でスキルを求める企業にとって、年齢制限は意味をなさなくなっていることは確かなようである。

■ 日産自動車が現在、選考中なのは今年3月日産ディーゼル工業と合併で設立予定の小型トラックを開発する新会社のための人材である。「車体設計」「安全性能計画」「サスペンション設計」「電子プラットフォーム開発」など募集職種は16に細分化され、それぞれ必要なスキルが設定されている。この新会社に関してだけでなく、日産では三井物産と同様に三年前から毎年、経験者の中途採用を実施してきた。社内で「MCS(ミッド・キャリア・スカウト)」と呼ばれる経験者採用は、事業拡大の一環でスタートさせたもの。社内の人材ニーズに合わせて専門性の高い人材を採用する、という方針である。

■ 日産の場合は大リストラの後の人材補填という側面もある。それに加えて、1994年から97年にかけて新卒採用も絞っていたため、中堅社員に不足感もある。MCSによる採用は、平均年齢では「30歳を少し下回る」というから、求められる高度な専門性というより、ポテンシャルなのかもしれない。いずれにせよ、近い将来のマネジメント人材が求められている。

■ 日産だけでなく、リストラでミドル層以上がなくなり、30代半ばから40代半ばまでのミドルマネジメントにかかる業務負荷が激増している企業は多い。即戦力のマネジメント経験者、それに新規事業展開に伴うスペシャリスト。この二つが現在の経験者採用マーケットで求められるターゲット人材と言える。

■ もう一つの背景は、賃金体系の変革である。年俸制が最もわかりやすい例であるが、多くの大企業で職能資格制の評価体系から職務制へと変わり、仕事の中身によって処遇が決まるようになった。このため、30代・40代の人材を採りやすくなった一面がある。純血主義を最善とする企業は少数派になった。賃金でも中途入社の不利はなくなりつつある。これから大企業による中途採用は増えこそすれ、減ることはなさそうである。



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