芝浦工業大学中学校「S.I.T in Twinring'09」
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 【リ ハ ー サ ル】

■ いよいよ、最終日。朝早くの集合にもかかわらず、会場につくとすぐに元気よく自分たちの発表材料を見るチームが多くみられます。
準備に使える時間は30分しかないため、制作を急ぎたい生徒も見られますが、まずは全チーム一斉にリハーサルを行います。一度自分たちのプレゼンテーションを通してやってみることで、不足している情報の有無や本番の役割分担を確認することになります。

■ パワーポイントを押す人、紙を持つ人、レーザーポインターを使う人、原稿を読む人。ペンをマイクに見立てて、本番さながらに話す人。様々な役割を、「俺はこれやりたい!」「やりたくない」と言い合いながら分担していきます。実際にリハーサルで時間の長さを体感してみると、「俺らの発表短いよ」「係を変えてくれ」などとそれぞれ最終調整をはかります。

■ 「今のが、5分間です。皆さんのプレゼンテーションには『独自性』『妥当性』『公共性』が含まれたものになっていると思います。でも、『企画提案』『インパクト』も必要です。ただ見せればわかりますか?それだけでは伝わりません。どうやって相手に伝えるか?届けるか?残りの25分は、発表の資料を作ったり、原稿を書いたり、リハーサルをしたり、チームで好きなように使ってください。」
リハーサル時間を終えると、SVの言葉をきっかけに、ラストスパートへ突入します。


■ 「パワーポイントにあのネタがはいってないじゃん!」「社会貢献のこと、書くの忘れてた!」という声もありました。しかし、パワーポイントの編集はもうすることができません。「そこはもう、しゃべってやっていくしかない!!」とチーム内から頼もしい発言。本番を前に、チームの勢いのよさが感じられました。
「各会場に移動してプレゼンテーションになります。皆さんの2日間がこの5分間に込められます。とても楽しみです。お互いに突っ込みあえるような、本番にしましょう。」 SVの言葉を受けて、A組B組のチーム1〜10、C組D組のチーム11〜20の2つに分かれ、それぞれの会場へと向かいます。



 【発 表】

■ 本番前に楽しそうにマイクテストをする生徒達。しかし、SVがマイクを持つとプレゼン会場は静寂に包まれます。
まずはSVから、投票のルールや時間配分についての説明があります。5分間の発表の後、2分間の質疑応答の時間をとります。そして、チームの発表順は、抽選での決定です。チームの代表者が発表順を全体に伝えると、待ちに待ったプレゼンがそれぞれの会場で始まります。

■ トップバッターとなったチームは、忙しい人のための食材宅配サービスを考案。「当社には、2つの朝プランがあります。」「設立後1ヶ月以内に入会していただけた場合、入会費は無料とさせていただきます。」と、ベンチャー企業の社員になりきってプレゼンを行います。発表の間だけでなく、質疑応答の時間にとっさに答えるときにも「当社では…」という表現を使っており、「企画提案」の工夫が、身についているようです。見ている生徒から「かっこいい…!」との声も聞こえてきました。
他にも、独自の「インパクト」を与えてくれたチームがあります。「音力発電」を発表したチームは、音エネルギーが電力に変わることを表すために、まず部屋を暗くしてから「パチン!」と指を鳴らし、照明をつけました。本来なら生徒達が触ることはない部屋の照明を使ってのパフォーマンスから、「全部自分たちでやっちゃおう!」という企画への強い思いが感じられました。

■ 前日の編集作業も、功を奏しています。
分担内容をお互いに見せ合っていたチームでは、パワーポイントの部分とコント風の劇の部分と、スムーズに連携がとれていました。「奥様向けの全自動卵調理器」を販売するために奥様たちの心をどう掴むかを表現した劇では、役になりきっての名演技を披露し、会場内は笑いに包まれます。
また、別のチームでは、企画アドバイザーからの「Hondaは、会社のためじゃなくて自分のために働く、という考え方を大切にしているんだよ。」という言葉が、企画を考え直すきっかけになっていたようです。「社員の幸福」について発表する際に、「自分のためのアイデア」を大切にすることについて触れていました。SVからも「社員の幸福を考えているところが、素晴らしかったですね。」とコメントがありました。

