東京純心女子中学校「J-Science〜未来にチャレンジ〜」
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 【リ ハ ー サ ル】

■ さあ、今日のプレゼンテーションへむけての最終準備が始まりました。集合時間の20分以上も前に会場に到着し、生徒たちはそれぞれの準備を一人ひとり真剣な眼差しで取り組んでいました。

■ 昨日のロボットに詳細をさらに付け加えたチーム1は、自分たちのロボットの機能を完璧にしあげました。その一方で、ロボットを通じて人間を考えた場合の主題まではまだ考えられていないようです。また、チーム2は内容を昨日の時点でかなり作りこんでいたために早いうちから模造紙とパワーポイントで製作を開始、かつ『人間とロボットの関係性』に即したテーマも考えています。が、箇条で表記したためにそれぞれの内容に繋がりが少し見えづらくなってしまっています。そして、チーム3はエコなロボットをテーマに見据えたものの、昨日の解散時点でプレゼンテーションにおいて主張すべき結論をまだ考えていなかったことに気付き、各自考えてくることに決めました。そして、今日、早速話し合っていました。発表まであと90分です。各チーム、これからの時間でどこまで詰められるのでしょうか。まだまだ目の離せない展開が続いています。

■ 一回目の全体リハーサルを行い、同じチーム内でどのような発表をするのか確認をしました。時間が長すぎて5分以上になってしまったり、箇条書きしたものを読み上げるだけになってしまったりと、各チーム思った様に上手くはいきません。発表が終わってLAからアドバイスをもらい、もう一度自分たちの発表には何が足りていないのか考え直していました。

■ そうこうしている内に、二回目の全体リハーサルの時間がやってきました。パワーポイントも駆使しながらの、本番さながらで展開していきます。これらリハーサルを通じて生徒たちはプレゼンテーションで皆に伝えたい贈り物を確固たるものにしていきました。


 【発 表】

■ いよいよ、プレゼンテーションの時間がやってきました。生徒たちは、発表前の緊張感をひしひしと肌で感じているようです。SVから発表に向けての諸注意を確認した後、各チームの代表がくじ引きで発表の順番を決めました。代表者が引き抜いたくじを広げると、最初にチーム3、次にチーム2、そして最後にチーム1という順番になっていました。各チームの順番、テーマをホワイトボードに書いたら、そのまま早速プレゼンテーションへ進行していきます。

■ 「エコな機械について」をテーマにしたチーム3はその理由をこう述べました。「初日に訪ねたFFLでのASIMO、そして2日目のリサーチの際のFFLの二酸化炭素を出さないエコカーとHWの自然へ関心を持ったからです。」そして、皆で考え出した電車、パソコン、濾過装置、電話の新機能を備えたロボットを紹介しました。このチームは初め光合成のできる人間型ロボットを一から創造しようとしていましたが、企画会議アドバイザーの意見で新しい視角を与えられて我々の生活に即した機械に着目するようになりました。まず太陽の光で動くことができるソーラーパネルのついている電車です。雨の日用に電気を貯めることができるので、常時使える優れものである一方で、発電所の人の職がなくなるデメリットもあります。そして次にキーボードで発電をすることの出来るパソコン。パソコンは常に大量の電気を消費しますが、それを何処でも自家発電できるのなら皆が気軽に使いやすくなります。しかし、そうなると夢中になりすぎて不健康になってしまったり、頻繁なパソコンの利用によって悪いサイトを開いてしまったりする可能性も予測していました。また、濾過装置のロボットは海に直接設置することで魚が棲みやすい環境になり、絶滅危惧種の生き物が帰ってくることが期待できますが、濾過する際に魚介類などの生物を吸い取ってしまいそうです。最期に発電が出来る電話です。これは電気代がかからない優れものの一方で、発電所に務めている人の職がなくなることも危惧できます。以上、4つのロボットに取り入れたい機能、そしてそのことがもたらす人間へのメリット、デメリットをそれぞれ説明し、「これから先、ロボットがあることが当たり前になっていくかもしれませんが、頼りすぎてしまうと今度は人間が自分のことすらできなくなる可能性があります」と、エコで便利になっていく一方で人間へのプラスだけでない影響へ焦点をあてて結論を締めました。そして、他のチームからの質疑応答の時間が来ました。「説明がスムーズで分かりやすかった。」「メリット、デメリットをそれぞれ説明していた」とチーム2が意見を言っていた。先生から話し合った経過、過程を聞かれると、エコについて地球規模で考えたと堂々と答えていました。

■ 会場の空気も段々と温まってきたところで、次の発表へと移ります。チーム2はテーマに「未来の友達」としています。まず初めにHondaのロボット開発の過程を一つずつ淡々と発表していきました。ですが、写真に白抜きの文字を載せるスタイリッシュな工夫が施されたパワーポイントなので、生徒たちも食い入るように見入っていました。その次は日常生活における手伝いロボット、また成長することが出来るロボットなど、ロボットの将来的な可能性と実現できるかどうか、そして、そのことから考えられる人間へのどのような影響が発生するのかを紹介していました。例えば自分の代わりに宿題をやってくれるロボットが開発された場合、依存してしまって人間が怠け、愚かになってしまうという悪影響な面もあれば、ロボットが友達であれば人に言えない心の秘密をひっそりとロボットには言えるなど人間関係にプラスに働く面もあると、多角的に分析していました。そして、昨日のリサーチの中で発見した水遊びやジャングルジムの際に必要になる機能を遊びの項目ごとに紹介し、FFLのASIMOの体験スペースから考えるロボットと人間の差や、初日の卵の実験について振り返って、発表は終わりました。それぞれ内容や影響などはかなり詰め込めていましたが、プレゼンテーション全体を通じての結論については言及していませんでした。この見落としてしまった課題に生徒たちは自ら気付くことができたでしょうか。まだまだ成長過程です。今回の盲点をこれからの議論や発表に繋げていって欲しいです。そして、質疑応答では「将来のことへの考察内容が詳しくて分かりやすかったです。」「ロボットと遊ぶために考えた機能が良かったと思います」と他のチームも意見をはっきりと言えるようになっていました。先生からそもそも、何故友達にしたいと思ったのかと聞かれて、緊張した面持ちで「ASIMOショーをみて、ともに遊びたくなったから」と答えました。

