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いすゞ自動車が5期ぶりに黒字浮上
≪週刊ダイヤモンド7/12号より要約≫

2003年7月25日
by 葛原 怜


■ 今年10月から始まる東京都や千葉県など一都三県のディーゼル車排ガス規制を前に、大量の駆け込み需要が発生している。規制適用後は、基準を満たしていないトラックはこれらの地域を通行できなくなるのである。トラックメーカーだけでなく袈装メーカーもフル稼働が続いており、「9月末には都内の車検所もパンクする」と危惧されるほどの加熱ぶりである。バブル後、トラックの需要は右肩下がりを続けてきた。

■ 普通トラックはピーク時の19万台から半分の7万台レベルまで落ち込む中、いすゞなどのトラックメーカーも、袈装メーカーも生産能力を落とすなど、リストラを続けてきた。だがここにきて規制特需が発生。今期は9万台レベルの需要が見込まれている。トラック業界がつかの間の春を迎えている中、いすゞ自動車も今期、当期損益が黒字に浮上する見通しとなった。実に5期ぶりである。

■ 経営不振がささやかれていたいすゞは昨年8月、みずほコーポレート銀行など金融機関と、筆頭株主のゼネラルモーターズ(GM)から本格支援を受けた。GMは保有する全株式の無償償却と新たに100億円の増資に応じ、金融機関も1000億円の債務の株式化を行ったのである。いすゞを浮上させたのはこうした支援と引き換えに打ち出した熾烈なリストラ策である。

■ この6月、いすゞはリストラプラン「新三ヶ年計画」で、「国内の全儒が6万台になっても食べていける」レベルまでスリム化を進めつつある。目玉は300億円もの営業赤字を垂れ流していた、富士重工業との合併生産拠点SIA(スバル・いすゞオートモーティブ)の合併解消と、全社員の約3割にも上る人員削減である。それだけではない。「コストコントロールをきちんとやれていなかった」という社風から来る甘さにも大きなメスを入れ始めているのだ。

■ 元いすゞの開発担当者が「コスト意識はまるでなかった」と振返る資材費の削減までにも手を付けた。トラックは販売台数も少なく、スケールメリットで見劣りするため、日産自動車のような思い切った削減は難しいのは確かである。それでも資材費の六割を占める主要40品目の部品について、重点的に購買ルートや価格を見直すなど、地道な努力を続けている。

■ だが一方で、失ったものも大きい。「新三ヶ年計画」の一環でGMはいすゞの米国とポーランドの乗用車など小型ディーゼルエンジン生産会社に60%出資し、応用開発についてはいすゞと合併で開発会社を設立した。この開発会社には、いすゞから技術者が続々と出向、転籍している。GMグループだけではなく、ルノーなど乗用車メーカーに幅広く販路を確保している小型エンジン事業の大半はいすゞの連結対象からは外れた形である。

■ 今期は排ガス規制特需などで営業利益も大幅な増益を見込むが、連結はずしの影響はマイナス78億円にも上る。"規制特需"にわく国内も、2005年に導入される予定の「新長期規制」以降は、元に戻ると言われている。いすゞが今後の成長戦略として挙げるのが、経済発展に伴ってトラック需要が急増しているタイや中国といったアジア地域である。

■ タイではピックアップトラックの約4割のシェアを占めるなど、いすゞブランドは高い評価を得ている。また、中国でも1985年と他者に先駆けて市場に参入。小・中型トラックの現地合併会社での生産は年間約4万台と、他の日系メーカーとはケタ違いの台数を誇る。中国では国策により三大メーカーに集約するという方針も出ているが、いすゞはそのうちの一つ「上海汽車」と大型トラックの合併生産で手を組む事が決まっており、いいポジションを確保している。

■ ただし最近は、競合車種が増えて他者に押され気味という声もあり、手放しで楽観視できるほど甘い市場ではない。相次ぐリストラの末、虎の子の小型ディーゼルエンジン事業を手放すなど、GMに手足をもがれた形に見えるいすゞ。中国やタイでの現地生産への設備投資や開発投資、そして有利子負債の削減と、再建を軌道に乗せるにはなお、巨額の資金が必要である。アジアでのトラック事業の成否は、会社の命運を分ける。



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