■ 発表の間には、チームとしての意識の高さを感じさせる場面も多々ありました。役割分担をし、一人がマイクを持って話す係をしているチームもある一方で、チーム内でマイクを回していくチームもあります。「次は、○○くんが説明をします。」と、バトンを渡すようにチームプレーを見せる姿もみられました。そして、質疑応答に答えるときにも、少しチーム内で相談してこたえる様子や、「僕らは」と全員の総意としての意見を述べる姿がみられました。

■ 質疑応答も、とても活発でした。どのチームに対しても、常に10人近くの生徒が質問の手を挙げます。
音の力を利用して充電できる携帯音楽機について発表したチームでは、「充電の仕方が面倒なのでは」との質問に対して、「電気をためた達成感が感じられるし、音楽の素晴らしさも確かめられます。」「小さな積み重ねが後の大きな喜びになるんです。」と、チームで考えた意見を返すことができました。
そして、質問する側の姿勢もいろいろです。一度の回答では納得せずに、「だとしたら、従来のものとはどこが違うんですか?」とさらに深く質問をしていく生徒もいれば、「この製品は、とてもいいなあと思ったんですけど、聞きたいことがあって…」と発表チームに賛辞を伝えてから質問をする生徒もいました。
発表時間が終わってしまうことが惜しくなるぐらい、どちらの会場でも熱い議論が繰り広げられ、チームの枠を超えお互いを高め合う様子が伺えました。

 
 【評 価】

■ プレゼンテーションを終え、すぐに自己評価の時間です。初日と同じ項目について、チームの中での色々な役割に自分がどの程度当てはまっているか、5段階で評価していきます。そして、200字以内で「この3日間自分が最も変化したと思うこと」について記入しました。それぞれの思いを、周りの人を気にせずに記します。記入後は、プレゼン会場をあとにし、これまで3日間チームで活動してきた部屋へと戻りました。

■ そして、それぞれのチームの席で、LAから生徒達へ最後のメッセージを伝える時間になりました。
音力発電についてプレゼンをし、その中でスイッチのオン・オフについても話したチームでは、
「この3日間で体験してきたことや時間は、スイッチのオン・オフで消えてしまうようなことじゃないよね。『何か形にしたい』と言っていたけど、形にすることが大事なわけじゃないんだよ。」とLAが話します。
また他のチームのLAは、「この3日間で何が楽しかった?」と問いかけた後に、「今あることを、全力で楽しんでください。楽しくないことでも、楽しいことに変えられます。最初、インタビューするときは正直めんどくさいときもあったよね。でも、皆で一緒に話し合って、なんだか楽しくなってきたと思う。人っていうのは、誰かと一緒にいるときに楽しさや苦しさを分かち合えるんだよ。」と、これまでの3日間を振り返りながら語りかけていました。

■ SVの号令で、チームで挨拶をした後、全体で拍手が起こります。生徒達の達成感と色々な人達への感謝の思いを伝えるように、会場に響き渡る拍手は、この3日間で一番大きな拍手でした。

■ もう一度、発表した会場へ戻り、閉会式の時間です。
はじめに芝浦工業大学の先輩でもある、Hondaの出羽さんからお話を頂きました。
「皆さんの発表を見て、誇りに思う後輩が出てくるだろうと思いました。」
「発表を見ていて、コミュニケーションを大事に見ているところ、最後にチームで発表するときにチームワークが大事だと気づいてるところなど、とてもよいことに気付いているのがよかったと思います。」
と、生徒達の発表だけでなく、そこに至るまでのプロセスについて高い評価を受けました。そして、先輩としての激励の言葉で締めくくられます。
「チームで活動したパワー、経験を色々な場面で活かしていって下さい。学生のときを思い出してみると、印象に残っているのは、皆で一緒になって何かをやる、ということでした。」