■ さて、いよいよ最後になってしまいました。テーマを「エコと便利」としたチーム1はその理由を、現状の地球温暖化などの環境悪化からエコを思いつき、今までできなかったことができるようになることから便利も取り入れたそうです。そこで、ロボットに必要な機能をひとつにまとめ、一人一台所有する未来のロボットを作り上げました。原動力は音波で、嗅覚は犬並み、さらに素早く走れます。また、ジェットを付けたことで空でも活動することができます。昨日の時点よりも、人間に近いデザインになりました。そして、このロボットに人間が依存し過ぎないために、年齢ごとのライフスタイルに合わせて時間制限が設けられているのです。例えば、高校生は大人に向けた時期なので自力でできるだけやり、大人になるにつれて自立のためにロボットの使用時間はどんどん少なくなっていく一方で、老いていくと不自由なことが増えるためどんどん長くなっていきます。そして、このチームもHondaのロボットの開発過程をまとめ、その発達の早さに着目して欲しいとステッキを握る手に力をこめました。「未来で人間が今より便利で安全に暮らしたい」と主張を述べしめくくったチーム1に、他のチームから意見、質問が殺到しました。「年齢ごとの制限時間が詳しく説明されているのが良いです」「1体に様々な機能がまとめてついていてよかった」今までの質疑応答の時間に質問する人がいなかったのですが、「頭に角がついているのは何故?」「犬並みの嗅覚は何故、必要なんですか?」「制限時間の時間は一日単位?それとも連続して?」「タイトルの『エコ』はどこに?」と、聴衆していた生徒たちは勢いよく質問をしていきます。初日はほとんど無かった、他のチームへの疑問。生徒たちは発表チームの意思や主張を真摯に考え、そして他のチームに積極的に発言することにチャレンジしました。生徒たちの質問が落ち着いたところで、最後に先生から質問がありました。「便利で安全にすごせるロボットを作りたいということだけど、このロボットは安全なのでしょうか?52キロもあると危ない面もありますが、どう対策するんですか?」予想外の質問に戸惑いの色を浮かべました。マイクを握りなおし「音波で動くし、バッテリーが切れないので倒れないから大丈夫です。さらに、ロボット用の収納があるので仕舞えます。」

■ 全チーム発表を無事に終えることができました。チーム全体で話し合い、悩みながら困りながらも自分たちで作り上げたプレゼンテーションを皆の前で緊張しながらも堂々と発表しました。そして、聴衆側もただ発表を見ているだけでなく自分たちも考えて、そして質問をすることができるようになっていきました。初日の声の小さく縮こまっての発表も、無反応で呆然と聞いているだけの聴衆姿勢も、最早ありません。このプレゼンテーションで獲得できたものは、これからの生活で生かされていくでしょう。

 
 【評 価】

■ ついに最後のプログラムになってしまいました。先ほど行ったプレゼンテーションへ一人二票ずつ投票し、その結果が発表されます。3つのチームで最も投票数を集めた、最優秀賞はチーム3の手へ渡されました。「聞いている人を引き付ける素晴らしいプレゼンテーションを発表していました。」チーム3のメンバーは笑い合いながら、賞状を受け取っていました。


■ 賞状を獲得できなかった他のチームは肩を落としてしまいました。しかし、ここで先生から、3日間の生徒たちを称えて全てのチーム、全てのメンバーに賞状を用意していました。チーム1にはチーム全体で成長していったことに「ホップステップジャンプで賞」、チーム2は遊びを通してチームワークや材料を発掘したので「よく遊んだで賞」。そして、チーム3にも最優秀以外に、チャレンジ精神旺盛でメンバー全員で頭を寄せ合って議論していた様から「おでこがぶつかったで賞」をそれぞれ受賞していました。

■ そして、3日間共に行動を共にしたLAから最後のメッセージが、生徒たちの心に渡されました。チーム1には、「個性を生かしたそれぞれの役割分担をして、困っているときに手を伸ばしあえるようになりましたね。」そして、チーム2へ「遊びの体験の中で、一日いちにちと理想の絵に近づいていきました。ご飯や移動中にも話せる仲になっていきました。」チーム3は「どうしていいか分からず躓いていましたが、自分たちで行動することに目覚めました。また、話し合うことに楽しみを見出していけました」と。

■ 次に先生がマイクを握りました。「いよいよ研修が終わります。打ち解けるのに時間がかかったけれども、テーマを決めて自分の意見のみならず、相手の意見も聞く姿勢ができてきましたね。今回の経験をこれから先も是非、活かしていってほしいです。では、3日間の感謝の気持ちをみなさんの口から伝えましょう。」マイクが代表生徒に渡されます。「この3日間でLA、先生がいなかったら、話も進まなく、プレゼンもできなかったかもしれません。ありがとうございました!」閉会式は和やかに締められました。一番近くで生徒の成長を見守ってきたLAや先生の言葉は、生徒に自分自身の成長を気付かせてくれました。3日間では学校の授業では出来ないことを、本当に多く学ぶことができました。これから先も生徒たちは多様なことにチャレンジしていけるでしょう。