■ 続いて、順位発表です。
A・B組の会場は、3位「空飛ぶ車」、2位「卵料理機”EASY EGG”」、1位「NERVE PHONES」、C・D組の会場は、3位「携帯電話の遠隔操作で家電製品を動かす企画」、2位「割れにくい卵パック」、1位「高性能マスク」が入賞となりました。手を挙げて喜ぶ生徒達の姿もみられました。
入賞した6チームは、翌日に最終決戦を行う、とのことでした。

■ 次に、渡邊先生からのメッセージです。
「HWで、キャストの方が『ひとつの生き物だけしか存在してないとしたら、絶滅してしまうでしょう』とお話してくれましたが、それは人間も同じです。同じ人しかいなかったら、滅んでしまいます。社会にたとえてみても、一緒だと思います。世の中ひとつの業種だけだったら成り立たない。学校、レストラン、いろんな仕事があって社会が成り立っています。」
3日間での体験の具体例を通して、社会の在り方が説明されます。
また、「今回誰一人として、『自分は関係ない』という姿勢の人がいなかったのはすばらしかったです。みんなが参加していたのはとてもうれしかったです。私の予想を上回っていました。」
と、力強い褒め言葉もありました。

■ 渡邊先生の号令で、生徒達はもう一度LAやスタッフに向けて「ありがとうございました!」と声を揃えます。
そして、続いてSVが「LAからのメッセージとして賞を渡します。チームの代表者は前へ出てきてください。」と声をかけます。それぞれ、LAから代表者へ賞状が手渡されます。代表者が席に戻ると、同じチームの仲間同士で嬉しそうに賞状を見ている姿が印象的でした。

■ そして、生徒代表の陸くんから挨拶がありました。
「この3日間のもてぎ学習は楽しかったですか?答えは、『はい』ですよ!」
元気な声に会場内が笑いであたたまります。
LAとの思い出になった関わりについてふれたあとは、「ありがとうございました!!」と、ここでも感謝の言葉でしめられていました。

■ いよいよ、本当にプログラムの終わりの時間が近づいてきました。
山川教頭先生が、開会式のときの言葉の意味を改めて伝えます。
「『3日間を完走してみて、答えが分かります』と言いましたね。
最初から高いモチベーションで入った人やそうでない人、色々な人がいたと思いますが、3日間一生懸命やっていくうちに仲間と通じ合って、大きな仕事ができるということはわかったのではないでしょうか?」
そして、「やらまいか」の精神についても述べられました。
「私は本田宗一郎氏と同じ浜松の出身ですが、『やらまいか』とは方言で、『やりましょう』『やろうぜ!』ということです。『やろうぜ!』という精神で会社が成り立っている会社はとても多いです。」
最後に、学校生活へ繋げていくメッセージが伝えられます。
「そして、競い合う関係というのも大切です。協力する関係と同じように、どちらも仲間としての姿なのです。この体験学習で、わかったのではないかと思います。
学校でも同じことが言えます。よい仲間を作ると同時に、その仲間とあるときには協力し、意見を尊重し、また違う意見をぶつけあい、どこかで意見が一致したときには同じ方向に向かっていく、というように過ごしていって下さい。」

■ 3日間で変化していったチームのコミュニケーション、役割を考えながら行ったリサーチ、皆で考え抜いた独自性の高いアイデア、発表での工夫されたパフォーマンス、熱い質疑応答。どれをとっても生徒達にとって、お互いを高める体験になったのではないでしょうか。
バスに乗り出発していく生徒達は、疲れを見せずに元気いっぱいです。全日ともに天気に恵まれ、生徒達のパワーと熱気に包まれた「芝浦工業大学中学校 S.I.T. in Twinring ‘09」は、こうして幕を下ろしました。